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MagiaLostFantsia  作者: 葛葉龍玄
竜の住処

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一件落着

 村の女性を送り届けようとしていた三人の目の前に、12匹のオークが立ちふさがる。

「ばかな!一体どこにかくれて!?」

 村の近くに、隠れる場所など無かったはず。

 こちらの作戦が漏れていたのか!?

『私の裏をかこうなどと。片腹痛いですよ』

 それは、ミハエルの声だった。

「アンタがミハエルっすか?」

「いかにも。お手合わせ願えますかな?」

 言うが早いか、オークが数匹飛びかかってきた。

 ポチがバインドハウンドで、オークたちが震え上がる。

 その隙に、セスタスが戦斧で次々と敵をほふっていく。

 ポチも自慢の牙と爪で応戦をする。

 あっという間に5匹のオークが倒れ、チリとなった。

 造魔は死ぬと、死体も残らずチリとなる。

『中々訓練された、いい兵隊ですね。しかし』

 オークたちは一変して、人質を守るハピナを狙ってきた。

 もともと斥候で、近距離攻撃が苦手なハピナは、途端に防戦をさせられる。

 当然、盾役のセスタスが敵の攻撃を一身に受けることとなる。

 セスタスが防ぎ、ポチが攻撃し、ハピナが後方支援。

 一番バランスのいいパーティだが、ハピナが人質を庇っている以上、その長所を活かしきれていない。

「くそ、ジリ貧だぜっ!」

 セスタスが守りながら叫ぶ。

 オークはオークとは思えないほど巧みな連携で、3人を追い詰める。

 セスタスを左右に振り回し、ポチの的を散らし、ハピナをねらう。

 セスタスも手傷が増え、ポチもハピナを庇いきれなくなってきていた。

「仕方ない。俺がしばらく動けなくなるが、全滅よりましだ!」

 ポチが三つの首から炎と氷と雷を吐き出す。

 ポチの奥の手、トリプルブレス。

 三属性のブレスの前に、残りのオークたちが凍らされ、急速に熱せられた物はもろくなり、雷で砕かれる。

 8体はいたオークが一気に破壊され、残り2対となる。

「うおぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

 セスタスがポチの放ったブレスを逃れた残り2体を一気に屠り去る。

『なんと、かような技を持っていたとは……。さすが地獄の番犬とまで言われたモンスターですね……。こちらは私の負けのようですが、本陣はそうは行きませんよ』

 最後に残った一体が塵と化す。

 ポチはトリプルブレスの反動で、どう、と地面に倒れ伏す。

「よく造魔相手にがんばった」

 その場に、ビスタが現れた。

「作戦変更だ。私がでる」

 敵にミハエルがいては、分が悪い。

 ダビデたちが勝てぬと判断したビスタとエグゼは、負けられぬ戦いだ、とビスタを前線に送り込むことにしたのである、

「ま、待ってください!」

 しかし、セスタスが願い出る。

「もう少し、私達だけでやらせてください!」

「しかし、敵地にいるダビデたちはもう限界だ」

「気絶したポチと、村娘さんがいなければ、私とセスタスが助けに行けるっす!それでも、戦況がかわらないときは、あきらめるっす……」

「せめて、それまでは、俺達にやらせて下さい!」

「セスタス、もうちょっと痩せるっす!」

 結局、ポチと人質3人を預かったビスタは、二人の援軍を許した。

「あの者たちだけで切り抜けられればいいが……」

 しかしビスタは結局手を貸さないことを決めたのだ。

 

「さて、とどめだ」

 ボスオークと生き残った3体のオークが、ジェイクとダイモスの前に迫り来る。

 と、その時。

 上から巨体が降って来た。

 ミノタウロスのセスタスである。

 ハピナが死にそうになりながら、空から運んできたのだ。

 まず、気を失ったココロとダビデを人質にしているオークの腕が、戦斧で切り落とされた。

 その二人をすかさずハピナが拾い上げ、アイテム師のダイモスのところへ連れて行く。

「この二人を頼むっす!」

 そう言ってハピナも戦線に戻っていく。

 腕を切り落とされたオークは、すでに回復していた。

「こいつらは、オートヒールがかかっているぞ!致命傷で無ければ、倒せん!」

 ダイモスが叫ぶ。

 ハピナは口を開け、声にならない声で叫ぶ。

「っっっっっっっっ!!」

 可聴域を超えた超音波が、敵を包み込む。

 耳から血を吹きだし、三半規管が壊されたオークたちが、その場にうずくまる。

 しかしボスオークだけが、他の三匹を盾にし、その超音波を防いでいた。

 その間に、セスタスとダイモス、ジェイクの攻撃で三体のオークは倒されていた。

「貴様ら…」

 ボスオークは未だ無傷。

 巨体と怪力から繰り出される攻撃は、それら全てが致命的だ。

 大柄なミノタウロスのセスタスが小さく見えるくらいだ。

 しかも、その動きは鈍重ではなく洗練された戦士のものだ。

「待たせた!」

「油断したわ、ごめんなさい!」

 離脱していたダビデとココロが復帰する。

「ポチですら、その身を賭して敵をやっつけたっす! 私らも、出し惜しみしてる場合じゃないっすよ!」

「え、ポチ……!?」

「し、死んでねぇから!気絶しただけだから!」

 セスタスが慌てて付け加える。

「死力を尽くして戦ったのは本当っす!」

「そうだな、ここで俺らが大将たちの参戦を許したら、ポチに面目が立たない!」

 敵の攻撃は苛烈を極めるが、ボスオークの技量を、ダビデたちが上回っている。

 しかし、目をつぶされようが、腱を切られようが、ボスオークはまったく意に返さない。

 何事も無かったかのように、攻撃を仕掛けてくる。

「っ!?」

 遊撃を繰り返していたジェイクに、ボスオークの棍棒が迫る。

「油断スンナよ!」

 その会心の一撃を、セスタスが自慢の盾で受け止める。

 たたら作の防具は、8メートル級のボスオークの攻撃を受けても、なお無傷だった。

「さすが、武器も防具も超一流だぜ!」

 ダビデの剣が、敵の腕を切り裂く。

 吹き飛ばされた腕が、血しぶきを挙げながら飛んでいく。

「さすがに切り落とされたら、再生はできんようじゃの!」

ダイモスの弓が急所を的確に貫く。

「俺があいつの防御を打ち崩す!その隙に、皆持てる技を尽くして、敵を倒すんだ!」

 ダビデが吼える。

 剣を大上段に構え、『気』を丹田に溜める。

 『気』の使い方は、ソウマに教わっていた。

 それを、音速の剣に乗せて解き放つ!

「時空断裂衝烈斬!!」

 地面をえぐり、空気を震わせた必殺の一撃が、ボスオークを襲う。

 両手でガードしたボスオークを吹き飛ばす。

「ハウリングバースト!」

 ジェイクが。

「極大魔烈炸裂弾じゃ!」

 ダイモスが。

「翼爪十重撃っす!!」

 ハピナが。

「掃射零式・レインボーアロー!」

 ココロが。

「矛盾・両撃砲!!」

 セスタスが。

 それぞれが持てる最大奥義を解き放ち、全力を持ってボスオークを滅ぼさんとする。

 その威力は、相乗効果により威力を増し、ソウマやエグゼの技にも劣るものでは無かった。

「どうだっ!?」

 爆煙が立ちこめ、視界をふさぐ。

 風により、晴れた煙の先には巨大なクレーターが出来ており、塵と消えていくボスオークの姿だけが、確認された。

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