おまけというか、そのあと
わたしは死んだように生きている魔教徒を両肩に担いだまま、魔力板を滑らせて星屑の線を描きます。重いのでバランスを取ることが難しければスピードを上げることも難しくて、魔教徒は本当に迷惑な存在でしかありません。
それでもどうにかこうにか暗い森を抜け、新たな街に辿り着きました。着いた頃には太陽の恵みが顔を覗かせ、世界に燦々と光をもたらしています。
いつの間にか黒ずんだ分厚い雨雲は散り去っていて、目を細めてしまいそうな美しい光景にわたしは小さく舌打ちをかましました。
「嫌な天気ですね。この街に儲け話は転がってなさそうです」
そんなことをぼやきながら、夜勤で眠そうに目を擦っている門番さんに近づくと目が合いました。どうも。
「お、おばけだああああああ!?!?!?」
「またそれですかい」
失礼しちゃいますね本当に。わたしってそんなに紛らわしいんでしょうか?
「よっと」
ドサッ、と無造作に両肩に担いだ魔教徒を放り投げます。こんな奴らは物のような扱いで充分です。
腰を抜かしている門番さんに歩み寄り、優雅で美しく完璧な一礼を見せつけます。こんな美少女なおばけなんてそうはいませんよ。
「わたしは葬儀屋のホワイトと申します。以後、お見知りおきを。見ての通りの超絶美少女です。どや。魔教徒を捕らえたので引き渡しの手続きをお願いしたいのですが、可能ですか?」
門番さんはしばらく「ぁ、ぇ……」などと言って口をパクパクさせていましたが、驚いたことによって眠気が覚めたのか、我に帰って立ち上がり、ピシッと敬礼をします。
「ご、ご協力に感謝します、ホワイト殿! 黒いローブに悪趣味なナイフ、確かに魔教徒ですね……よくぞご無事で!」
「わたしにかかればこれくらいはお茶の子さいさいです。えへん。それより小さな村が魔教徒の襲撃に遭って壊滅状態なので、応援の要請もお願いしたいのですが……」
「なるほど、了解しました。では人を呼んできますので少々お待ちください」
それから門番さんは急いで人を呼びに行ってくれました。魔教徒は連行され、しかるべき場所で報奨金もしっかりと頂きました。村で儲けた30万と合わせて今の懐はホカホカです。
今日もご馳走が食べられそうですね。
「では村の応援も要請したいということで、50万ほど費用が必要になるのですが……」
「ぬっ」
意味不明な声が喉から跳び跳ねました。
「壊滅状態の村へ向かうとなると、人手も物資も必要になりますので……依頼料として簡単に計算してもそれくらいにはなってしまうかと……」
門番さんは言い辛そうにしながらも教えてくれました。
ならばわたしはこう返しましょう。
「お金ならあるので、お願いします」
有り金のほぼ全部を叩きつけて、はっきりと言い切ってやりました。
お金に糸目をつけないわたし、かっこいい。どや。
地図を見せて村の位置を知らせ、手続きも済ませたところでわたしは解放されました。
ちなみにちゃんと計算したら金額は53万でした。戦闘力1のゴミのくせに。む〜。
眩しく瞼を焼いてくる太陽さまを恨めしく感じながら、わたしは一歩を踏み締めます。
「……さて、今日も硬いパンですかね」
こんなことなら旦那様の料理、もっと食べておくべきでしたね。
──これがわたしの、いつもの日常。
最後までご覧になって頂きありがとうございました。
説明不足のところが多々あると思いますが「そっち(読者)が分かれ」くらいの気持ちで書いたので分からない、足りないと感じた部分はそちらが頑張って解釈なり考察なりして補完してください。
自分勝手ではありますが、反省はしてません。後悔もしてません。明らかなミス(誤字脱字など)以外は直す気もありません。つまり何を言われても基本的に聞く耳を持ちません。どや。
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──それでは、皆様に良き小説ライフがありますように。
第2章もあるよ → https://ncode.syosetu.com/n6002gz/




