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二千年越しのラブソング  作者: 杵島 鈴
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龍宮館に、ようおこし

鳥のさえずりで目が覚めた。


母は既に仕事に行ってる。時計をみると8時8分。やばい、会社に遅刻する。


お母さん、起こしてくれてもいいのに。。。


昨日のなごりで少し腫れた目を擦りながら、いつもの通勤路を全力でかけだした。




いつもと同じ道を走っているはずなのに、いっこうに駅に着かない。気がつけばいつもの道なのに、だいぶ景色が変わっていた。


おかしいなぁ。道に迷った?


みるみるうちに今まで見たことない景色に変わって、鈴は途方に暮れていた。


いつもと同じ道歩いてきたはずなのに、なんでこんな山道にきちゃったのよ。。。


辺りを見回すと川のほとりに大きな神社みたいな建物を見つけた。表札には「龍宮館」の文字と、「ようおこし」の札が目に入った。



中の人にとりあえず駅までの道聞いてみよう。



鈴は薄暗い龍宮館の玄関に足を踏み入れた。



すみません〜。誰か居ますか?



何の反応もない。鈴は、いつも持ち歩いてる鈴を鳴らしもう一度声をあげた。



ようおこし〜


声の方向に振り返ると、麦わら帽子をかぶった小さいおじさんが立っていた。



神の子さんやね、素晴らしいね



そう言って、おじさんは微笑んだ。



おじさんの微笑みに母の微笑みが重なった。


その瞬間、昨日から堪えていたものが再び溢れ出してそれを拭う。



お母さん‥‥ごめんなさい。



そう呟いた鈴におじさんは話しかけた。



ほんと、二千年経ってもその優しさと、甘えん坊は変わってないんやね。鈴ちゃん、謝らなくていいんよ。



鈴ちゃん?!どうして私の名前を知ってるの?



おじさんはすこし黙ったまま、麦わら帽子を脱いだ。すると、光がさしてきて辺り一面光の世界に変わった。



もう光しかみえない。



ここは何処なの?あなたは誰なの?



光の中で声だけが語りかける。



ここは龍宮館。現代版の龍宮城。

ここでは時間と空間は超越されてるの。

ここでの出会いは今世だけじゃない。

今まで生まれ変わった分の深い縁のみを繋ぐ場所。君は僕を見てお母さんを思い出したのでしょ?



光の中からとても綺麗な女性が現れた。現代の女性ではない。光によっていろいろなカラーを放つ装束を見にまとっている。そのとき、前世の感情が湧き上がってきた。



お母様、お母様なのね。



女性は微笑み、再び麦わら帽子をかぶった。すると、光はおさまり現実に引き戻される。さっきまでいた麦わら帽子の綺麗な女性の姿はなく小さいおじさんが立っていた。


さっきの光の世界が嘘みたい。



私、このおじさんのことお母様って行ったよね。。。どうかしてたのかな。それとも夢?



おじさんは戸惑う鈴を見て笑い出した。



はっはっはっ。その反応はごく普通だよ。大丈夫。笑 夢でもなんでもない。僕は二千年前に実際君の母親だった。



鈴はいまいち状況を把握出来ていない。

おじさんは話を続ける。


君は今まで母親と、いつも一緒に行動していたでしょ。大体、行く場所は決まっていたはずだけど?思い出して見て。



今までの人生を振り返ってみる。

母親に連れられて行く場所はだいたい決まっていた。


天気が良くて、時間があるときは橿原神宮。

天気が悪かったり、体調が優れないときは大神神社に行ってたなぁ。

でも何がこれと関係しているの?



おじさんはにんまりと得意げな顔をして言う。



君は本当に何も知らないみたいだね。

これからぜーんぶを知ることになるから楽しみにしておいて。ここで話すよりも、実際会って、感情を思い出した方が話が早いよ。ほら、次の扉を開けて。



言われるがままに扉を開ける。

そこは部屋と言うよりも、庭と言う方が正しいかもしれない。

深緑溢れる青空教室がそこにあった。



私、確実に今日会社行けない。。。

とゆうか、家に帰れるのかな。。



小さな不安を抱えながら

青空教室に足を踏み入れる。

誰もいない教室。小さいおじさんが子どもみたいにはしゃいでいる。


ばからしい。


鈴は呆れて少し上を見た。


空を見上げると木々の葉が風になびき、歓迎してくれてるのがわかった。










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