3.
[2.]に一部書き足しました。
『次は【ダンジョンについて】だよ。と言っても……難しいことは横に置いとくとして、これだけは覚えておいてもらう事は……マスターがいる【ダンジョン】ていうのは世界の浄化機関だということだね。
て、あぁと、これじゃ分かりづらいよね。
えっとね、この世界には【魔素】、【マナ】とか【気】とか言うこともあるけど、使いこなせればとても便利な物があるんだ。例えば、植物だったら成長が早くなるとか、実が美味しくなるとか。あっとは、その地で修行すると体を鍛えやすいとか。だけどこれ、増えすぎると悪影響がというか、世界が滅んじゃう代物でね。それの調整を行うのが【ダンジョン】なんだ。
で、コアはその【魔素】をDPに変換して、マスターはDPでいろいろ買ったりして消費することで【魔素】を減らしていく。これが本来の【ダンジョン】に求められている機能なんだよね。
ま、説明はこれぐらいにして、詳しくは【ヘルプ】や【辞典】の関連項目読んでね』
(うん?あれ?何気に重要施設?)
今の話で重要なのは、マナ、魔素と呼ばれる物があるという事、それが増えると危ないという事、それの管理をダンジョンがしている事ぐらいだろうか。マナという事は魔法とかあるんだろうか?
『次は…【ダンジョンの分類】かな。まぁ、これはコアやマスター側から見た状態の定義なんだけどさ。
まずは【魔素溜】、そのまんま【魔素】が溜まっている状態だね。さっきも言ったけど、【魔素】がある程度までは好影響だし、見た目の変化が少ないからあまり【ダンジョン】には数えられないけど。その一番最初の段階のことだね。
で、次に【魔界化】、動植物の見た目に変化が出始めたり、狂暴化したり、まぁ、そんな悪影響が出始める状態だね。
そこからもっと多く、一定量以上【魔素】が集まると自然とコアが発生するんだ。これが【野良ダンジョン】。コアに意識が在っても無くても自己防衛行動として危険じゃないよと偽装したり、もっと危険にしたりいろいろだね。
で、最後にコアがマスターを迎え入れると【正式ダンジョン】となるわけだ。マスターによって危険度がかなり変わるけどね。
だけど外の人から見れば、【魔界化】から先はどれも危険な魔物が住む危険な場所ってとこで一括りに【ダンジョン】って呼ばれているってわけだ。ま、君には関係ないけど、知識として頭の片隅に覚えていたら良いよ。ってついてきてる?』
「何か」の問いかけにうなずきながら整理する。
【魔素溜】は魔素が溜りだした状態で、【魔界化】は変化が起こりだす段階。【野良ダンジョン】はダンジョンコアが発生して、【正式ダンジョン】はダンジョンマスターがいる状態。
まぁ、これくらいで良いか。
『よしよし。そんで僕らが言う【ダンジョンの種類】としては、大きく分けて二つ、それとオプションが一つある。まず基本の【広域】と【建物】。言葉通りの意味だけど、【広域】は森、谷底、戦場、海底などその土地がそのままのダンジョンのことで【建物】は屋敷、塔、城といった建物のダンジョンのことだね。ちなみに巨大生物の体内ダンジョンはこのカテゴリーだよ。
そんで、このどちらかを基本として、改良するのに使われるのがオプションの【異空間】。これは扉を開ければあるはずの無い大空間が広がていたりとか、地下に地上が広がっていたみたいな異空間を作り出すんだ。
まぁ、ほとんどの場合、【広域】や【建物】だけのダンジョンって【魔界化】や【野良ダンジョン】ぐらいだと思うよ。【正式ダンジョン】は複合ダンジョンが多いね。と、長くなったけど前振りはこれくらいで。あと分からないことは【ヘルプ】等々で勉強してっという事で。実践といこうか』
「何か」の呼びかけとともに【ダンジョン】のボタンが明るくなる。思わず早押しのように素早く押し、出てきた画面にくぎ付けとなった。
『【建物】は上級者向けだから、今回は無しね。【広域】で【魔界化】がそれなりに進んでいる所のおすすめを3つピックアップしてあるよ!どれもいいとこさ』
画面に映し出されているのは「何か」が言うように3枚の風景写真だった。少しおどろおどろしい木々、ナマズの口のような洞窟の入り口、霧のかかった湖のほとり。それらが縦に並び、それぞれの写真の上に【森】【洞窟】【池】と書かれている。最後のは池だったらしい。
その中の森の写真を選択してみる。
<ブオォン>
巨大な扇風機が勢い良く回るような音がして慌てて周りを見渡した。そこは先ほどまでいた白い空間ではなく元々いた部屋だ。変わっているのは部屋中央にあった飾り台が消えていて、そこに「何か」と森っぽいジオラマが浮かんでいる事か。
『これが君が手にできる【ダンジョン】の全体図ね。今現在の状況がそのまま反映されているんだ。で、この中央の小屋が今いるところね。
ちなみに端の方の木々が魔素量過多の症状で魔獣化一歩手前ぐらいの木々ね。て、端?あれ?』
「何か」がジオラマの上で上下する。ジオラマを指したようだ。
そのまま視線を下ろしジオラマを見る。中央、開けた場所に小屋が立っていて、周りには枯れ木ぽい木々が取り巻いていた。
