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2021/4/30 大幅に書き足しました


「……そろそろ起きるか」


 「何か」を蹴りだしたことで気分も少しは晴れ、寝た感の無さも相まって布団に潜り込んでから数時間。明るいからか、体の方は十分な休息が取れていたのか。寝れないままゴロゴロし、気が付けば壁の隙間から見える景色もかなり明るくなっていた。

 もう寝るのを諦めベッドをはい出て体を動かしてみる。ついでにいろいろ確認してみる。


『あ、起きた?』


「ん…」


『それじゃ、チュートリアルを始めようか。て、あれ?おーい。聞いてる?』


 部屋を見渡してみるが「何か」が転がっているぐらいしか昨日と変わらない。体の方、髪や手足など触れれるところや見えるところにも変化はない。具体的には髪の毛の一部が色が変わっていたり、肌の色が変わっていたり、耳の形が違うとか、エラが生えたとか、尻尾が生えたとか、わかりやすい変化はなかった。目の色が変わっていたりしたら分からないが、見え方に変化がないなら瞳孔が変化しているみたいなこともないだろう。

 だったら、あとはさっきからうるさい「何か」に聞くだけだろう。というワケで、ベッドから滑り降り「何か」の前に立つ。

 

『ねぇ、聞いてよ。ちょっと。まだ拗ねてるの?ねぇ?ん、あ、もう大丈夫?OK?』


「はいはい、OK、OK。で、どうすればいいの?」


『じゃ、それじゃぁ、【ダンジョン製作プロジェクト】のチュートリアルいってみよう! 

 まず最初は【ダンジョンコアの所有権登録とダンジョンの初期化】だ。ごちゃごちゃした話はこの際あっちに放っておいて、やることは簡単。手で僕に触れるだけ!

 指でボタンを押すでもいいよ!重要なのはパソコンの指紋認証みたいなのをイメージすることかな』


(何、その安直な名前……いや、分かりやすさを追求した?……まぁ、もっとおかしな名前よりはましか。叫ばないといけないとか無さそうだし。てか、認証?イメージ?うーんと)


 言われた通りイメージする。タッチパネル、キーボード、静脈認証etc。

 その中でも俗にあるスパイ物の作品に出てくる手を乗っける映像が浮かび、そのイメージで「何か」に触れる。その瞬間「何か」の淡い光が消えすぐに強烈な光を放った。慌てて目をつぶるが間に合わず目がくらむ。

 しばらくして目が慣れてくると部屋が変わっていた。淡い光で囲まれた白い部屋。広さが分からない真っ白な世界だ。イメージとしては異世界系の神様と会う場所だ。目の前に「何か」が浮かんでいなければ神様が出てくるのではと考えてしまっただろう。


『登録と初期化完了っと。うん、これで名実ともに僕のマスターだ。

 さて、続いてするのは【メニューを開く】だよ。これも僕、ダンジョンコアに触れることが条件だね。

 起動ボタンを押すイメージだよ。まぁ、所有しているダンジョンコアだったらどれでも開けるけど。それはそれ。

 まずはほれほれ。押してみ』


 ウザさが復活しつつある「何か」に促されるまま押すと目の前に透明な板状の何かが現れた。

 今回は「画面」としようか。「画面」は手のひらぐらいの大きさで目線の下、見やすい位置に浮かんでいる。そしてそこにはいくつかの単語が並んでいた。

 なるほど。メニューだ。

 上から【ステイタス】【クエスト】【アイテム】【プレゼント】【ダンジョン】【事典】【召喚】【ヘルプ】。表示されているのはこれだけだ。

 ただ全部暗い色をしており、触れても色合いがちょっと変わるぐらいで何も起こらない。触っている状態で指を下におろすとその「ボタン」一番下が消えて一番上に現れてくるくる回転する。スクロール(?)ができるらしい。


