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クオリファイア・ロッド  作者: 斜志野九星
第3章 ファブリケイション・オブ・ロッド
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第21話 ホロコースト・ロッド

 神上未咲が見つけた壁は、俺たちにとってとても都合が良かった。

 俺たちをちょうど隠してくれる大きさな上、壁に穴が開いているため、俺たちはそこから壁の向こう側の状況を見ることができた。

 何で、こんなところに壁があるのかは分からないけど……

「飯地久彦君。もう、君の目的は分かっているんだ。諦めて『杖』をこちらに渡してもらえないかな?」

 『神上家』の人たちと飯地は対峙したままだったが、しばらくして神上達雄が口を開いた。

「それは私たちにとって、とても大切なものなんだ……」

 先程の威厳さとは全く違う不気味さを神上達雄は発している。

「その私たちってのは、木丈霞町の人たちって意味か?」

 対する飯地は、虚ろな目、青ざめた顔で言葉を返した。

 他の人があの飯地を見たのなら、とても不気味に思うだろう。

 だが、俺があの飯地を見るのはもう3回目で、慣れてしまった。

「もちろん。木丈霞町のためにいるのが、我々『神上家』だ」

 神上達雄はそう言いながら、飯地に近付いていった。

 目を凝らしてみると、飯地の背後からも『神上家』の黒服が近づいている。

「それが本当だったらどれほど良かったか……」

 飯地は、ニヤリと笑いながら言った。

「結城をあんな風にして、よくそんなことが言えるな!!」

 そして、手に持つ『杖』を振るった。

ドゴォォォォォォォォォォォン!!!

 空が晴れているというのに、突然雷が落ちてきた。

 その雷が直撃したのだろうか、飯地の背後では『神上家』の黒服たちが白目をむいていた。

「物騒だな。突然人を何人も殺すとは、常人の発想とは思えない」

 神上達雄は、その雷の直撃を回避しており、再び飯地に近付いていった。

「もう、常人じゃないからな。まずは、その口を身体ごと封じてやる」

 飯地はそれに対して、露骨に嫌な顔をして『杖』を振るった。

 もう、常人じゃない?

 『魔女』じゃないのに、『杖』を扱っているからか?

「くっ!! ガッ!!」

 神上達雄が苦しそうな声を上げて立ち尽くした。

 身体を動かそうとしているようだが、神上達雄の身体はビクともしない。

 飯地が言っているように、身体を封じられてしまったのだろう。

「達雄様!!!」

 『神上家』の黒服たちは、それを見るなり、飯地に突撃していった。

「ガッ!! ガッ!!」

 神上達雄は、何か言おうとしているが、何も声になっていない。

 また、飯地が『杖』を振るった。

ビュォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!

ドゴォォォン!! ドゴォォォン!! ドゴォォォン!!

 飯地の周りを突風と雷が吹き荒れ、飯地に近付いていた『神上家』の黒服たちを吹き飛ばした。

「俺たちを馬鹿にし続けた罰だ」

 更に飯地は『杖』を掲げた。

ドグォォン!!

ドガァァァァン!!

ビシュゥゥゥゥン!!

 辺りを雷が駆け巡る。

 『神上家』の黒服たちは、その雷の直撃を受けて倒れていった。

「あ……あ……」

 その中に1人だけ、まだ倒れていない黒服がいた。

 その黒服は腰を抜かしていて、飯地に恐怖しているようだ。

 飯地は、その黒服に近付き、『杖』を向けた。

 途端に、何かに突き飛ばされたかのように、黒服の身体が宙を舞う。

「ブスッ!!」

 黒服の身体は、地蔵のすぐ近くに落下した。

「『神上家』の1人なら、結城の為の犠牲になれ……」

 飯地がそんなことを言い、『杖』を掲げた。

ズドーン!

ズドーン!

ズドーン!

ズドーン!

ズドーン!

 その光景は、拷問のようにしか見えなかった。

 『杖』の力で、黒服に連続して雷が落とされ、黒服は遂に倒れ伏した。

 それを見た飯地は、とても嬉しそうな笑顔を浮かべた。

 その笑顔は俺が知っている飯地の笑顔とは程遠いものだった。

 まるで、悪魔……

 その表現がピッタリとあてはまる笑顔を、飯地は浮かべていた。

 俺は飯地に目的があるのではないかと思っていたが、とてもそのようには見えない。

 いったい、あいつは何を考えているんだ?

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