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逢魔街の役立ち屋〜出会う美女に「○○す」と言われます〜  作者: ふみんのゆめ


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【お客様を交え打ち合わせま章】ーその1ー

 なかなかな大ピンチだった。


「ん、もう。だから言ったじゃない。ホント、雪南(せつな)はやりすぎよ!」


 文句を言う黛莉(まゆり)の格好は前回と同じくだ。スポーツベストにショートスカートとする。シンプルで動きやすいが重視されている。


「なにを言う、マユリだってけっこう派手にやったではないか。どう見ても勢い任せでやっていただろ」


 答える雪南の服装は前とがらり変わっていた。今日は肩先から袖に膨らみを持たせた白のブラウスにオレンジのミニスカートとくる。可愛らしい反面、巨乳が強調された大人な姿とも言えよう。


「まったくぅ〜。雪南のそれ、どう見ても危険な仕事に行く格好じゃないよ」

「マユリはメリハリが足らないせいで、この服を着たらワタシに敵わないからな。負け惜しみは見苦しいぞ」


 憎まれ口に黛莉は怒鳴り返したいが、する余裕がなかった。

 すっかり敵対とするモノに取り囲まれていたからである。


 うじゃうじゃと黒い人影が四方から迫ってくる。 

 中に人間とするには、あり得ない形状の特徴も持つ個体も混じっていた。頭に角が生えていたり、背中に羽根を生やし飛行しているのもいた。


 ただ形状の差異はあっても、黒一色という点で一様だ。顔からつま先まで闇をもって形成されたような全身だった。


 黒き屍鬼もしくは黒き悪魔とも呼ばれていたものの、現在は便宜上『ホラブル』と総称を一般的とする。逢魔街(おうまがい)の逢魔ヶ刻(おうまがとき)のみに出没する異形だ。

 通常は生者を襲ってこない。


 黛莉と雪南のコンビがやらかしたため窮地へ陥っていた。


 白き能力体を雪南は顕現させた。戦斧を手にする長髪の女性を頭上に浮かべる。


「マユリは短気すぎるぞ。ちなみワタシはエンマに言われた通り黒いバケモノはやってない」

「ホントぉ〜」


 黛莉は疑ったことで墓穴を掘る。雪南は変に鋭い。


「なんだ、マユリ。疑うということは、身に憶えがあるとみた。そうだろ?」


 しらを切り通せないのが黛莉である。返事が出てこない。


「マユリはエンマと似て、ウソのつけないヤツだな。悪くないぞ」

「なんだかずいぶん上から目線で嬉しくないんだけど」

「ウソだな、マユリはワタシに言われて喜んでいる。まちがいない」


 ああ、もう! 黛莉は叫び出したい。なぜなら雪南の指摘通りだからだ。確かに好感を寄せられて嬉しい。自分はなんてチョロいと思いつつも、気持ちを言い当てられた経験がほとんどなかったせいだろう。家族はともかく他人からなんて、本当いつ以来だろう。

 

 最初に言い当ててくれた相手とその光景なら記憶している……。


「マユリ、来るぞ」


 いつになく雪南が切羽詰まった感じだ。

 夢から醒めたように黛莉は応じた。


「きっと誰かが来てくれるから。それまで頑張るよ」


 相手は怪物だ。ともかく潰していくしかない。


 黛莉はすでに能力を発現していた。左腕は機関銃と化している。


 雪南の幽体を模した能力は奇襲や一対一の勝負に有効だ。逆を返せば、多勢の長期戦には向かない。


 黛莉の奮闘が生き残れるかどうかの鍵となりそうだ。自分の能力は多勢相手こそ効力を発揮する。

 問題は体力を保つか。周囲だけでなく奥まで黒き怪物がびっしり埋め尽くしている。ざっと見ただけの数でも厳しそうだ。


 けれどもこんなところで死ぬわけにいかない。まだ会っていない……。


「さぁ、いくわよ!」


 今は気力と応援を呼びにいかせた人物に期待するしかない。 

 数時間前に初対面としたモヒカン男を信じるしかなかった。

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