『あぁ、楽しんでるとこ悪いけど、それがメニュー画面ね。

 まぁ、言わなくても分かってたみたいだけど操作はタッチパネル方式。

 イメージ次第で操作方式もできることも色々増えるけどそこはおいおいね。

 で、起動と終了は基本的に僕、ダンジョンコア……便宜上ここからはコアって言うけど、コアに触れること。つまりコアがあればどこにいてもメニューは開けるわけだ。

 ただコアはその名の通りダンジョンの核、壊されれば関係するダンジョンの消滅につながるから持ち歩きはあまりお勧めしないかな。

 で、次にすることは【ステイタスの設定】だね。【ステイタス】を選択してみて』


 「何か」の説明が終わると【ステイタス】が明るい色に変わる。それを確認して私は【ステイタス】に触れてみる。

 新しい「画面」が現れ書かれている内容に目をそらした。

 知識だけが突出してある以外泣ける内容だろう。逆になんでこんなに知識が突出しているのか疑問だ。


名前:???

種族:ダンジョンマスター

職業:???

名声:0

HP:5

MP:5

攻撃:1

防御:3

知識:142

俊敏:2


『まぁ、生まれたてなんだから、そう落ち込まないでよ。

 てか、知識高!あ、そっか。知識については異世界の知識があるから高いんだろうね。計算ができる、知っている事が多い、それだけで知識の数値て上がるから。

 他のも生活しているだけである程度は上がっていくし、今は低くても気にしない、気にしない。

 さて、上から順に説明と設定していこうか。

 まずは【名前の設定】だよ。あ、サクサク進めようとしない!

 まずは話聞いて。まず、よく覚えていてほしいのは改名は基本的にできないて事だよ。

 二つ名や家名、偽名はすぐにできるけど、【ステイタス】を見たら一発で分かるんだ。

 まぁ、改名のスキル持ちに改名してもらうとか、偽装のスキル持ち、あ、あとは儀式での改名とかは【ステイタス】にも反映されるんだけどね。そんなの早々無いから名前は慎重に決めること。いいね?』


 長い説明を聞き流し、早々に名前の欄を触るといくつかの候補が現れる。

 入力するではなく候補から選ぶようだ。

 ルナ、マリア、リリス、アルテミスなどという伝承に出てくるような名前やエミリー、エレナ、マーサ、マルローネ、エレオノーレといった名前が連なっていた。

 どれもこれも心惹かれるがその中でも一番惹かれる名前があった。名前としてはポピュラーだと思うのに奇想天外な人生が待っているような気もする、そんな名前だ。

 気のせいだとしても、変に目立つ名前より良いだろう。

 ということでその名を選択するとすぐに確認メッセージが現れる。


「ポチッとな」


 そう呟きながら【決定】を押す。

 確認メッセージと名前の羅列の「画面」が消え、名前の横がリナと変わっていた。

 これで名前の設定やらは終わりだろう。


『へぇ。リナちゃんか。可愛らしい名前だね!じゃ、次は【種族について】だね。種族ってのは言ってしまえばその生き物の品種名のことだよ。

 そうだなぁ、人種なら……ヒューマン、エルフ、ドワーフ&ノームと。あとは獣系や草木系、魚類系。あ、この世界のゴブリンは草木系ね。で、こういった種族名が表示されるんだ。

 んで、君みたいな特殊な種族、悪魔種、バンパイア、魔導生物種の一部とかは種族的にプロテクトがかかってるんだ。初期設定はヒューマンだけど、今後出会った人種なら設定できるようになるよ。あ、設定したら見た目もその種族に変わるんだ。すごいよね!

て、あ、えっとね、あとのこまごました話は【ヘルプ】に確かあるからそこを見てね』


(なるほど、なるほど。プロテクト?つまり種族を開示しない?種族を見せると危ないってことかな?え?…何それ……え?)


