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百合ハーレムの作り方  作者: 乃麻カヲル
第3部一章「百合葉たちの繰り返す春」
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第48話「料理番組ごっことは」

# 第48話「料理番組ごっことは」


 時は近年やけに暑くなってしまった5月の北国某所。


 日陰に居れば風が涼しいけれど、日向に出たら肌がチリチリだ。皆、日焼け止めをしっかり塗った上でこの大地に降りたった。


 僕らはジャージ、麦わら帽子、首に巻いたタオルという、農作業な出で立ちである。


「いやね? 金曜どうでしょうという番組にハマっちまってですね?」


「仄香、君はいつも何かにハマってやろうと言うよねぇ」


「せやねん! それでですね? 今回は料理番組ごっこをしようというわけなんです!」


「へぇ。それで、このまったく開墾されてない畑で野菜作りから始めるというわけ? 暑いのに。女子高生5人で」


「せやねん!」


 胸をはる仄香、しかし他の子たちの反応は微妙だ。


「あっ、わたしパスゥ~! 手におまめが出来ちゃうもの~。見てるだけ~」


「あ……あたしもムリ……重たい物振るうの……ムリ……」


「いきなり人員が削れてるけど?」


 咲姫も譲羽もごもっとも。色白美少女が畑を耕すなんてあってはならない絵面なのだ……。


「せ、セーフよきっと……! ゆーちゃんと蘭たんが居れば100人力!」


「あんたが頑張ってくださいな……!」


 僕ら頼みな仄香に呆れるばかり。


「バカバカしいな。見るだけ見るかと準備してやったが、こんな事してなんになる」


「ほらぁ仄香。蘭子も離脱しかかってる。食い止めて食い止めてっ」


「ら、蘭たん! みんなで美味しいカレーを食べたくはないのか!?」


「それならスーパーで買えばいいだろう」


「そうだけどさぁ~! 1から作ってみたくなったねん~!」


「知らんねん」


「なにそのエセ関西弁は……」


 何気にノってあげる蘭子ちゃんかわいい。


 仕方ない。咲姫と譲羽はお休みモードとしつつ、見るのは楽しみにしてくれるみたいだし、楽しそうなイベントを提案してくれた仄香には乗っかって、蘭子を説得しないと……。


「蘭子、僕はね、君の鍬を振るうカッコいい姿が見たいんだ」


「よし、やろう」


「チョロ過ぎやせんか蘭たん?」


 相変わらずのチョロヒロインな頼もしい大柄美少女蘭子ちゃんであった。


 この区画、実は学校の敷地ではあるものの、今は使っていないみたいなので、一部を使わせて欲しいと仄香と譲羽が譲羽のママである学院長に頼んだらしい。用意だけは周到だ……。


 軍手も鍬も綺麗な物を学校から借りている。自主性を重んじる学校なので、備品もばっちり。家庭菜園部があった時の物を借りれたそうだ。その敷地も、少し荒れてるだけで、確かに過去に開墾された形跡はある。


「どっこいせー! の! よっこいせー!」


「仄香、雑用なんだからそんな声かけ要らなくない?」


「こういうのはノリよノリーっ!」


「そうなの……」


 わかるちゃあわかる。でも、小物を拾うだけには不似合いなかけ声で、ちょっと笑ってしまう。


 蘭子がバツンバツンと枝切りバサミで細い枝や蔦類を切り、仄香が細かいそれらをカゴにまとめ、僕が敷地外に投げ捨てる。まあ、良いコンビネーションだ。


「ゆ、百合葉チャ~ン、がんばェ~」


「美味しい野菜をよろしくねぇ~」


「うん! がんばるよ!」


 笑顔で答える僕。なんで用意してあるのか、ビーチパラソル付きの机で休む譲羽と咲姫に応援されて。なるほど、これが頑張るお父さんの図か……。


 百合ハーレムの主として、みんなの笑顔は僕が作らないとな~と思っていた。そう、僕は頑張ってるんだ、頑張らなくちゃいけないんだ! しかしその後訪れる、半分荒れた土地の開墾作業はそんな生半可なモノでは無かった……。


