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イシュト大陸物語  作者: 明星
館に蠢く
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第19話

「すまない、気を付けてはいたんだが」

目を洗い、液体を流したアッシュが岩の頂上へ上ってきた。

「しかし、これはなんなんだ」

何度か目をしばたかせ、なんとか視力を取り戻そうとする。

「平気かい?」

アッシュにディーンが近づき心配そうに顔を覗きこんだ。

「ああ、痛みはだいぶおさまったよ。まだ少し視界がぼやけてはいるが 」

「たぶん正体はこれだね」

そう言ってディーンが出してきたのは磨り潰した辛みの強い野菜だった。

「子供のままごとみたいなものだけど、目潰しに使われると厄介だね」

2人の周りには、祈祷士の投げた壺から飛び出した中身が散乱している。

「他にも幻覚を見せるキノコを浸けたものとか、常習効果のある草を浸した水とか、たぶんこれでゴブリン達を従えてたんじゃないかな」

頂上に貯蔵されている壺、これもよく見ると粗悪なものだが、中身は様々だった。


「何か使えそうなものはあるか?」

「ううん、どれも効果はほとんど期待できない。残念だけど、町までの距離を持って帰るほど価値はないよ」

そう言ってディーンは持っていた壺を投げ捨てた。

「そうか。しかし、これはなかなかすごい眺めだな」

アッシュはようやく取り戻した視力で眼前に広がる景色を見て驚いていた。


そこには岩と土の塊がいくつも地面から生えており、大小様々ではあるが、そのどの頂上にも木や草が生えている。

「たぶんここは昔、湖だったんだと思う。きっとこの岩の塊は、もとは小島だったんじゃないかな」

今自分達の立っている場所はその小島の上。

「ということは、俺達は湖の底を歩いて来たってわけか」

下を見ると、そこにはこちらを見上げるファングがいた。

「そうなるね。さ、依頼を達成したしアーマードに戻ろう。念のためアッシュの目も診てもらわないとね」


二人が沼地を後にし、ユニ村との分かれ道まで戻ってきた時、日は落ちかけていた。

その分かれ道にうなだれて座る影が一つ。

影は二人に気づき、駆け寄ってくるなり言った。

「すまないけど、手を貸してくれないかい?」

影の正体はヴェラだった。

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