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第1話 「刃を止めた日」

あらすじ

『戦国戦隊サムライジャー』

戦国の世――命は奪うものであり、勝利こそがすべてだった。

だがその価値観は、ある日突然、終わりを告げる。

戦の最中、時空の歪みによって現代へと転生した武将たち――

真田幸村、伊達政宗、織田信長、上杉謙信、 明智光秀。

彼らは“歴史の歪み”から生まれた怪物と戦う力を与えられ、

現代でヒーロー――戦隊として戦うことになる。

だがその戦いは、彼らの知る“戦”とはまったく違っていた。

敵を討ち取るのではなく、

人々を守るために戦うという理念。

戸惑い、衝突しながらも、武将たちは少しずつ知っていく。

――「守るために戦う」という意味を。

やがて彼らの前に現れるのは、

歴史そのものを“改変し、最悪な歴史”にしようとする存在――邪神天統じゃしんてんとう

それは、争いすら人類の進化のために必要だと

「強者による完全支配の世界」こそが正しいと語る存在だった。

さらに戦いの中で、

⚫ 明智光秀が“裏切り”という選択を取る。

だがそれは、仲間を捨てるためではなく、

この歪んだ戦いそのものを見極めるための決断だった――。

チームは崩壊し、力を失い、敗北を知る。

その絶望の中、現れる新たな戦士――

武田信玄。

彼は語る。

「理想だけでは、守れぬ」

現実主義の戦いを突きつける信玄、

そして守る意味を問い続ける仲間たち。

さらに、時代を超えて現れた女武者

巴御前、

現代の科学者・大十字大和とその娘

大十字命との出会いが、

武将たちの価値観を大きく揺さぶっていく。

「死ぬ覚悟」ではなく、

「生きて守る覚悟」へ――。

それぞれが過去の自分と向き合い、

“もう一つの可能性の自分”を乗り越えたとき、

再び五人は立ち上がる。

不完全でもいい。

争いが消えなくてもいい。

それでも――守りたい命がある。

最後の戦いで彼らが選ぶのは、

勝利ではなく、“未来”だった。

戦は終わらない。

だが、守る戦いは続いていく。


 第1話

「刃を止めた日」

 戦は、当たり前だった。

 迷う理由など、なかった。

 斬るか。

 斬られるか。

 それだけだ。

「前へ出ろ!」

 槍を握り、

 真田幸村は駆ける。

 血の匂い。

 土の感触。

 叫び声。

 すべてが、いつも通りの戦だった。

 勝てば終わる。

 それだけのはずだった。

 だが。

 世界が、歪んだ。

 音が消える。

 風が止まる。

 光が、すべてを塗りつぶした。

 気づけば、静寂だった。

「ここは……どこだ」

 足元は固く整えられた石の道。

 見たことのない建物。

 聞き慣れない音。

 そして――

 笑い声。

 子どもが、笑っている。

 武器も持たずに。

 血も流さずに。

 ただ、笑っている。

「……戦が、ないのか」

 胸の奥が、ざわつく。

 落ち着かない。

 なぜか分からない。

 そのとき。

 空間が裂けた。

 音もなく、黒い空間が広がる。

 そこから現れたのは――

 人の形をした“歪み”。

 顔は崩れ、声だけが響く。

 《……戻セ……》

「逃げろ!」

 幸村は叫び、駆ける。

 子どもたちの前に立つ。

 槍を構える。

 斬る。

 それで終わるはずだった。

 だが。

「怖いよ……!」

 背後の声。

 小さな、震える声が聞こえてきた!

 後ろを振り向くと逃げ遅れた子どもがいた。

 怖くて、動けない。

 目だけが、必死に助けを求めている。

 その瞬間。

 槍が、止まった。

「……っ」

 ほんの一瞬の迷い。

 だが、それで十分だった。

 怪物の腕が振り下ろされる。

 衝撃が走る。

 幸村の体が吹き飛ぶ。地面を転がり、止まる。息が詰まる。

 立てない。

「うっ……なぜだ」

 自分に問う。

 なぜ止めた。

 なぜ斬らなかった。

 そのとき。

 銃声。

 乾いた音。

「非効率だな」

 屋上に立つ

 青の甲冑の男。

 弾丸が怪物を撃ち抜く。

「迷いは弱さだ」

 黄金の刃を肩に担ぐ

 黄金の甲冑の男。

「それでも、守るべきだ」

 槍を構える

 緑の甲冑の男。

「……興味深い」

 影の中の

 紫の甲冑の男。

 だが、怪物は倒れない。

 むしろ、膨れ上がる。

 《ナゼ止メタ……》

 声が、幸村に突き刺さる。

 《オ前ハ、斬ル者ダロウ……?》

 言葉が出ない。

 そのとき。

 腕が、熱を帯びた。

 六文銭が、浮かび上がる。

『力を、解放せよ』

 どこからか声が響く。

 光が腕に集まる。

 粒子が渦を巻く。

 金属のようで、光のような装置が形を成す。

 頭の中に響く『戦極ドライバー』

「……これは、なんだ!」

 理解していない。

 だが、分かる。

 これは――

 守るための力だ。

 背後で、子どもが震えている。

 幸村は目を閉じる。

 思い出す。

 戦場。

 守れなかった命。

 自分だけが生き残った記憶。

 そして、今。

 目を開く。

「……守る」

 腕を振る。

 六文銭が、強く発光する。

「勇士・起動!」

 瞬間。

 音が変わる。

 鼓動のような低音。

 空間が震える。

 装置から、光が溢れる。

 赤い粒子が、体を包む。

 足元から、装甲が形成される。

 足。腿。腰。

 一つ一つ、“装着”ではなく“生まれる”ように身体を包み込む。

 胸部に、六文銭が刻まれる。

 心臓の鼓動と同期する。

 ドクン。

 ドクン。

 腕に、炎のようなラインが走る。

 指先まで、力が満ちる。

 最後に、頭部。

 光が収束し、仮面が形成される。

 視界が変わる。

 世界が、鮮明になる。

 音が聞こえる。

 風が見える。

 敵の動きが、読める。

「……これが」

 息を吸う。

 違う。

 これは、ただの力じゃない。

「俺の、守る力だ!」

 怪物が突進する。

 だが。

 もう、迷わない。

「俺は――」

 踏み込む。

「死ぬためじゃない!」

 槍を構える。

「生きて守る!!」

 突き出す。

 空気が裂ける。

 一直線。

 核に届く。

 光が、爆ぜる。

 だが、破壊ではない。

 静かに。

 溶けるように。

 怪物は消えていく。

 残ったのは、静寂。

 子どもが、泣きながら笑う。

「……ありがとう、お兄ちゃん」

 その言葉が、胸に刺さる。

「……こんな戦は…知らない」

 幸村は呟く。

 黄金の甲冑の男が低く笑う。

「ふん!甘いな」

 だが、否定しきれない。

 青の甲冑の男は静かに言う。

「効率は悪い……だが悪くない」

 緑の甲冑の男は頷く。

「守れたなら、それでいい」

 紫の甲冑の男は、何も言わない。

 ただ――見ている。

 空が一瞬歪む。

 《調査完了》

 冷たい声。

 《このは戦いは、不完全である》

 幸村は顔を上げる。

「……違う!この戦は…」

 刃を止めた、その瞬間から…斬る者から、守る者に変わった。

 第2話へ続く

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