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第111話 ………

次回は27日(日)に投稿し、30日(水)に最終回を投稿したいと思います。ですので来週で終わります。

ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございました。お疲れ様です。

そして残り3話も、どうか引き続きよろしくお願いします。

 相も変わらず人間は遠くの陰から見つめている。魔人同士の戦いを物珍しく眺めている。街を頻りに雨が打ち視界を濁して覆い隠す。彼女の未来を決する舞台を穢れた視線で邪魔させぬように…。

 絶対の強者に怯む心を抑えつけ、俺はヨヒラを睨み返した。ヨヒラは冷たい眼でそれを眺めると、小さく鼻で笑って血溜まりに足を浸けていった。大事を取って剣を足下にあった綻びの少ない物に取り替え、此方も素早く正眼に構え直した。何時如何なる攻撃にも対処が利くように気を張り詰める。ヨヒラはそれを見るとその場に立ち止まり、俺と、その背後の彼女らとをじっと見つめた。

「…大したもんだな。これだけの人数を相手に戦って誰1人死なせていない。前座が無ければ俺との勝負も分からなかったかもしれない。久しい強敵に腕が鳴るよ」

 彼はそう言いながらも、決して喜んだ様子は無かった。ロベリアがふと足を擦り鳴らして立ち上がり、ヨヒラから眼を離せない俺に声を張る。

「…レムくん、ちゃんとした武器が要るでしょ…?今すぐ取ってくるから何とか持ち堪えてて」

 ロベリアはそう言うなり返事も待たず家屋を跳び超えて宿を目指した。…分かってはいる。ヨヒラと戦うならチャームソードを持っていなければ心許ないことも、ロベリアが誰かしらと戦うにはちゃんとした装備が必要なことも、分かってはいた。その事を考慮しつつ、しかしこのタイミングでロベリアが俺の手から離れることに危機感を抱いてしまって、俺は彼女を止めるか否か迷っていた。とはいえ目の前の強敵から意識が逸れることも恐ろしく、結局何も決断出来ないままロベリアの疾走を見送るだけとなった。

「…お前は仲間にも恵まれたな。だがそれもここまでだ。今はもうお前達しか残っていない。ここでケリをつけてやる」

 ヨヒラはそう告げると姿勢を前に倒しロングソードを脇に構えた。『来る』、と恐怖心から姿勢を正し構え直す。…しかし、その瞬間に気が付く。…『お前達しか残っていない』の一言に。

「…おい、何だ今の…。あんた、マイク達をどうした…?先生達をどうした!?」

 殆ど確定している絶望に恐怖と怒りを露にすると、ヨヒラは暫し俺を見つめ、礼を尽くすように剣を降ろした。そして悲しくも真剣な眼差しを向けて真っ直ぐに答える。

「教員達か、皆死んだ。…しかし、此方も仲間を2人やられた。レング、ゼラン…。皆立派だった。…特に、マイク・ローカル…奴は尊敬に価する男だった。幾らでも逃げる機会はあったはずだが、奴はゾルガーロと結託して港の船を全て破壊し、その足でアムラハンに引き返し国王と大臣を葬った。無能の王はどうでもいいとして、船をやられたのは痛かったな。然しもの奴も上層部が別件で派遣していた護送船の到着まで察知してはいなかったようだが…。そして逃げもせず城に留まり、俺とメロクに決闘を挑んだ。…全てはお前達を無事に逃がすためだろう。そのために最後まで命を懸けて戦った。…しかしその末路が『ゴーレム行き』とは、何とも哀れだがな」

 ――『ゴーレム行き』、聞き慣れない言葉だった。しかし過去に思い描いたことのある非道な想像がそれと合致する。…ラズウルフを加工してアースト、ローズトードを加工してアービアンが作られた。唯一黙秘されたのがゴーレムの原型だった。そして今の発言から推察し、…マイクはゴーレムにされたのだと理解した。

「…ぉ…お前ぇぇぇえええッ!!」

 全身に激しく沸き立った怒りを叫びに乗せ、力量差も省みず駆け出した。恐怖心など掻き消され不殺の配慮も無くなった。ヨヒラは構えを取らず目を閉じて待っていた。反撃も防御も取る様子が無いその男に向かって、俺は躊躇いもせず袈裟懸けを仕掛けた。

 刃はすんなり肩に入るが、鎧を窪ませ罅を付ける程度だった。そこに至って今更軽率を自覚し、咄嗟にヨヒラの胸を蹴って距離を取る。しかしその間もやはりヨヒラは身動き一つ取らず、俺が着地して正段に構え直すと漸く開眼して脇構えを取った。

