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クオリファイア・ロッド  作者: 斜志野九星
第4章 プラン・オブ・クリミナル・ポゼッシング・ロッド
34/58

第34話 ワイドスプレッド・リチュアル・オブ・ロッド

「いったい、犯人は何を狙っているんですか?」

「具体的なことは分からない」

 俺は気になってしょうがなかった。

 飯地がとんでもないことをしているのは、もう分かっている。

 でも、更にとんでもないことをしようとしているのなら、止めなきゃならない。

 多分、もっと多くの人が犠牲になる。

「だが、これだけは言える。おそらく、犯人はこの後、南と西の山の麓の地蔵の前でも人を動けなくさせる」

 本条さんが強い口調で言った。

「何で、そんなことが分かるのですか?」

「木丈霞町の四方を囲む地蔵は、目印の地蔵の中でも特に特殊で、木丈霞町全体を魔法の影響下におく場合のみに使われるんだ。そのうちの北と東の地蔵が既に使われた。それなら、残る2つの地蔵の前でも同じことをするはずだ」

 神上未咲の質問に、本条さんが答えた。

 木丈霞町全体を魔法の影響下におくだって!?

「更にもう1つ問題なのが生贄だ。さっき、人間が動けなくさせられているって言ったね?」

 今度は、本条さんが俺に訊いてきた。

「はい。『杖』で雷を人間に当てて、動けなくさせていました」

「その動けなくさせられた人間が儀式のための生贄だ。しかも、人間が最も強力な魔法を使うために必要な生贄であることは、調査で分かっている」

 本条さんが答えた。

 つまり、さっきの話と合わせると、後2人あんな姿にさせられることになる。

 許せないな……

「何で、最も強力な魔法を使うために人間が必要なのですか?」

 神上未咲が本条さんに訊いた。

「理屈は良く分からないが、無生物よりは生物、更に生物の中だと大きくて頭が良いのを生贄にすると、魔法の精度が上がるらしい。まあ、統計の結果なんだけど……」

 本条さんが答えた。

 ところで、本条さんの言葉から察するに、『神上家』は相当な数の物を生贄にしている。

 何で、俺たちはそんなことも知らないんだ……

「このことから、自ずと犯人の最終目的が分かってくる。木丈霞町全体を対象とした大きな儀式をする。それが犯人の目的だ」

 木丈霞町全体を対象とした大きな儀式……

 飯地が企んでいることがようやく分かった。

 だけど、まだ飯地の動機が分からない。

 木丈霞町を巻き込んでまで、飯地はいったい何をしたいんだ?

「本条さんは、犯人が何を願ってそんな儀式をするのか、想像できますか?」

 俺は気になったところを本条さんに訊いた。

「うーん……何を願うのかな……」

 本条さんはしばらく悩んでから、

「木丈霞町の支配とかかな……?」

 と答えた。

 木丈霞町の支配か……

 でも、飯地がそんなことをするのか?

 確かに、飯地は変になっていて何をするのか分からないけど……

 それに「結城の為」という飯地の発言からはかけ離れていると思う。

 とりあえず、飯地がこれから何をするのかだけでも分かって良かった。

 本条さんの言うとおり、今日と明日、あいつは西と南で今まで起こしてきた事件と同じことをするだろう。

 今日、あいつが起こす事件には多分間に合わない。

 なら、明日起こる事件を全力で止めよう。

 飯地、お前の好きにはさせない!!

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