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第82話 十六日、④
(原文)
さて、池めいて窪まり、水漬ける所あり。
ほとりに松もありき。
五年六年のうちに千年や過ぎにけむ。
かた枝はなくなりにけり。
今生ひたるぞ交れる。
大方の皆荒れにたれば、「あはれ」とぞ人々いふ。
(舞夢訳)
さて、わが屋敷の庭には、池のように地面が窪まって、雨水がたまっているところがあります。
以前から、そのほとりに、松が生えていたのですが、(土佐に行っていた)この五、六年のうちに、まるで千年が過ぎたかのように、半分がなくなっています。
それでも、新しく生えて来たような松も、あります。
(建物にしても庭にしても)この酷い荒れようを見て、「これほどまでとは」と、(土佐から戻った)人々は、嘆き合います。