 ヨヒラは視線に失望の色を混ぜて告げた。

「今のはサービスのつもりだった。冷静さを欠くとこんなものか。…あぁ、ならついでにこれも聞かせようか。道中、パンジャに立ち寄った際に妙な2人組が襲ってきたな。『あいつらの邪魔はさせない』とか何とか言っていたが、それもお前の仲間だろう?処理に困ったのでその場で斬り捨てたが、その後のことは知らん。遺品も民兵がどうにかしただろう。…どうだ、これで心置き無く戦えるか?」

 ヨヒラのそれは挑発にも聞こえたが、情けのようでもあった。…あの2人のことじゃないはずだ、絶対に違う。絶対…。俺は深く息をついて感情を抑え、相手の分析に努めた。先程のようなことを繰り返しては勝ち目など無い。ただでさえ俺はHPが半分も残っていない状態だ。一撃でも受けたら即死だと考えて立ち回るべきだ。魔法の使用はチャームソードの到着を待った方が効率が良いが、果たしてそんな余裕があるかも怪しい…。

「…レム、私も…!」

 蠢いているクリスの傍で、ヨヒラに敵意の眼を向けてメーティスが立ち上がる。しかし彼女がそこを離れるとクリスを庇う者が誰もいなくなる。召喚獣で戦うにしろ同じことだ。また彼女と立ち位置を代わった所で、彼女の攻撃にはどれも俺ほどの火力は無い。俺の攻撃でもあの程度しかダメージを与えられないのに、彼女が勝てるはずもなかった。

「メーティス、お前はクリスの傍についててくれ。俺1人で何とかする…!」

「でも…!」

「いいから守ってくれ!ロベリアが来るまで持ち堪えるんだ!」

 振り向かずとも彼女が悲痛に顔を歪めているのが伝わる。…相手は教員達があれ程畏怖した光の守護者だ。勇者の代から光の血縁に関わり続けた猛者達だ。この痛手でそれと一戦交えるなど絶望的としか言い様がない。…しかしやるしかない。ここで引いては全ておしまいだ。俺がやるしかないんだ…!

「問答している暇があるのか」

 ヨヒラは一言告げると遂に駆け出していた。その速度はリードと同等かそれ以上だ。対処するとなると攻撃を予測して刃を置いておかねばならない。

 しかし、そう簡単ではなかった。薙ぎが来ると読んで剣を縦持ちに突き出した俺に対し、ヨヒラは低姿勢で間合いに踏み入り俺の顔を見上げる。そしてその額から突風が吹き、間近に受けた俺は宙に投げ出されてしまう。速度差も開き、視界まで翻った俺はもうその一撃を避けようがなかった。このままでは敗北だ。

 …一か八か、もはや賭けに出る以外に道は無かった。どのみちヨヒラは俺に接近する。ならば、範囲の広い攻撃を俺にぶつければヨヒラにも当たる確率が高い。俺は自らの身体に手の平を向けて『フリーズ』を放った。

 勢い良く放出された冷気は俺を包み、全身を凍り付けていく。意識が無くなる寸前、背中に刃が触れる痛みがあった。最後の気力を振り絞って冷気を更に放ち、――そして次の瞬間、2人を纏めた氷塊が地面に転げて崩壊し、目覚めた両者は受け身を取って睨み合う。互いに飛び退くようにして立ち上がり、再び正段に構え合う。

「…ほう、なるほど…。上手いやり方だ。だが解決にはならんな」

 ヨヒラは楽しげに笑い告げる。初めて見るその表情は何処か辿々しい印象を受けた。一瞬気を取られるが、すぐに思考を切り替える。

 今の『フリーズ』でヨヒラの防御力は下がり、ダメージは通り易くなったはずだ。しかしそれでも此方の動きでは到底ヨヒラに追い付けない。メーティスにペリュトンを召喚させて風魔法を掛けるとしても、相手が風属性の魔人である以上効き目は薄い。…せめて此方が防御力で圧倒出来れば話は違っただろうが、現状その手段が無い。…これでは、もうどうしようも…。

「はぁい、坊や。頑張ってるわねぇ」

 その甲高くも人を見下すような低音を内に孕んだ声は、俺とヨヒラ、メーティスの視線を集めた。傍の民家の屋根を仰ぐと腰から上を覗かせてメロカリスが立っている。魔鋼の防具と手に持った血の色のワンド、その杖の先にはエメラルドの魔石が埋め込まれている。彼女は俺を見つめて艶かしくも不気味な笑みを湛えている。

