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よろしくお願いします!
翌朝。
「行ってらっしゃいませ! 王女様がた! 救世主様がた!」
僕らを見送りに、キッチリ腰を九〇度追って送り出す管理者。
『え? だれ君? 昨日まであんなに横柄だったクルルス君じゃないよね?』
そう思えるほど、彼の態度は変わっていた。
風呂上り(お風呂であったことは、誰にも言えない! とにかく、僕は純潔を守りきったとだけ言っておこう)からその後。
僕らには王宮とまでは言わないが、豪華な食事にフカフカなベッドがあてがわれ、快適な夜が過ごせた。
ちなみに、
「あらあら、ここまで登れれば、あなたたちも入ってよろしくてよ?」
そう言い放った姉上に、セツナとミナは風呂を断念してシャワーを使い、エミールは、水死寸前で助けられていた。
しかも、食事も待遇も、僕ら以外は普通の冒険者並みの待遇らしかった。
文句ダラダラの彼らだが、僕だって……いや、過去を振り返るのはやめよう。
そんな訳で、気力も体力も十分? な僕たちは、再び魔物狩りへとこのキャンプ地を後にする。
後日。
『天界より舞い降りた女神が、羽を休めるために作った、天空の湯!』
っとして、ここが観光地として賑わうと知るのは、もう少し先の話だ。
「さあ、出発しようか!」
僕はさりげなく、勇者たちとは反対側にチームを誘導した。
「さて、今日は僕らのポイントを稼ごうか」
魔物狩りで僕らに貸し出された手の平サイズのカウンターは、どういう理屈か分からないが、自分が止めを刺した魔物しかカウントしない魔法のカウンター。
ゆえに昨日は、姉上とヒルデ以外の僕らのカウンターは動いていない。
さすがにそれは体裁が悪い。
なので今日は、姉上とヒルデ以外で魔物を狩ることにした。
え? 姉上かヒルデが魔物よ弱らせ、止めを刺せば?
僕も一瞬、そんな考えが頭によぎったが、
うん。二人に手加減なんて器用な事出来る訳ないじゃん!
それに、成り行きとは言え同じチーム。
彼らの実力を知っておきたい。
得意な魔法や武器を知り、最適な戦法を考えたいし、
なにより。
姉上とヒルデの攻撃範囲から、どれだけ離れれば死なないか。
主に耐久度(これが一番大事!)を確認したい。
そんなこんなで森を彷徨うこと十数分。
「来ました! ゴブリンの集団です!」
そんな声を上げたのは、意外にもミナだった。
草木が邪魔をして視界の悪い場所なのに、姉上やヒルデを差し置いて魔物を見つけるのは、もはや一流の、いや、伝説級狩人並みだと思うのだが、
「いや、そんな危険察知能力あるなら、なんで姉上に絡んだ?」
危険が察知できるのなら、綺麗な布を巻きつけてごまかしてるその首輪も、付けること無かったのに。
思わずツッコんでしまった僕に、
「ええ? わたしぃ。本当に命がヤバイって時にしか、この能力、発動しないんですよぉ!」
僕に向かって媚を売るように、腰をくねくねさせ僕に近寄ろうとするミナ。
刹那。
ヒュンッ!
「うばぁぁぁぁ!」
淑女らしからぬ声を上げ、地面に転がるように身を伏せた。
間髪入れず、彼女の頭のあった場所を通り過ぎる、多分どんぐり。
「あらあら? 手が滑りましたわ」
「死んじゃうからそれ! どんぐり木の幹貫通してるじゃん! そんなの頭に当たったらパーンってなっちゃうから!」
「ちっ。あらあらごめんなさい」
「今舌打ちしたわよね! それにちっとも反省…………」
「残念……よかったですわ、あなたの頭がパーンてならなくて、土下座さん」
「ぐへっ!」
姉上の必殺の一撃をしのいだ姿に、思わず確信してしまった。
彼女の危機管理能力は本物だと……。
多分だが、姉上にちょっかい出したのは、酷い目に合うかもしれないが、死にはしないと判断したためだろう。
現に、彼女はまだ生きてるのだから。
とにかく、彼女の能力が本物だということで、僕らにとってゴブリンの集団はヤバイ相手だと身を引き締めた。
「全員戦闘配置! って、セツナ様かエミール様が指示出します?」
本当に今更なのだが、このチームでは彼らの方が位は上だ。
念のため聞いてみたのだが、
「「それでは俺が(余が)!」」
二人の王子の声が重なる。
だが、
「あらあら? ヘタレとドエムごときの命令に、私が従うとお思いで? 私が従うのは、私が愛して愛して愛して止まない! わが愛弟、アル一択でしょう!」
「「はい! そうの通りです女帝様!」」
条件反射で頭をたれる二人に、満足げに笑みをこぼす姉上。
まあ、手段はともかく、今更ながら、僕がこのチームのリーダーになった瞬間だった。
最後までお読みいただきありがとうございます。
明日、作者急用のため、
明日の投稿が間に合わないかもしれません。
もしかして楽しみに待っているかもしれない、そこのあなた!
投稿したらラッキーぐらいに思っていてください。
しかし、ブクマ、評価、感想は二四時間受付中です!