普通に枯れたのなら茶色の葉や幹が白くなるといった変化だろう。だが、それらの木々は黒い葉をしていて幹も数か所ずず黒く変色した箇所が見受けられた。これが魔素量過多の症状というものか。こういう枯れ木もあるかもしれないが。枯れ木は私から見て小屋の左側の端に多く、右側の端は葉っぱが若干黒いかなッと思うぐらい。何かおかしいかもしれないが何がおかしいのかわからない。
まぁ、次だ。
<ブオォン>
次の洞窟を開いてみる。先ほどと同じ音と一緒に焦点がぼやけたと思えば土を掘って作ったような部屋と変わる。よく坑道で見られる柱と梁で支えられた部屋だ。置いてある家具はさっきの部屋と大差ない。違いはいろいろあるが、大きくはジオラマが森ではなく高さがある洞窟内部を見せていることと天井真ん中で輝いている光の玉だ。目が焼けるほど明るい。手で日陰を作りつつジオラマを見上げた。
さっきのジオラマは胸の下あたりにあったのだが、今回のは身長より少し高い位置に洞窟の入り口が見える。最深部分は膝のあたりだ。最奥はその最深部より少し上がったところにあるようだ。
『あ、全体図の上の方を見る時はそれに手をかざして下に滑らすように。そうそう。で、魔素は最深部に溜まるから外からはあまり変化が見受けられないんだ。ただ洞窟ってだけで【ダンジョン】の疑いがかかってね。多くの人たちが来るから見つかると少し面倒な【ダンジョン】だよ。まぁ、見つからないといろいろ便利らしくって、研究者とか逃亡者とか隠れたい、閉じこもりたい人が良く選ぶ【ダンジョン】かな。
あ、それと、洞窟ダンジョンは部屋を作るときいくつか制約があってね。まずは部屋の位置。入り口の高さから最深より一階層分上の間に作る事と天井の光の玉、【疑似太陽】っていう物なんだけどね。あれを生活する部屋どれか一部屋には必ず設置する事なんだ。まぁ、名前の通り、外の太陽の位置に合わせて明るさを変える代物だよ』
言われた通り、手を上げて下ろす。そうしたら目の前に入り口付近が下りてきた。
なるほど。青々と茂った草木が生い茂って入り口を隠している。部屋への通路も隠し通路で見つかりづらく洞窟内に人が来ても部屋に引きこもっていれば見つからないし、最奥に行ったスキに逃亡もできる。出入り口をいくつか作っていればかく乱も簡単だ。
難点があるといえば時間感覚が狂うことだろう。それを見越した【疑似太陽】の設置義務といったところか。まぁ、【ダンジョン】と言えば洞窟と考えるのはそれだけ人気、いや需要があるという事だろう。まぁ、単純に魔素が溜まりやすくダンジョンに変わりやすいという事かもしれないが。
まぁ、次だ。
<ブオォン>
次選んだのは池のダンジョンだ。そこは石と木の家だった。家具は変わらずだが、森のように隙間風が入るような穴はなさそうだ。
『今度は池だね。穏やかに過ごしたいとか水中生活ができる種族とかが選ぶダンジョンだよ。一見するとダンジョンとは分からないからセイフティハウス替わりにする人もいるね。霧を立ち込めたり、水中系の魔獣を警備として配置したり、身を守る方法もあるよね』
ジオラマの深さはさっきの洞窟ほどではなく、湖面が口元ぐらいの高さ、最深部はへそ当たりにある。丸い池だった。中央付近にいくつか島があり、その一つにこの家も建っていた。木々が多く似たような島も多いから岸から見て家があるとは分からないだろう。
しかし水中生活ができる種族。なるほど、それなら逃げ道も多いだろう。だが、陸上で生活するだろう私は逆に見つかれば逃げ道がないそんな地形である。確かにセイフティハウスは最適だろうが、今は候補から外すことにする。
<ブオォン>
『以上だけど、どう、気に入った場所あった?』
(うむ……迷うよなぁ)
【森】に戻し、画面をにらみつつ考える。
どのダンジョンも一長一短だ。とはいえ、池は逃げ道から、洞窟は外出の関係から今は遠慮したいところではある。かといって定番やセイフティを捨てるには惜しい気もする。
「ねぇ、ちなみになんだけど、選ばなかったところって後で手に入るの?」
『うん?まぁ、手間だけどあるよ、方法は。ただその時の状態で対応も違ってくるんだ。その時が来たら説明するよ。で、どこにするの?』
ちょっとはぐらかされたが、手に入るらしい。なら、遠慮なく次に移れそうだ。そのまま右下の【決定】を押す。さらに出てきた確認ボタンも【決定】。
~ピロリロリン~
『お疲れ様!このまま次のっと言いたいところではあるんだけど。もうこんな時間だし。僕もやることあるから。今日はここまでという事で』
次の【クエスト】の確認とメニューの【アイテム】の色が変わっているのを見てから、どういうことかと顔を上げる。周りを、出入り口を見れば、外は真っ暗だ。そんなに時間がたっていたのか。
ステイタスを決めて、着替えて、ダンジョンを見て回って決める。その間にそれぞれの説明が入る。
まぁ、日が暮れるぐらいの時間は立つか。
その割にはのどが渇いたり、お腹が減ったりしなかったけど。まぁ、良いか。
「何か」に触れ画面を全部消してからベッドに潜り……。




