第20話 アンブッシュド・ロッド
ダッダッダッダッダッダッダッ!!!!!
「にしても、凄い音だな……」
俺たちは『神上家』の黒服たちを尾行していた。
その『神上家』の黒服たちは、人目もはばからず道路の真ん中を大勢で走っている。
それだけ、重大な何かが起こったんだろう。
「いったい、何があったのかしら?」
「お母さん怖いよぉぉ」
木丈霞町の人々は、何事だろうかと『神上家』の黒服たちに釘づけだ。
人々は、黒服たちの気迫と走る音に圧倒され、勝手に道を開けていく。
車も同じだった。
中には、慌てて『神上家』の黒服を避けて、事故を起こしかけた車もある。
今や道路は『神上家』の黒服の道に変わっていた。
だが、俺たちにとって、それはありがたいことだった。
何しろ、俺も神上未咲も『神上家』の黒服たちを見失うことがない。
そして、『神上家』の黒服たちは目的地に向かうのに必死だし、町の人々は『神上家』の黒服に釘づけなので、俺たちが追っていることがばれにくい。
見失ってしまったら、追っている意味がなくなってしまうし、ばれてしまったら、俺たちはただじゃいられないだろう。
「ところで、『神上家』の黒服たちは何処に向かっているんだ?」
俺は神上未咲に訊いた。
「分からないです。でも、真っ直ぐ東に向かっている気がします」
神上未咲はいつものハキハキさを抑えて答えてくれた。
「東? そこにいったい何があるんだ?」
「それも分からないです。ただ、今の木丈霞町の状況を考えれば、おそらく『杖』が見つかったのではないかと……」
神上未咲が自分の推測を俺に教えてくれた。
『杖』ってことは、飯地がいたってことか!?
それなら、なおさら行かなくてはならない。
あいつに何の目的があって、人を奇妙な状態にしているのかを知りたい。
「急ぐぞ!」
「はい!」
俺たちは、『神上家』の黒服たちに置いていかれないように、足を速めた。
はぁ……はぁ……はぁ……
まさか、町の中央から町の東側にある山の麓まで走ることになるとは……
あれ?
そういえば、朝は北側の山の麓まで行ったような?
「達雄様! ただいま、参りました!」
『神上家』の黒服たちは、神上達雄に会うなり頭を下げて叫んだ。
「既に待ち伏せの準備はできている。お前たちは、各ポジションの補強にあたれ」
神上達雄は、威厳に満ちた声で『神上家』の黒服たちに指示を与えている。
待ち伏せ?
「『杖』を盗んだ犯人の目的は分かっている。木丈霞町の住民を1人たりとも近づけるな!!」
「はっ!!」
神上達雄の声と共に『神上家』の黒服たちは一斉に返事をした。
待てよ。
今、神上達雄は何て言った?
犯人の目的は分かっているだって!?
何なんだよ、それは……
「竜司先輩。私たちは、ここに隠れましょう」
神上未咲は、俺たち2人が隠れられそうな壁を見つけていた。
「ああ。今行く」
俺は神上未咲が見つけてくれた壁のところに行こうとした。
ビュォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!
ちょうどその時、突風が吹き荒れた。
「うわっ!!」
俺は、風に吹き飛ばされ、壁に頭をぶつけてしまった。
頭が凄く痛い。
「大丈夫ですか?」
「何とか……」
神上未咲が心配してくれた。
壁のおかげで、神上未咲への突風の影響はそこまでないようだ。
ビュォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!
突風が更に吹き荒れる。
「来るぞ!!」
神上達雄は、近くにあった電柱に掴まりながら叫んだ。
『神上家』の黒服たちが、一斉に身構える。
ビュォォォォォォォォォォォォォォォォ……
突風がだんだんと収まってきた。
神上達雄や『神上家』の黒服がいるちょうど真ん中に、『杖』を持った飯地が立っていた。