 両手で瞼の上から目を揉み、考え始める頭にストップをかける。今更、気にしても仕方ない。何かなんか危険な香りがしてくるのだが、ホント気にしても仕方ない。うん、仕方ない。


『あ、あのね!リナちゃん!次行くよ、次。

 次は【職業の設定】だよ!これはその人の能力から選択できる職業のことだよ。まさに字のごとくだね。最初に選択できるのは【農民】【学徒】【信者】の三つ。中には親の職業が最初から選択できたり、行動によって出てきたり、スキル取得で獲得できたり、いろいろだね。

 ちなみに【農民】は戦士や職人系統、【学徒】は魔導士や商人系統で【信者】は言わずとがな神官系統だね。で、今の君だったら…メイン1つにサブ2つ付けられることができるみたい。ただ、メインは基本的にその系統以外変更できないから慎重に決めようね?』


「何か」説明を聞きつつ今度は職業の欄を選択。メインとサブ、その横の欄に選択肢が並んでいた。「何か」の言う通り【農民】【学徒】【信者】だけが並んでいた。あ、いや【学徒】の横に下向きの三角形が付いている。そこを選択して、そこに【物知り】という選択肢もあった。


(え?あ、うん。言葉の派生としては在り(あり)……なのかな?でも、職業としてどうだろう?あれ?もしかして【雑学王】とかあったりするのだろうか?………ん?まぁ、今は関係ないか。)


 気を取り直し、メインは【物知り】サブは【農民】【信者】にする。これでこの画面での設定する場所はなくなったはずだ。


『へぇ。まぁ、知識がそれだけ高ければそれ出るよね。あ、次は次ページの…横にスライドして?うん。【称号、能力、技術、魔法について】ね。ここはさらっといくよ。ま、見たまんまだしね。【称号】とは、その人を表す言葉ぐらいでいいかな。周りからの評価、行動からいくつも選択肢が出てくるよ。今は無難な物が設定されてるけど、選択してみたら、ほら、【知恵者】、【天才児】、【悪の芽】ってのもあるね。』


 言われた通り「画面」を横にスライドさせると、本当に別の項目が現れた。無難と言えば無難である。しいて言えば能力はどうしたら使えるのだろうかというぐらいか。見習いと言われれば見習いだし、それ以下な気もする。魔法も使えるなら使いたいが無いと言われたなら、まぁ、いつか使えるだろうぐらいに思っていればいいだろう。


名前:リナ

称号:ダンジョンマスター見習い

能力:使役(テイム)

技術:無し

魔法:無し


 「何か」の説明に従って称号に触れる。別画面には読み上げられた選択肢だけが乗っていた。その最後の選択肢にまたしても頭を抱えかける。何もしていないのだ。私は。それなのに【悪の芽】という称号が付くということは、ダンジョンマスターという存在自体がそういう存在であるということだろう。なんだろうなぁ。厄介な方向の種族だったんだな。


『あぁと、あとの三つ【能力】【技術】【魔法】は種族特有の物から学ぶ物をさすね。ちなみにこの使役ってのはダンジョンマスターの基礎能力で、カリスマ性とか庇護欲を掻き立てるとかをUPさせるぐらいかな。で、これで【ステイタスの設定】は終わりっと。それを消すときは右端のバッテンを押してね』


 右端、言われてみれば、バツ印が付いていた。言われた通りに消すとメニューのみが残る。

 さっきとの違いは【クエスト】が明るくなっているぐらいか。


『さ、次は【クエストについて】だけど。……あぁっと何と言ったらいいかな。

 お願いベースの依頼書かな。依頼内容と報酬が書かれた項目ぐらいでいいと思うよ。

 まぁ、人生にかかわる物もあるけど、そっちは長期型っていうのかな。基本的に期間内での行動で結果が違ってくるから考えないでいいよ。報酬は無いことが多いし。

 人生迷った時のヒントぐらいで考えたらいいかな。

 まぁ、聞くよりやってみる方が早いし、さっそく【クエスト】開いてみなよ』


 「何か」に促されるまま【クエスト】を開いてみる。出てきた別画面には二つ項目があった。

 ひとつは【ステイタスの設定】。こちらは終わっているからだろう。項目が点滅している。

 その下にあるのは【プレゼントの受取とアイテムの装備】と書かれていた。

 二つ目も気になりはしたがそのまま一つ目を確認する。するとその項目の下に【ステイタスを設定しよう 報酬:ローブ、ナイフ】と現れ、その右下に【~完了~】という項目が点滅していた。

