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イシュト大陸物語  作者: 明星
館に蠢く
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第3話

「いやぁ、助かりました。お二人がいなければどうなっていたことか」

ニールと名乗った若い商人は荷台に座る二人を振り返り笑っている。

ゴブリンを撃退した後慌てて荷物を荷台に乗せ、馬が歩き始めるとようやく落ち着いたのか商人にも笑顔が戻った。

「こんな場所で襲われるなんて珍しいですね」

ディーンとアッシュが商隊と共に旅をしていた時、この辺りで襲われた経験はなかった。

「ええ、私が悪いんです」

恥じるようにそう言うとニールは隣に座る少年の頭を撫でた。

「この子には怖い思いをさせてしまいました。商人の常識だと私たちのような装備の場合、街道と原生林が近づくこの一帯は本来駆け抜けるべきなんですよ。でもついぼうっとしてまして」

あってはならないことです、そう言いながらニールは頭を掻いている。

「実は私、今回が初めての行商になるんです」

これまでは見習いとして参加しており、自らが荷馬車を引いて行商の旅に出るのはこれが初めてのことなのだとニールは言った。

「昔から友達にもお前はぼうっとしてるから心配だ、なんてよく言われました。慣れたアーマードまでのこの道なら何の心配もないと思っていましたが、初めてというのは思いの外大変なものですね」

ニールの言葉を聞き、アッシュは自分の左腕を見る。

初めての魔物との戦いの中、判断を間違えた一瞬で折れてしまった左腕。

確かにな、とアッシュは自分の失敗を苦々しく思いながら、まだ固定したままになっている左腕を撫でた。

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