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短いけどなんとか間に合った!
「エミール様と護衛の方は前衛へ! それを越えてくる魔物をセツナ様とその護衛で仕留めて! ヒルデ、彼らに防御魔法を!」
「「「分かった!(のじゃ)」
「わ、私も、歌います!」
「「「「「それだけはやめて!」」」」」
姉上のおかげで皆、すんなり言うことを聞いてくれる。
ちなみにミナは、セツナ護衛の一人に口を府がれていた。
『セツナの護衛なのに、いい仕事をする』
なんて思うのは不敬なので、僕は思いもしてない。
とにかく、これで不意打ちを狙う魔物に、カウンターを食らわせる準備が出来たのだが、
「あらあらアル? 私は? 私の出番は?」
さっきから、僕の腕をグオンッグオンッ揺らす姉上。
なんか、魔物の対処よりこっちの方が面倒臭い気がする。
それでも。
姉上と姉弟になって一〇数年。
彼女の対応は知っている。
「姉上。姉上は僕らの最後の希望です。だから、凄く、物凄くピンチに陥った時まで、力を溜めていて下さい!」
そう、にこやかにお願いすれば、
「……あらあら分かりましたわ! 私がアルの最後の砦! 私がアルを絶対、絶対、ぜえぇぇぇぇぇぇぇぇったい! 守りますわ!」
胸の前で拳を固め、
ふんすっ!
っと気合を入れ直す姉上。
その仕草は、弟の僕でも可愛いと思いってしまうほど健気だ。
まあ、その手に握られてたどんぐりが、粉末になって握り拳からサラサラ零れるのは見ないことにした。
とにかく、迎撃態勢は整った。
瞬間。
「ギヤアァァァァ!」
予定よりちょっと早めに、ゴブリンが草むらから飛び出してきた。
「落ち着いて! まずは……」
「うおぉぉぉぉぉぉ!」
僕の声を遮り、剣を振り上げ突っ込んでいくバカ元王子。
それに、振り下ろすタイミングが早すぎる。
まあ、視界が悪いってことは、草木が生い茂ってるということで、
当然。
ガッ!
「うおぉぉぉぉぉ! 剣が木の枝に!」
「当たり前だ。無暗に振り回す……え?」
フォローのため、腰にある剣に手を伸ばした時。
「うわお!」
かなりの勢いだったのか、剣は一拍遅れて木の枝を吹き飛ばし、そのタイムラグで、
ザシュッ!
バランスを崩しながらもその剣先は、絶妙なタイミングで襲い掛かって来たゴブリンの脳天を直撃。
しかも、吹き飛ばした木の枝が、後続のゴブリンの足にぶつかり転倒。
そのはずみで、
「ギュ! ウゥゥゥゥ」
己の持つ短剣で胸を刺し絶命した。
「ええ! なにその強運! 元から? それとも王位継承権無くしたから?」
思わず叫んだ僕に、
「ああ。そう言えば、最近、肩に変な重みもないし、悪夢にうなされずぐっすり眠れるなぁ」
「ホントに呪われてたのかよ!」
…………彼が呪われていたのかは置いとこう。
下手にヤブをつついて、女帝が出てくると困る。
「と、とにかく、まだ戦闘は終わってない。周囲を警戒して……」
動揺を隠す僕の声に、
「わはははははは! そんな打撃で、余が満足すると思うか!」
今度は、どこぞのドエム王子の雄たけびがかぶってきたのだった。
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