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初めての序奏曲

はじけて消えてしまわないように、この泡にも名前をつけよう



???(はぁ……ようやくここまで来れた。長い長い道のりではあったけど……これを終わらせれば、異変は終わる。またのんびり日向ぼっこもできるわけだし………そろそろ行こう。文字通り、これが最後の戦いだ)




???「……よく来たな、半霊半狼の少女よ」


???「黒幕のおでましか。貴方のおかげで、こっちはすっかり大変なことになってるんだけど? どう落とし前つけてくれるわけ?」


???「なるほど、ここに来られるだけの力は持っていると考えて良いわけだな。しかし、テストは私の手で行わないとな。お前は、合格だろうか? それともやはり……」


???「やれやれ、これじゃ言葉のドッチボールだ。まともに会話するつもりはないみたいだね。何を企んでいようが……全てを喰らう私の前で、好き勝手できると思うな。『穏やかなる終焉』……黄泉 寂滅の前で!」




寂滅「ッ……!!」


???「悪くはない。悪くはないが……なんだかな。これでは合格までには程遠い。鋼鉄を裂き、魂を喰らう者として力が及ばないのは泥水を啜るような思いだろうが……それは私も同じこと」


寂滅「思ってたより手強いな……でも!」


???「ほう? ならば、こちらも応えるとしよう。かかって来い、全力でな」



???「黄泉の者による黄泉送り」


寂滅「月魄の咆哮!!」



寂滅「……!? それは、なんで……!?」


???「『お前』がこの地に足をつけることは、二度とない。さらばだ」



――――――――――――――――――



ドン! ドンドンドン!!


寂滅「何なの、うるさいなぁ……」


叡智「おはよう私の可愛い寂滅ちゃん! 朝ですよー!!」


寂滅「誰ぇ……?」


叡智「おやおやおや、私の顔を忘れるだなんて。これは目覚めのキスが必要みたいだねー」


寂滅「……なんだ、姉さんか」


叡智「自分の姉に向かってなんだとはなんだ! ぷんぷん! それに、昼まで寝てるなんて生活サイクルが乱れてるぞ! ぷんぷん!」


寂滅「たまにはいーじゃんたまには」


叡智「まぁとりあえず、寂滅にお願いしたいことがあってさ〜」


寂滅「……?」




寂滅「………なんで玄関に丸太が置いてあるわけ? 出れないじゃん」


叡智「まぁお姉ちゃんとしては寂滅と一緒に密室の中過ごすっていうのも嬉しいけど……うん?」


叡智は近くに落ちていた手紙を拾う。



『ざまみろー!m9(^Д^)』



叡智「だって」


寂滅「なるほど、幻ね。ちょっとお仕置きが必要みたいだね……」


叡智「それはいいけど、どうやって出るのさ。窓も出れないように接着剤塗られてるし」


寂滅「出口がないなら作れば良いじゃない」


そう言って寂滅は壁を破壊する。


叡智「……それ直すの、お姉ちゃんなんだよなー」




叡智「また手紙だ。『くやしかったら捕まえてみろー!』……だってさ」


寂滅「私の嗅覚舐めないでほしいんだけど。……ていうか、こんなのあったっけ?」


二人の目の前にあるのは、それなりに大きい家。


叡智「入ってみる?」


寂滅「まぁ十中八九ここに居るだろうし。……うわ、外から見たよりも広い。空間どうなってんのこれ」


叡智「ダンジョン化してるんじゃない? 幻の考えそうなことだよ」


寂滅「無駄にそういう技術はあるんだよなぁ、あの子」




叡智「思った以上に入り組んでるな。ちょっとお腹空いてきた」


寂滅「もぐもぐ」


叡智「何でおにぎり食べてるの!?」


寂滅「そこに落ちてた」


叡智「拾い食いはやめなさい! 毒が入ってたらどうするの!」


幻『失礼な! そんなこと誰がするもんか!』


叡智「え、何今の」


寂滅「あ、スピーカー」


幻『私は毒を仕込むなんてつまらない悪戯しないですー!』


寂滅「毒は悪戯の域超えてるんだよなー」


叡智「まぁ、お腹はほどほどに満たせるってことが判明したわけでぼるしちっ!」


寂滅「落とし穴は普通にあるんだ……」




幻「ふーはは! よくぞここまできたな! 数々の罠を乗り越えたその胆力、褒めて遣わすぞー!」


叡智「落とし穴は良いんだけどさ、トラバサミは聞いてないんだけど。いててー」


幻「しかし、ここで会ったが100年目! この私に勝とうだなんて……」


寂滅「正座」


幻「………」


寂滅「正座」


幻「はい」




寂滅「イタズラの動機が遊びとか、勘弁してほしいよ」


叡智「まぁまぁ、肩慣らしにはちょうど良かったんじゃ?」


寂滅(………確かに、手応えはあった。それに、頭のぼやけが少し晴れたような……ん? なんで頭がぼやけてるわけ?)


???「その様子だと、まだ本調子ではないようですね」


寂滅「……レオパルド?」


レオパルド「まだ眠気が取れてないのですか? 抱主、一発かましてください」


叡智「合点承知! 寂滅のお口に……ぶぼ!!」


寂滅「今ので目が覚めたよどうもありがとう」


叡智「殴らなくても良いじゃん……」


レオパルド「もう腹を過ぎてるのだから、シャキッとしてほしいのですが」


寂滅「憑霊のくせにお小言がうるさいなぁ」


叡智「寂滅の冒険はまだプロローグ、これからが本番だよ」


レオパルド「まぁ小言を言いに来たわけではない。これを渡しに」


寂滅「何これ」


レオパルド「私の毛玉を磨いたものです」


寂滅「いや汚い」


叡智「うわきったね」


レオパルド「この玉を持っていれば、寂滅様の繋がりが、出会いが、経験となりこの玉に込められ力を蓄えることでしょう」


寂滅「……? 何か、身体に馴染んでいくような……?」


レオパルド「今授けた力はまだ序の口、その時が来たら……寂滅様にさらなる力を授けましょう」




叡智「つまり、よくわからん。寂滅をサポートしてくれるってこと?」


寂滅「そうなんじゃない? 幻、他に悪戯してるところないよね?」


幻「ないよ! こんな目に遭うなら悪戯しなきゃよかった!」


寂滅「それじゃあ……運動も兼ねて人里まで行ってくるよ」


叡智「ならお姉ちゃんも付き合おうかな」


幻「うぎー、丸太が重いよー。どうやって運んだんだろう私」


叡智「……手伝ってやってくれ、レオパルド」




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