 彼女はタッと屋根から降りてその全貌を晒してみせる。ワンドを持った右手は後ろに隠し、「サプラァイズ♪」と左手にぶら下げたものを持ち上げて見せつける。…そこには、全身を灰色に染めて動く力を失い、襟首を掴まれ苦痛と恐怖に顔を歪めたロベリアがいた。

「…レム、くん……ごめん…なさい…」

「ロベリアッ!!」

 涙を流し謝る彼女に思わず叫んで駆け出した。しかしその時、俺の背中が一瞬の内に迫ったヨヒラの斬擊に裂かれる。そうして呆気無く倒れた俺は思うように上がらない顔を必死に起こそうとし、前方を捉える視界の中で放り出された拳が灰色に染まっていくのを認めなくてはならなかった。

「レム!レムゥッ!!」

 悲鳴を上げてメーティスが俺の下へ駆け出そうとしたのが後ろで聞こえた。しかし、その足は迎え討つように移動したヨヒラに止められる。「残りはお前だけだ」と威圧するような口振りで告げるヨヒラにメーティスは息を呑み、しかしそれも束の間、喉の奥を震わせた怒りの声を静かに上げた。俺の視界の先ではメロカリスがロベリアを脇に捨てて、馬鹿にした表情でメーティスの方を見ていた。…しかしその目は、直後暴風が吹き荒れると驚嘆して見開かれていく。

「…よくも…よくも、2人を…!…許さない…絶対!許さない!!」

 メーティスは獣のように叫んだ。そして暴風は更に力強くなり、彼女の方からは謎の光が辺りを照らしてくる。俺の眼からは何が起きているかも分からない。しかし、背後のヨヒラは心から驚いた声音で、

「…まさか、…来たのか…!…()()()が…!!」

 驚嘆、感激を表したような、何処か嬉しげな声。そして直後、風は途切れ、光は薄れ、突如大きな翼から成る羽音がとてつもない速さで迫る。俺はまた彼女が召喚したのだと思った。ガブノレか、ペリュトンか、ユニオナルファか…。しかし、それは召喚獣ではなかった。当然野生獣でもない。その羽音の主はヨヒラを通過して俺の前に降り立ち、その素早い動きのまま俺を抱き上げて更にメロカリスへと迫っていく。顔を見るとそれは確かにメーティスだったが、様子は普段とまるで違い、もはや別の存在のようだった。

 頬から後ろは肌に張り付く滑らかな体毛が伸び、髪もそれと同化して純白に染まっている。視界に覗く腕や手は細く白くなり、指先は蹄のように黒く硬質なものに変わっていた。背中には服を突き破って大きな翼が生え、空色の羽根の下に金の肌が光る。そして瞳は赤くなり、骨董のような白い顔と合わさって神秘を感じさせた。…その姿はまるで、ペリュトンそのものだった。

 メーティスはロベリアを救いに急いだ。メロカリスにもそれは分かったのだろう、彼女はまたロベリアの襟首を持ち上げて盾にした。しかしメーティスはそれに真正面から迫っていき、その翼を白い孔雀のものへ変え、全身の毛先を空色に染める。メロカリスはそれを眼にすると瞬時に危機を覚えてワンドを振り下ろし、危険を察知したメーティスは頭上に飛翔しようとした。…しかし、何かがメーティスの脚を止め、初速のまま俺だけが上空に投げ出されてしまった。

 宙を舞って視界が下の世界を捉えると、そこにはメロカリスを中心に半径10mまで氷の床が出来ていた。氷の柱が無数に伸び、その内の一つにメーティスが埋まっている。そしてその向かいでは、気を失ったメロカリスがロベリアを放して仰向けに倒れていく。『グレイシャー』と『スリープ』が交差したのだ。

「メーティス!逃げて、メーティス!!」

 ロベリアがそう叫んでいた。その声に眼を凝らすとヨヒラがメーティスのすぐ傍まで迫っている。俺も必死で彼女を呼び起こそうとした。しかし氷に閉じ込められ、謎の変身も解けた彼女に俺達の声は届かない。ヨヒラは深く屈んだ姿勢で突撃し、左手を指して『ブレイド』を放つ。突風に乗った空気圧の刃が氷筍を砕いてメーティスを斬り刻む。悲鳴と共に目を覚ました彼女へ、更にヨヒラは一跳びの勢いを乗せた横薙ぎを放つ。振り向こうとし、回避も出来なかった彼女は真っ二つに斬り割かれ、通り過ぎた先でヨヒラは払った腕をそのままに静止する。彼女は倒れて地面を滑り、後から切断面が相互に赤黒い繊維を伸ばして弱々しく結合する。そして仰向けの状態のまま、彼女の肌が灰色に染まる。

