エピローグ:RICOのイブニングカフェ
《ジングル♪ ~春を感じる軽快なカフェBGM~》
RICO
「こんばんは。『RICOのイブニングカフェ』、
今夜は“バレンタインを振り返る”特別編をお届けします」
(カップを置く音)
「――さて、みなさん。
今年のバレンタイン、ちょっと“異常事態”だったの、
もうご存じですよね?」
(BGM、少し下がる)
「“LoveBank(β)”、そしてその派生アプリ群。
寄付総額、なんと――50億円突破!」
(スタジオからどよめき)
「フードバンク、子ども食堂、そして各地の支援団体へ。
おそらく史上初めて、
“バレンタインが社会を動かした”と言える年になったと思います」
(間)
「……いや、ほんとに。
ここまでは、素晴らしい話なんですよ?
ええ、間違いなく」
「でもね――ちょっと、複雑なんです」
(SE:スタッフの笑い)
「だって。
結果的に、一ノ瀬直也さんを“バレンタイン革命の象徴”にしちゃったの、
誰だと思います?
……ええ、私RICOです」
(自嘲気味に笑う)
「番組で“チョコより寄付を”のコメントを紹介しただけなのに、
そこからAIが暴走して、寄付アプリが連鎖拡散。
気づけば、世界中が“#NaoyaProject”で大騒ぎ。
いやぁ……ほんと、想像以上の社会実験になってしまいました」
(BGMが少し温かくなる)
「ちなみに――
例年500億円規模といわれていた国内のバレンタイン商戦、
今年はなんと450億円を割り込んだそうです。
“チョコから寄付へ”。
そんな見出しが新聞に並んだ、歴史的なバレンタインでしたね」
(間)
「……ええ。
社会的には素晴らしい。
でも、個人的には、ね」
「――ちょっと、納得いかないの」
(スタッフ笑)
「だって!
GAIALINQプロジェクトに関わっている女性メンバーも、
もちろんこの私――RICO自身も、
みーんな、2月14日に直也さんにチョコを渡せなかったのよ!
みんな直也さんに“面会謝絶”されちゃったんです。ちょっと酷くない?」
(BGM:わざと大袈裟に悲劇的に)
「直也さんの『ご家族』だけが渡せたと思いますが、
――そんなのチート、反則じゃない!? ズルいよね」
(スタッフの爆笑)
「でも、まぁ――
今年は直也さんが風邪でダウンされていたので仕方がないですよね」
(間)
「――さて。
皆さんにとっての“本命”は、今年、誰でしたか?」
「チョコでも、寄付でも、言葉でも、
かたちは何でもいいと思うんです。
大事なのは、ちゃんと“誰かを想う”ということ。
それが、世界をちょっとだけ優しくする。」
(カップを持ち上げる音)
「来年のバレンタインは、
……もう少しだけ、平和であってほしいですね。」
《ジングル♪ ~柔らかくフェードアウト~》
RICO
「それでは皆さん、今夜も素敵な夜を。
ここまでのお相手は――RICOでした。」
(フェードアウト)