 続けて二つ目も確認する。やはり下に説明と報酬が書かれている。ただしそれだけで【~完了~】の文字はない。

 つまりクエストクリアで【~完了~】というボタンが現れて、それを押せば報酬がもらえると。


『あ、ちなみに報酬を貰うには【~完了~】を押すようになってるけど、点滅している項目触ればそのまま貰えるようにもできるよ。どうする?』


「え?……このままでいい」


『あ、そう?まぁ、いつでも言ってくれたら変更するよ。じゃ、そのまま次のクエストも終わらせようか』


 にこやかな声の「何か」に促され【~完了~】を押す。


~ピロリロリン~


(え!?なに?今のなに?)


 変わった音がどこかからか響き、【~完了~】が【クリア】と変わった。慌てて周りを見渡すが変わったところは何もない。しいて言えば、メニュー画面の【プレゼント】が明るくなり点滅していることか。

 なるほど。報酬は【プレゼント】として来るのか。

 すぐに【プレゼント】を開く。やはり新しく出てきた別画面には先ほどのあった報酬内容と【受取】そして【履歴】のボタンがあった。


『ほんと、サクサク進めたいのはわかるけど、簡単な説明させてね。【プレゼントについて】だけど、まぁ今見た通り報酬が届く場所ね。ほかにもあるだろうけど、それはおいおい。で、その【受取】を押してくれれば物が出てくるわけだけど。そのプレゼントは』


<トサッ>


 説明もそこそこに【受取】を押せば乾いた音と一緒に目の前に何かが現れる。畳まれた服と布紐、鞘に収まっているナイフだ。進めれるならさっさと進めようとさっそくナイフと布紐を横に置き、服を広げた。

 ローブを見てぱっと思いついたのは、布でできた雨合羽だった。

 腰には紐を通す穴がいくつか空いている。そこにジグザグに紐を通し、今着ている服の上から被る。


『あ!聞いててよ!もぅ!今見た通り、アイテム袋を持っていないと目の前の平たい所に現れるんだ。

 テーブルがあればそこに。何もなければ地面に。手を出してたらその上に。

 だけど、持てる物とは限らないし、今のところ選択して受け取りもできないから、手を出すのはやめといたほうが良いかな。それと、アイテム袋を持ってた場合は基本的にその中に入るけど、許容量以上だったり、もともと入らない大きさだった場合はさっきと同じ、目の前に現れるから。色々気を付けること。あと、物があったり人が居たりして目の前に取り出せない場合は見える範囲ですぐに駆け付けれる場所に、そもそも置ける平たい場所がない場合は取り出せないかね。まぁこれぐらいかな。じゃ、レッツトラ…あれ?』 


 余った紐をお腹の上で数回巻いつけながら、下に着ている服を思い返す。丈の長いタンクトップに下着、太腿までのお腹と裾を紐で縛る短パン。これが俗にいうかぼちゃパンツと言うものかもしれない。

 そんなことを思いながらくくり余った端とついでにナイフを服との間にねじりこむ。そして軽く引っ張り整えて、フードを被ればこれで一応完成だ。

 フードをかぶって分かったことはフードがかなり深い事と、顔にかかる部分はレースか薄い布だったらしく、このままでも前が見えるということだ。全体的に暗いけど、そこまで気になる事でもない。

 そのまま周りを見渡せば、クエストの画面の【プレゼントの受取とアイテムの装備】に【~完了~】の文字が、そして新しいクエストが増えていた。

 新しいクエストに心が躍らせつつ「何か」の説明が終わるのを待ち【~完了~】を素早く推す。


~ピロリロリン~


 【プレゼント】に報酬が現れるのを確認する。今回の報酬はアイテム袋。

 どんなものか気になるが、それは後で確認するとして。

 さぁ、次のクエストは【初めてのダンジョン】。

 やっとメインか。説明を聞くみたいなお題だとしてもちょっと楽しみだ。

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