「蘭子……! 土の中の根っこが堅くてムリ……! なんとかならない……!?」


「私一人では流石に時間が掛かりすぎる……! 百合葉が言い出したんだ、怠けないで続けてくれ!」


「これ絶対筋肉痛になるよ~!」


 土地の表面が見えるようになって、鍬を振るいだしたあたりからだ。途端にに作業難易度が上がったのだ。コスパ主義で疲れないで毎日を効率良く過ごすのがモットーな僕としては、筋肉痛になってヘロヘロな姿を他の子たちに見せたくない……。


 そこに滝のような汗がポタリと落ちる。


 そこで僕の何かがはじけた。


「なんでぇ! こんな前時代的な事をやらなくちゃならないんだ! 機械も使わないで! 僕はさぁ! 中性を目指してるって言ってるけどさぁ! もうやめる! 僕、女だったわ! こんな力作業は、女という生き物には根本的に向いてない! やるべきじゃない!」


「私も女だ! でも、百合葉がやるって決めたんだろう!」


「うわぁー! 手が痛いよぉー! まめが潰れるよぉー!」


「ゆーちゃん泣きごとを言うなぁ~! あたしだって野菜が穫れるって頑張ってるんだからぁ!」


「仄香は言い出しっぺなんだからもっと鍬を振るって!」


「……へい」


 とは言っても仄香はへなちょこな振り具合。華奢な体では鍬に体が持ってかれそうだ。


 ならば、僕と蘭子で頑張るしかないんだけど、汗水たらしながら頑張るのも辛くて、泣き言を言いたくてしょうがない。


「僕はぁ……みんなより筋肉はあるけどさぁ! それはみんなにカッコいい姿を見せたくて! スポーツで効率よくカッコいい姿を見せたくて! 鍛えた物であって! こんな! 泥臭く! 汗臭い! 姿を見せる為じゃないんだよぉ!」


「高身長中性美少女の滝汗姿……どの角度からでも楽しメル……グヘ、グヘへ……」


「汗なめたいわねぇ」


「腋の臭い嗅ぎてぇ」


「今晩は筋肉痛汗だくで楽しむ回だな……最高か?」


「あんたら変態かーッ!? そういう嗜好は求めてないのにっ!」


 そうだった、うちの美少女たち、変態しか居ないんだった。


 気付いたら日傘下に居た譲羽は写真撮りまくってるし。恥ずかしいのはやめてくれ……。


 ……随分と日が傾いて、なんとか明るいうちに作業を終える事ができた。人参、じゃがいも、玉ねぎ。キュウリに、トマト、ナス、と、上手く出来るのか分からないけど、とりあえず植えるまでにこぎ着けられた。網付きの柵で囲って、そして、入り口を閉じて、作業してた3人でハイタッチ。咲姫と譲羽が僕と蘭子に席を譲ってくれて、スポーツドリンクまでくれた。感謝を言いつつも、流石にカッコつける余裕まではなく、どっかりと座る僕ら。


「料理番組ごっこだっけ……これでみんなで美味しいカレーが作れそうだね……そういえばこの野菜……出来上がるのいつ?」


「うーん、3ヶ月後くらいかにゃ?」


「……長いなぁ」


 ここまで来たら、料理番組ごっこがきっかけなんてどうでも良いような気がした。

いつも久しぶりでございます。かおるでございます。


こんな放置気味な作品誰が見てくれてるか分からない所ですが、日々百合葉ちゃんたちの事は考えてまして、この度は某どうでしょうを見始めた影響で思いついたやつを勢いで書きました。


しばらく書いてない間にキャラ設定の追記があるかもしれません。

仄香ちゃんはハマったらすぐ真似しようとする性格。今まで出てたかな。

譲羽ちゃんは変態度が上がりました。


この辺りは書き直す際にそういう設定を詰め込みたいですね。


なお色々と完成度を考えてしまって書き直すやる気がないんです泣

Kindle小説化したいです泣


やる気はどこにも落ちてない。自分で出すしかないんだよ。かおる。

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