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イシュト大陸物語  作者: 明星
館に蠢く
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第20話

昨日会ったばかりのヴェラの顔は、別人に見えるほど憔悴していた。

「何があったんですか、仲間の方達は?」

「ああ、助けてほしいのはその件なんだよ」

ヴェラはまた座り込み今までの経緯を話し始めた。


あの後ヴェラ達は、ニールが預かった荷物の依頼主を確認するために、日が昇ると同時にアーマードに向かった。

商人組合に向かいニールが行方不明だと伝えると、彼らは思いの外簡単に依頼主の名前を教えてくれた。

「ヴィクターって名前の男でね、ユニ村から少し外れた所に母親と二人で暮らしてるはずだ。だけどニールが預かった荷物は二人では到底使いきれないほどの食糧品だったそうだよ」


ヴェラ達はそれからまたすぐアーマードを出発し、ヴィクターの住む家へと急いだ。

ヴィクターの家は商人として財をなした父親が引退した際に建てたもので、非常に大きな館だった。

まずはヴェラが一人で館の様子を見に行き、そして館の裏庭で荷馬車の残骸を見つけたのだが、しかしそこには馬も人も荷物も何もなかった。

仲間の元に戻りこの事を伝えると、仲間の二人は館を訪ねると言い出した。

万が一の為に連絡役として残されたヴェラは離れた森の中からその様子を伺う。

仲間の二人が扉を叩き人を呼ぶと、出てきたのは痩せこけた中年の男。

少し話をしたあと、二人は男に案内されて館の中へと入っていった。

「でもね、そのまま二人は戻ってこなかったんだ」とヴェラは話を終えた。


「じゃあ、そのヴィクターという男がニールさん達を?」

「ああ、おそらくね。あたしの仲間だって護衛を任されるくらいには戦えるのに戻ってこない。あの館には何かがあるよ」

そう言うと、ヴェラは館のある方角を憎々しげに見つめた。

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