表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人外娘さんと真面目にファンタジーしちゃう本  作者: 葛葉龍玄
亡国の魔法騎士

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/38

真実を写す瞳

 町人たちは信じられないものを見るような目で、戦況を見守っていた。

 ただ一人の人間が、万の軍隊に打ち勝つ。

 さらには人間でもない、魔物でもない、それらをはるかに凌駕した、人造生命体『造魔』すら手玉に取っている。

「これなら、勝てるかもしれない」

 たとえ、このシスカの町の人々が手助けにいかなくても、あの男ならひとりで10万からなる最凶の軍団を全滅させることができるかもしれない。

「パパ、あれは神様なの?」

 幼子が錯覚するのも無理はない。

 軍神。鬼神。

 正にその名がふさわしい戦いぶりだった。

 一撃で数十人を行動不能にし、その技が決まれば数百人を打ち倒している。

 そして、大地の精霊に近しい魂を持ったドワーフだから分かること。

 大地の倒れた人間の兵は誰一人として、死んではいなかった。

 それはあの男が極限まで『手を抜いて』いたからである。

 ……。

 人間の兵はすでに全滅。

 残るは異形のモンスターたちだ。

 さすがにモンスター相手ではだめだろう。

 しかし、あの男なら……。

 入り混じる期待と不安。 

 町人たちは、今や希望すら抱いている。

 異形の魔物が進軍を開始する。 

 万の絶望。 

 しかし、それすらも寄せ付けないあの男。

 ただの力任せではない。

 そこには見たこともないくらいの技があった。 

 この大陸のどこに、これほどの芸当ができる者いるだろうか。

 いや、この大陸にこれほどの戦力はない。

 もし。

 町人は思い浮かべる。

 もし、最強と謳われた魔法騎士が復活すれば、あのソウマと肩を並べることができるかもしれない。

 そうなれば、グランベルトに太刀打ちできるのではないか。

 圧制に苦しめられている町人たちは、久しぶりに希望を見出したのだ。

 この10万対1の絶望的な勝負の行方は誰にも予想できるものではなかった。

  

(あれは、なに?!)

 戦場となった平原から少し離れた森の中に、アーニャ、たたら、ティアラの三人が潜んでいた。

 もちろん、ソウマの戦いを見守るためだ。

 最初は絶望を感じていた三人だが、ソウマの予想以上の強さに、たたらもティアラも、今は少し表情が和らいでいる。

 そんな中で、アーニャだけが、一人恐怖を覚えていた。

 それは、あのサイクロプスの魂のあり方が、生き物として常軌を逸していたからだ。

 アーニャの能力は、『物事の本質を見極める』こと。

 その複眼はサイクロプスの魂の深淵を覗き見ていた。

 造魔の魂は、まだわかる。

 元からあるものに手を加えられた、まさに造られし魂だ。

 意思や感情、そういったものをすべて奪われ、代わりに命令を聞くことにすべてを捧げる、悲しい魂。

 しかし。あれは。

 なんだ?

 あの魂の存在のあり方は。

 人間? 造魔?

 魔物、人、の魂の融合。そこに割り込むようにミハエルの魂がある。

 これは、テレパシーや、遠隔操作と言った魔法の類ではない。

 造魔に自分の魂を、『直接』繋げているのだ。

 それをどのように実現したかはわからないが、ミハエルが前王の時からしていた研究の果てなのだろう。

 魔法が使える状況なら、そこまで難しくはないかもしれない。

 しかし、魔法の使えないこの大陸において、その技術を使えていることがおかしい。

 いったい、どうやって?。

 もっと近くで見れれば……。

 白熱するたたらとティアラは気がつかなかった。まるで、魅入られたように、戦場へ向かうアーニャの存在に。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