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クオリファイア・ロッド  作者: 斜志野九星
第3章 ファブリケイション・オブ・ロッド
20/58

第20話 アンブッシュド・ロッド

ダッダッダッダッダッダッダッ!!!!!

「にしても、凄い音だな……」

 俺たちは『神上家』の黒服たちを尾行していた。

 その『神上家』の黒服たちは、人目もはばからず道路の真ん中を大勢で走っている。

 それだけ、重大な何かが起こったんだろう。

「いったい、何があったのかしら?」

「お母さん怖いよぉぉ」

 木丈霞町の人々は、何事だろうかと『神上家』の黒服たちに釘づけだ。

 人々は、黒服たちの気迫と走る音に圧倒され、勝手に道を開けていく。

 車も同じだった。

 中には、慌てて『神上家』の黒服を避けて、事故を起こしかけた車もある。

 今や道路は『神上家』の黒服の道に変わっていた。

 だが、俺たちにとって、それはありがたいことだった。

 何しろ、俺も神上未咲も『神上家』の黒服たちを見失うことがない。

 そして、『神上家』の黒服たちは目的地に向かうのに必死だし、町の人々は『神上家』の黒服に釘づけなので、俺たちが追っていることがばれにくい。

 見失ってしまったら、追っている意味がなくなってしまうし、ばれてしまったら、俺たちはただじゃいられないだろう。

「ところで、『神上家』の黒服たちは何処に向かっているんだ?」

 俺は神上未咲に訊いた。

「分からないです。でも、真っ直ぐ東に向かっている気がします」

 神上未咲はいつものハキハキさを抑えて答えてくれた。

「東? そこにいったい何があるんだ?」

「それも分からないです。ただ、今の木丈霞町の状況を考えれば、おそらく『杖』が見つかったのではないかと……」

 神上未咲が自分の推測を俺に教えてくれた。

 『杖』ってことは、飯地がいたってことか!?

 それなら、なおさら行かなくてはならない。

 あいつに何の目的があって、人を奇妙な状態にしているのかを知りたい。

「急ぐぞ!」

「はい!」

 俺たちは、『神上家』の黒服たちに置いていかれないように、足を速めた。


 はぁ……はぁ……はぁ……

 まさか、町の中央から町の東側にある山の麓まで走ることになるとは……

 あれ?

 そういえば、朝は北側の山の麓まで行ったような?

「達雄様! ただいま、参りました!」

 『神上家』の黒服たちは、神上達雄に会うなり頭を下げて叫んだ。

「既に待ち伏せの準備はできている。お前たちは、各ポジションの補強にあたれ」

 神上達雄は、威厳に満ちた声で『神上家』の黒服たちに指示を与えている。

 待ち伏せ?

「『杖』を盗んだ犯人の目的は分かっている。木丈霞町の住民を1人たりとも近づけるな!!」

「はっ!!」

 神上達雄の声と共に『神上家』の黒服たちは一斉に返事をした。

 待てよ。

 今、神上達雄は何て言った?

 犯人の目的は分かっているだって!?

 何なんだよ、それは……

「竜司先輩。私たちは、ここに隠れましょう」

 神上未咲は、俺たち2人が隠れられそうな壁を見つけていた。

「ああ。今行く」

 俺は神上未咲が見つけてくれた壁のところに行こうとした。

ビュォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!

 ちょうどその時、突風が吹き荒れた。

「うわっ!!」

 俺は、風に吹き飛ばされ、壁に頭をぶつけてしまった。

 頭が凄く痛い。

「大丈夫ですか?」

「何とか……」

 神上未咲が心配してくれた。

 壁のおかげで、神上未咲への突風の影響はそこまでないようだ。

ビュォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!

 突風が更に吹き荒れる。

「来るぞ!!」

 神上達雄は、近くにあった電柱に掴まりながら叫んだ。

 『神上家』の黒服たちが、一斉に身構える。

ビュォォォォォォォォォォォォォォォォ……

 突風がだんだんと収まってきた。

 神上達雄や『神上家』の黒服がいるちょうど真ん中に、『杖』を持った飯地が立っていた。

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