 …完全なる敗北。もう誰も残っていない。俺達は負けたのだ。…言い訳も何も無い。結果を見るに、これは遅かれ早かれ敗けていた戦いだった。俺達より彼らの方がずっと上手だったということだ。俺達の願いはとうとう叶わなかった。

 氷の床が近付いてくる。行動不能のこの身体なら、落下一つで絶命出来るだろう。俺は目を瞑ってその瞬間を待った。…悔いは無い。やれることは全てやった。その結果なら受け入れる。死後の世界でなら、今度こそ俺達は幸せに過ごせるだろうか。…先に行って待ってるよ、クリス。

「好きに死ねると思うなよ」

 大きな腕が俺を抱き止め、閻魔の声かと怯える程に低い声が耳元に響く。そして無造作に冷たい床に投げられた。…目を開ける。俺は死んでいない。上を向かされた俺の視界にしゃがんだヨヒラの顔が映り込む。ヨヒラは罪人に問い詰めるような慈悲の無い視線を向けて俺を覗き、俺は顔を背けることも出来ず彼と眼を合わせる。…どのみち生きていても仕方が無い。殺すなら早く殺せ。そうでないなら此方も敢えて無礼を貫く。

「お前らの犯行の目的は、概ね理解出来る。分かり易いくらいだ。…だが、一点だけ不明なことがある。動機でも手筈でもない。トリックを聞かせろ。お前達がアムラハンを脱出した直後、研究所付近で白いワンピースを着たクリスティーネの目撃情報が相次いだことに関してだ。…時間も無く、軽く調査した程度だが、影武者として該当し得る人物など何処にもいなかった。奴は誰だ、今何処にいる?答えろ」

 …俺はそれを聞いて、欺くでも惚けるでもなく、ただ訳が分からなかった。そんな妨害を行う手筈では無かったし、俺達だって影武者の心当たりは無い。アムラハンに滞在していて風貌が似ていた人物と言えばシノアが挙げられるが、彼女であれば彼らが察知出来ないはずがない。俺は思わず本音で答えていた。

「…何言ってんだ、あんた…」

 ヨヒラは眉を寄せてじっと俺と眼を合わせていたが、不意に立ち上がって溜め息をついた。自分の行動に呆れるような、オカルトに騙されたような、そんな表情だった。

「…なるほど、白を切っている風でもない。まぁお前から何かを訊き出せるとは思っていない。結果的にも追跡の邪魔になった訳でもないしな。この件は放っておいて構わないだろう」

 ヨヒラは告げるだけ告げると懐から取り出した呼び笛を吹き、クリスが踞る方へと歩く。メロカリスも目を覚ましていたため面倒そうな足取りでその後をついて歩いていった。…彼女の来た方からメーティスとロベリアが啜り泣く声が聞こえている。2人とも、その嘆きの合間に時折謝罪の独り言が混じっている。…自分を責めるな、お前達のせいじゃない。…俺のせいと言うのでもない。これが運命だったのだ。今はもう、認めるしかないのだ…。

 …暫くして、2台の馬車が進む音や大勢の鉄靴の足音が近づいてきた。荒くれた笑い声とその堂々とした前進に、それが民兵などとは到底思わない。…それは討伐軍の中でも気性が荒く、この風当たりの強い世の中で好き勝手しているような人種の魔人達だった。そう云った者達でなければ今の時代戦力にもならないだろうと判断してアカデミーが精鋭の編成を図った結果だったはずだが、これではまるでチンピラの集まりだ。その集まりが今、クリスの前に集まった。

「lb-01を確保する。2班、連れていけ」

 ヨヒラの指示に特に返事もせず数人がクリスを取り囲んだ。クリスは未だ地肌を雨に曝され身を捩っている。内2人が汚ねぇ汚ねぇと文句を垂れながら彼女の腕を左右から掴み、無理やり引っ張り上げた。

「おら立てぇ!!立てってんだ、返事しろグズ!」

「ばああぁぁ…ばぁぁ……ぉ…ぉば…」

 クリスは地面に脚を擦って力無く項垂れている。その声には以前にも増して気力が無い。男達はクリスに罵声を浴びせる。立て、立て、立て…。もうやめてやってくれ、クリスが怯えてる…。…可哀想だとは思わないのか…?…何でそんなに酷い事が平然と出来るんだ…。

