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よろしくお願いします!

「わはは! ここは余に任せろ!」


 ゴブリンの一団を相手に、盾を構えて一歩も引かぬエミール。

 その台詞だけ聞けば、実にカッコ良いのだが、


「くぅー! 己を犠牲()にする余のカッコ良さと、血気盛んな魔物たちの攻撃(快楽)のコンポ! たまらんぜ!」


 恍惚とした顔と、本音をダダ洩らす口さえなければだが……。

 しかし、囲まれて攻撃を受けているのに、致命傷だけを選んで躱す体捌きと……。


「ばかやろう! お前が前に出たら、他の魔物が攻撃しづらいだろうが!」


 やけに生き生きとした顔で、なぜか魔物たちの攻撃のリズムを崩す者だけを、盾で殴り倒すエミール。

 僕の指揮とか無関係に動く二人だが、セツナにもエミールにも腕の立つ護衛がいるのだから、大丈夫だろう。

 そう思うことにした。


 まあ、気になるのは、

 セツナの護衛って、なんか気配つかみずらいし、武器は紫色の何かを塗った短剣だし、黒づくめで、いまだに顔を見せないことぐらい?


 さらにセツナを見る目は、押さえているけど殺気を帯びてるとか、今! セツナが転ばなかったら、首に短剣刺さってなかった? とか、


「と、とにかく、僕もそろそろポイント稼がなきゃ!」


 見ないふりをした。

 まあ、冗談(だよね?)では無く、僕もと腰の剣に手をかけるが、


 ドサドサッ!

 バタバタバタ!


 なぜか僕の前には、ひれ伏すように倒れ込む魔物多数。

 中には、気配の無かったオーガとかの中級の魔物までいるんですけど?


「おろおろ? さすがわ主殿じゃ。魔物の方から首を刺しでしてきたのじゃ!」


 良く見れば魔物の半数は、電撃の魔法で身動きが取れなくなっていて、


「あらあら、さすがはアルですわ! あなたが存在するだけで、魔物さえもひれ伏すなんて!」


 良く見なくても残りの半数は、どんぐりのような小さい何かで四肢を砕かれた魔物だった。


「いやいや、わざとらしいし、グロイよ!」


 思わずツッコみを入れる僕だが、


「おろおろ、主殿!」

「あらあら、アル!」


 なぜか期待に満ちた二人の瞳に、拒否権は無く、僕は淡々と魔物に止めを刺すのであった。



「ふう、これで戦闘終了かな? それじゃ今度は……あっちに行ってみようか?」


 戦闘、っと言うより、一方的な虐殺っぽいこの場から目を背け、普段通り装い、さらに彼ら(勇者)と距離を取るため、僕は言葉巧みに東へと導こうとしたのだが、


「で、伝令! ここから南方の方角から魔物が多数、まるで、津波のように王都へ向かっております! アルサス殿に王から直接の依頼です! 『祭りの最中だから、王都に魔物を近付けないでね? 特に最大戦力(姉上)がいる学園生徒(アルサス殿)はよろしく!』との事です!」


 僕の予想と期待を裏切るように、王国の伝令が声を上げて早馬に乗ってやってきた。

最後までお読みいただきありがとうございます!

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