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37 ダンジョンに突入です!

誤字報告、本当にありがとうございます!


気をつけているつもりなのですが、私自身誤字が多くて、本当にありがとうございます!



「よいしょっと!」


セフィアの導きのままに、ミカはダンジョンの入口付近で止まった。


入口付近は、ミカが思っていたよりも整っていた。

看板も立っており、『29』と書かれている。


「……これ、どういう意味?」


「全世界で、29個目のダンジョン、という意味ですね」


「なるほど」


ミカはセフィアを離し、看板を触る。

触った感じからして、最近立てられたわけでは無さそうだ。


「看板は新しくないってことは、少なくともこのダンジョンも古い…」


「ダンジョンを踏破しても、報酬は踏破したそれぞれに配られるようなので、順番のようなものは無いようです」


「そうなのね…」


とはいえ、踏破した人自体が少ないともセフィアは言っていた。

このダンジョンがそうである可能性は低い。


が。


「急ぐことに越したことはないわよね」


「そうですね」


もちろん、ダンジョン内は慎重に進まなければいけない。

なにせ初挑戦だ。

しかし、ジェイナの事もある。


「さあ、行くわよ!」


「はい」


ミカとセフィアは、中に入っていった。













「……屋内なのに明るいわね」


「それは、ここにある鉱石が光っているから、というのが世間的な話です。本当かどうかはまだ議論されているようですが」


「そうなのね」


ミカは、ダンジョン内の壁に触れて言う。


セフィアは、いつから持っていたのか。短剣をその手に収めていた。


ミカがこっそり『アナライシス』したが、かなりの斬れ味だという情報が得られた。


そこで、そういえばと思いつく。


「私の剣の斬れ味とか見てなかったわね」


いくらアーリアだとしても、そこそこの斬れ味しか無いはずだ。

というより、斬れ味抜群なものを当時5歳の女の子に渡すなと言う話なのだが。


ミカが『コンバート』していた剣を取り出し、斬れ味を確かめる。


「……」


斬れ味は、『かなり』とか『とても』とかじゃなかった。

『ほぼ全部斬れる』だった。


ミカは思わず脱力して、心の中で突っ込んでしまう。


(この剣は五右衛門から貰った剣なのかな?)


と、ミカが突っ込んでいると、ミカが歩いていた足元が不自然にガコン、と沈みこんだ。


それを見たセフィアの顔色が変わる。


「お嬢様、危険です!」


「ふぇ?」


セフィアがそう言った瞬間、ミカの頭目がけて、地面から槍が突き出される。


しかし、それはミカの体に当たるなり、すぐに弾け飛んだ。


「……」


「お嬢様、おケガは…」


「え? う、うん。無いわよ」


心配しているセフィアだが、ミカは少し落胆していた。


(ケガが無かったのはいいけど…これ即死トラップじゃない。こんなのどうやって防ぐのよ…)