「ばぁあ……ぅばぁ……ばあぅ…お…」

「うるせぇなぁさっきから!きめぇんだよお前!黙って歩けよ!」

「ばぁあ……わぅおあ……ばぁ…ひゃ………ぉ…ばぁ…ひゃ…う……」

 …彼女は繰り返した。『ばぁあ』…『ぉばぁひゃう』、『ばぅお』…『わぅお』…。俺は聞いている内にその意味を理解した。堪らず涙が溢れ出た。…彼女には2人、昔から絶対の味方でいてくれた人物がいたんだ。俺達の他に、2人…。さっきから彼女はずっと2人を呼び続けている。…婆や…ファウド…お婆ちゃん…お婆ちゃん……。

 彼女のおむつが重くなってずり落ち掛けている。雨のせいもあるだろうが、つい今尻の部分が異様に膨れ上がって、一層重くなったように見えた。その上彼女はあんなにも悲しい声で助けを呼んでいる。…そうだというのに、彼らはまるで耳を貸さない。だから言ってやらなくては気が済まなかった。

「…もう…もうやめてくれっ!さっきからずっと泣いてるじゃないか!婆や、婆やって!ずっと…!もう、酷い目に遭わせないでくれ…。…それも駄目なら、研究所にでも何でも連れていけばいい…。けど、せめて全てを終わらせたら彼女を自由にしてやってくれ…婆やの所に…チェルシーさんの所に帰してやってくれ……お願いだ…」

 ヨヒラやメロカリス、男達も一斉に振り返って俺を見た。そして次の瞬間、男達は腹を抱えて笑い出した。或る者は俺を指差し、或る者は真似をしてからかい、そして或る者は鼻で笑うだけで引き続きクリスを引っ張っていた。メロカリスは表情を失って俺と仲間達を眺めた。そしてヨヒラは俯き、すぐにクリスの方を向く。…その一瞬、彼が唇を噛んだように見えた。

 ヨヒラはクリスの肩を引き、その耳元に口を寄せた。彼女は絶えずチェルスに助けを求める。そんな彼女を現実に引き戻すように、彼は声を大きくして事実を告げた。

「チェルシー・セントマーカは数ヵ月前に大臣の命で処刑されている」

 …彼女の声がピタリと止んだ。そしてそのまま馬車の1台に押し込まれ、その馬車もすぐ港口へと走り始める。後には男達の嘲笑だけが残った。

レム

Lv.24 HP23/63 MP18/48 攻103(75) 防50 速75 精25 属性:氷

装備 服(防0) 魔鋼製ロングソード(攻28、耐54948/55000)

持ち物 無し

黒魔法 コールド(50秒間防10低下、消費MP6)、

バイオ(毒、消費MP6)、

フリーズ(防20低下、10秒停止、消費MP12)


メーティス

Lv.24 HP82 MP24 攻25 防50 速75 精49 属性:炎

装備 服(防0)

持ち物 無し

コマンド 祈りLv.2(1秒でMP1回復)、召喚Lv.2(次の召喚へのインターバルが無い)、トランス

召喚・トランス: ガブノレ、ペリュトン、ユニオナルファ(5秒でMP1消費)


ガブノレ

HP20 攻30 防20 速30 精15 耐性:なし

行動 引っ掻く、突つく、飛翔、スリープ(相手を眠らせる、消費MP8)

トランス効果…各ステータスが上乗せされ、能力を受け継ぐ


ペリュトン

HP100 攻30 防30 速60 精50 耐性:風

行動 突撃、飛翔、

ウィンド(3m飛ばす、50秒間速10低下、消費MP3)、

ブレイド(ダメージ20、10m飛ばす、50秒間速20低下、消費MP12)

トランス効果…各ステータスが上乗せされ、能力を受け継ぎ、風属性に耐性がつく


ユニオナルファ

HP60 攻30 防25 速45 精32 耐性:風

行動 突撃、飛翔、ウィンド、スリープ

トランス効果…各ステータスが上乗せされ、能力を受け継ぎ、風属性に耐性がつく



ヨヒラ

Lv.35 HP123 MP70 攻142(72) 防192(72) 速108 精37 属性:風 経験80000000 金0

黒魔法 ウィンド、ブレイド

コマンド 隼の爪(ダメージ=攻/2+速/2-敵防/4)

装備 魔綱の鎧(防60) 魔綱の兜(防60) セネメイト製ロングソード(攻70、耐5500000)

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