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異人  作者: 蒼蕣
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あとがき

最後まで読んでいただきありがとうございました。

この作品は約二年前に書いた作品で、自分の思想が危険で、いつか捕まってしまうんじゃないかと妄想したのがきっかけでした。ただ実際に行動に移しているわけではないので、普通の刑務所ではなく、この作品の中にあった特殊な施設に入れられるのではないかと思ったわけです。高校生の頃に読んだ、『蟹工船』、その作者である小林多喜二は危険分子とみなされ、政府に暗殺されたとみなされています。それと同じ運命をたどるのではないかと内心ドキドキしています。ただ時代も時代ですので、作品にありますようにその思想を犯罪計画に生かすのではないかなと思った次第です。飛んだ被害妄想ですね。

この作品、書き始めた当初は施設で徐々に真実を知って、脱獄する話にしようと思っていたのですが、あまり凝った設定が思いつかず、数回施設のシステムを解説したところでネタに詰まったため、志向を変えて脱獄して、危険分子から外の社会に馴染んでいき、”普通の人”になっていく様を描いてみました。この施設は内藤了先生の『猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』シリーズに登場する犯罪者の中でも特殊な技能を有していたりや頭脳明晰な猟奇犯罪者を収容する施設から着想を得ました。こちらの施設は本当の犯罪者を収容しています。おそらく普通なら即刻死刑のところ、その頭脳を買われこの施設で生かされておりますが、彼らの所在は一般には伏せられています。生かす代わりに警察は彼らに捜査協力を依頼します。もう一つ、元になったのがジャンプ漫画の『BLEACH』に登場する”蛆虫の巣”です。ここでは危険な思想を持ち、犯罪を起こす可能性があるとみなされている隊士を収容しています。この二つを合わせた者が今回私が登場させた完全犯罪計画所になります。収監者の生活方式は『藤堂比奈子』とジャンプ漫画『約束のネバーランド』から着想を得ました。

そして脱獄、いえAランクに上がり、見事買われた後の顛末については、敬愛する星新一氏の『雄大な計画』を参考にしました。これはあるスパイが大企業に雇われ、ライバル社に潜入、情報を横流しするよう依頼されます。重要な情報を得るためにスパイはライバル社で尽力しますが、いつの間にかライバル社で得た地位や名声、財力が惜しくなり、結局依頼主の会社を潰してしまうという話になります。ほとんど同じですよね。

物語の結末の部分、これは育った施設の真意を知って脱獄を計画する物語を描く予定だったものから軌道を変え、”普通”の人間として社会に馴染むのが最終目的になる物語に変えると決めた時から決めていました。このような結末にいたることができたのはおそらく、アルバート・カミュの『異邦人』を読んだからでしょう。この作品のタイトルである『異人』もこれをもじりました。『異邦人』の最後は主人公がこれまで散々あがいてきた社会に、ついに嫌気がさして処刑を受け入れるのですが、その際の彼のモノローグに感銘を受けました。これについては自伝の方で後々開設しようと思います。

最後に今回の登場人物たちについてですが、今回は登場人物が少なかったですから、名前について少し吟味しました。主人公に関しては特に何も考えず決めました。ただ主人公の苗字は斎藤で、彼の施設で仲良くしていた人の名前は”龍興”でした。なぜ”斎藤龍興”にしたのかは自分でもわかりません。多分名前の響きがかっこいいのと、”龍興”という字の読み方を知った時、印象に残っていたからだと思います。石川棗、”棗”はsaori先生の『呪い遊び』を読んだ時にこの”棗”というキャラクターに興味を引かれたのもあると同時にイニシャルをI氏と同じにしたいという思いがあって、この名前にしました。当時はまだ未練が残っていたからですね。そして前にも話したと思いますが会社での商品企画開発部の面々、彼らは皆戦国武将にしました。戦国時代九州は三国志で、豊後の大友、肥前の龍造寺、そして薩摩の島津の三つ巴が繰り広げ荒れていました。なぜ主人公の班を龍造寺にしたのかは少しでも脚光を浴びせたかったからという思いあったからです。九州の最終的な覇者は薩摩藩にもなる島津家です。しかし大友家も島津が快進撃を起こす前は九州で一大勢力を誇り、信長の時代では九州の覇者であったと言っても過言ではないでしょう。おそらく歴史の教科書、そこに戦国時代の勢力図が載っていると思いますが、大友家と島津家はどちらも記載されていると思います。彼らに比べると龍造寺家はどうしても見劣りしてしまいます。しかし沖田畷の戦いで大敗を喫してなければ、龍造寺家は江戸時代にも存続していたと私は考えています。そんな彼らを少しでも多くの人に知ってもらいたいという私の思いを込めました。

龍造寺家をモデルにした主人公率いる第二班、彼の部下は俗に龍造寺四天王と呼ばれる人たちです。文献によって四天王に称される武将が異なるため、四天王なのに候補が五人もいるという少し変わった方々です。彼らのうち木下以外の四人は先ほど紹介した沖田畷の戦いで戦死を遂げています。またこの戦いで大名である龍造寺隆信も討ち取られてしまい、これが原因で龍造寺家は滅亡の一途を辿りました。皆さんもご存知の長篠の戦いの武田家のような感じですね。残った領地は龍造寺家臣、鍋島直茂が統治し、その息子勝茂は佐賀藩主になりました。石田三成に過ぎたるものが二つあり、佐和山城と島左近。という逸話をご存知ですか。石田三成に仕えた島左近は石田三成の手に余る逸材だったようで、いわゆる宝の持ち腐れ状態だったようです。龍造寺家臣、鍋島直茂もこのような関係であったのではないかと私は考えます。

開発企画部を束ねた甲斐部長。彼は島津家、大友家、龍造寺家のどこにも属しておりません。彼のモデルは甲斐宗運という武将で、肥後の阿蘇家存続に生涯を捧げた戦国武将です。私個人が命名した戦国偉大なおじいちゃん三人衆の一角を担います。戦国時代のの寿命、平均は五十ごろと言われていますが、それを大幅に飛び越えてなおかつ自分が強いなと思った武将をノミネートしています。老兵というと年の功というやつで戦術家、軍師、外交官としての役割が多い中でこの三人は、前線で最後まで戦い抜いています。それがこの甲斐宗運と、朝倉家最盛期の立役者、朝倉宗滴と、私が一番好きな武将である武田信玄を六度にわたって撃退した、長野業正です。他にも候補として尼子経久や鬼庭左月斎、毛利元就がいたのですが、この三人はいずれも自国の存続に専念し、彼らの死後、時が立たずにその主家は滅亡したことを加味し、彼らがいかに重要であったかを評価しました。

話の半分を戦国の話にしてしまいましたね。まあ兎にも角にもこれまで触れてきた作品を題材にして、この作品が成り立っているということをお伝えしたかったわけです。予定通り一週あけて再来週から、『ピースメイカー』の投稿を開始します。こちらでも戦国武将が登場します。よかったら彼らの共通点を探してみてください。それでは改まして、ここまで読んでくださり誠にありがとうございます。よろしければ評価や感想、お待ちしております。そしてこれからも蒼蕣をよろしくお願いいたします。

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