本当に防ぎたいのなら、ミカのように、強力な強化魔法をはるか、全身を金属の鎧で覆うかだろう。


そもそもの話、トラップだと見抜ければ良いのだが。


と、ミカが考えていると、セフィアが口を開く。


「お嬢様、私が前を歩きます。トラップは私が判断致しますので、お嬢様はそれを避けてお通り下さい」


「……ええ、わかったわ」


ミカとしては、自分の方が硬いのだから前に出るのが当然、と考えているようだったが、罠は見抜けない。


セフィアの言い方からして、罠を見抜くのは容易そうだ。


「……」


「お嬢様、それはトラップでございます」


「あ、うん」


セフィアが罠を見抜くことで、ダンジョンをただ散歩しているかのようなミカ。

今のところトラップしか無く、魔物は出てこない。


つまり、ミカはただセフィアの後ろを歩いている約立たずであった。


「お嬢様、魔物の気配です」


「私に任せて!」


暇になっていたミカは、セフィアかそういった事で一気にやる気を取り戻す。


『コンバート』させていた剣を取り出し、ミカはセフィアの前に立つ。


「……」


唾を飲み込んだミカが見たのは、三つ首の悪魔のような…。


「ケルベロス!」


「それぞれの口から放たれる、属性の違うブレスに注意です、お嬢様!」


セフィアが後ろに飛び、ミカが前に飛び出す。

敵は1体だ。であれば、不用意にセフィアの近くで戦闘は行わない方がいい。


ミカは、瞬時に、右の首を跳ね飛ばす。


すると、残りの2つの首がノイズのような咆哮を始めた。


「うっ…!?」


強化魔法と言っても、音までは防いでくれないらしい。

鼓膜が破れる心配は無さそうだが、ノイズは精神的に耐え難いものがある。


「こっ…のぉ!」


ミカは、ノイズを耐えながら、左の首を飛ばす。


ケロベロスは最後の抵抗のつもりなのか、ミカにのしかかってきたが、ミカはそれを受け止める。


「ラストッ!」


ミカは、ケルベロスを押しのけ、そのまま最後の首を飛ばす。


その後、ケルベロスは動かなくなった。


「ふぅ…」


「お疲れ様です、お嬢様。ダンジョンでの魔物は血が出ませんので、服を着替えなくても良いというのが利点かもしれませんね」


「そうね…」


首を飛ばしたというのに、ケルベロスは血を一滴も流さなかった。


残っているのは、ケルベロスの体だけだ。


「お嬢様、一旦休憩致しましょうか?」


「……そうね。休憩しましょう」


初めての魔物とのバトルは、ミカが勝利を収めた。


とはいえ、ミカが負ける相手なら、誰も勝てないのだが。













「そういえば、なんだけど」


「なんでしょう、お嬢様」


「このダンジョンの内部ってどうなってるの?」


ミカが疑問に思っていたことは、ダンジョンの内部について。


地図も無いのに、ミカはセフィアが自信を持って進んでいるようにしか見えなかったのだ。


すると、セフィアは少し微笑んで言う。


「そうですね、私は何となく分かるだけですので、少し説明するのは難しいかもしれません」


「そうなのね」


セフィアは、ダンジョンに適応した人間らしい。

ダンジョンに適応する、というのは、ダンジョンの構造が感覚でわかったり、魔物が近くにいるのがわかったりと、いい事ずくめだ。


ただ、人為的に適応した人間を作ることは出来ず、また、後天的に身につくものでもない。


セフィアは、そう説明した。


「セフィアって凄かったのね」


「いえ…お嬢様ほどでは…」


と、セフィアは言うが、満更でもなさそうな顔をしている。


ミカはそんなセフィアが可愛く感じて、頭を撫でる。


「いつもありがと、セフィア」


「お嬢様……いえ、この命、お嬢様に捧げておりますから」


「あはは…自分の命は大事にね」


そして、休憩を終えて、2人は立ち上がる。


「ともかく、先を急ごっか」


「そうですね」


ジェイナの事もあるが、ダンジョンに入ってからどれだけの時間が経過したのか、ミカは分からない。


セフィアが把握している可能性もあるが、お互い分からなかった時を考えた時、やはり出来るだけ先を急いだ方が良さそうであった。


「セフィア、よろしくね」


「お任せ下さい、お嬢様」


再びセフィアを先頭に、2人は歩みを進める。


着実にゴールへと近づいているはずなのだが、ミカはその感覚がするというだけで、実感は無い。


セフィアは、自信満々に進んでいくので、間違っている様子では無さそうだが。


そして再び、2人の前に魔物が現れる。

が、今度は。


「ゴブリン…!?」


「数は5体、お気をつけください!」


セフィアが言った通り、曲がり角からワラワラと、全部で5体現れた。


ミカは、最初はゴブリンという存在がこの世界にもいるのだと驚きはしたものの、すぐさま斬り伏せていく。


強さは、先程のケルベロスの10分の1程度だろうか。


「これぐらいなら、余裕ね…」


2回目の戦闘だと言うのに、既に慣れた様子のミカに、セフィアは驚いた。


「お疲れ様です、お嬢様。お嬢様は適応力が高いのですね」


「……どうかしらね」


ミカとしては、相手が魔物であるから、と言った感じだった。


相手が人なら、慣れることはほぼ無いだろう。

学院のような決闘方式ではなく、単純に相手を殺すためだけの戦いだ。


逆に、相手が魔物だから、躊躇は無い。


機械的な作業だと、ミカは考えていた。


(そんなことより…)


ミカは、セフィアの方を向く。


「セフィア、もう少しでゴールに着きそう?」


「はい。もう少し進んだ場所に、ダンジョンの主がいるはずです」


セフィアの言う通り、少し進んだところに、大きな扉があった。

恐らく、この先にいるのだろう。


「……少し準備してからいこうか」


「それがいいと思います」


そして2人は、お互いの持ち物を確認し、頷きあった。


「じゃ、いきますか!」


「はい、お嬢様」

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