第十一話 天文13年春の時点での遠江戦略
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また、いつも誤字報告をしてくださる皆様、とても助かっております。自身でも確認はしておりますが、また間違うこともあるかと思います。その時はよろしくお願い致します。(ただし、誤字報告だけで、お願いします。)
なお、送り仮名は、どちらでも良い場合は、分かりやすくする為、多めになっている事がありますが、誤字では無い事もあります。誤字の場合は修正し、誤字じゃない場合は、ルビで対応しようと思います。
※2022/10/23から20時更新になりました。
「都お姉様・雅お姉様、遊んでいる暇はありません。小五郎はおらんか?」
「はっ、ここに」
「おったんなら助けい。まぁ、良い。二十日の大評定で軍議をする。出来る限り集まるよう伝えよ。小角衆は防諜を最上段階に引き上げよ。」
「それではいよいよ?」
「十一月の事になると思うが、其方の三河織田家としての初陣もな。励め。」
「ははっ」
大評定には、対今川の最前線である吉田城及び吉美砦・三ヶ日砦の三守将、並びに田原水軍の主将以外が揃っている。現在、三河の家臣団は直臣四十二家を含めて百五十八家ある。尾張・三河で話を始めた戦国ラノベの主人公たちよ。君たちは殺しすぎではないだろうか?もしくは国人を無視したかな?人材不足?知らない子ですねぇ。
さて、現実逃避はこれくらいにして、勘助に進行を開始してもらおう。半三・橘内・弥四郎が頷いた。防諜に問題無いようだ。
「では、これより軍議を開始します。ここにいる方々は、警邏隊の方々を除き、霜月の出陣を目指し、残り十ヶ月ほど戦準備をして頂くが、異存ある者はおられるか」
「これは決定事項である。」
「ありがとうございます。三河守さま。」
異存のある者はおらぬようだが、警邏隊の隊長たちが、やや不満そうか。
「警邏隊長各位に告ぐ。警邏隊は、戦時に於いて防衛軍となる事を忘れるな。一人でも怠ければ、万が一の時、三河が危うくなると心得よ。」
よし、警邏隊長の顔が引き締まったな。
「うむ。流石、三河武士よ。勘助、内応状況を教えてくれるか。」
「はっ、まずは遠江から。」
長くなるので纏めると、今川親族衆では「鵜殿・小笠原」二家が内応。理由は先に述べた通り。今川家臣団からは、「浜名・浅羽・天方・天野・飯尾・興津・久貝・久能・黒川・西郷二家・竹田・中安・孕石・本間」の十五家。理由は幾つかあるが、織田家による三河戦の戦中・戦後の今川の対応の稚拙さと安祥広忠を迎え入れた事に対する不満、そして広忠嫌い(父・祖父を含む)が原因のようだ。
今でこそ遠江にいるが父祖の地は三河で安祥清康に三河を追い出された者や、今川家臣として先代・先々代が安祥信忠・清康親子と戦い続けていた遠江衆にとって安祥広忠は反吐が出るほどではないが虫唾が走るほど嫌な存在らしく、安祥広忠の元には三河戦で遠江に逃げ出した近藤忠用親子と鈴木重勝親子と菅沼俊弘親子しかいない。
さいごは遠江国人衆だが、三河の時と違って静観ではなく、最初から味方のようだ。全ての国人「井伊・石野・加賀爪・黒田・戸塚・瀬戸・曽根・都築・冨樫・長池」それと湖賊の「中村」の十一家である。
理由は、遠江と三河は以前から戦が多かった事と同様に交流もあったようで、国人に対する織田家のやりように、畏怖と安心感があるようだ。畏怖はおそらく、三河侵攻戦で序盤は中立を謳いながら終盤に参戦してきた二家を族滅させた事だろう。安心感は、家臣となった三河国人衆は年貢が少ない上に、産業のおかげで銭回りがよくなる事が羨ましいそうだ。なお、今回の戦後には貫高制に移行する事にも納得している者たちだ。
相変わらず、えげつない謀略だ。惨虐とかそういうえげつなさではないが、遠江での敵城は朝比奈備中守の掛川城と朝比奈紀伊守の宇津山城だけのようだ。
地上戦は掛川城攻めだけだ。宇津山城は海上から大砲で弾丸の雨を降らせてやろう。その為に、時代とか無視して開発してきたのだ。北条を黙らせる為にも、派手な戦果は必要だ。どうせ譜代の朝比奈は残せない。残すとしても残せるだけの手札がないと無理だ。




