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  作者: (じ)
18/41

18.追われる少女

暗い夜道の中、数少ない電灯の近くに一人のシルエットが照らされていく。


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…、もう…ダメ…、もう走れない…」


淡いピンク色の少々派手な魔法少女のコスプレをした女の子が、コンクリートの壁に手を付きながら道を歩いていた。


髪の色もピンク色に染めてあり、まさにコスプレという風貌であるが、彼女はれっきとした魔法少女であった。


マホリアの輝石を狙ってくる人達…、確か【黒の軍団アトラレギオ】って言ってたっけ。


黒の軍団の人達はだいたい優しいので、学校が終わった時間しか襲って来ず、しかも夕食前には戦いを切り上げてくれる、かなり優しい集団なのだけど、今日はその後に別のものが襲ってきた。


最近ニュースにもよく報道される【怪人】である。


今日は黒の軍団と戦ったお陰で魔力残量も少なく、どうしても怪人と戦うにはジリ貧であった。


何とか全力を尽くして逃げていたのだが…。


「鬼ごっこは終わりか?魔法少女…」


追いつかれてしまった。


全身が刺々しい灰色の化け物が、電灯が付いてない一つ向こうの電柱の上にしゃがんで立っていた。


想像以上に力が強く、魔力の少ない私では歯が立たない程強かった。


いや、魔力があっても勝てるか分からないほど強い。


黒の軍団の人達が作り出す魔法の兵士【悪魔の兵士ディアブル・ソルダ】が束になったとしても、この怪人より遥かにマシな方なのだ。


何度か戦ったことのある猫耳人間くらい強い。


あれ?犬耳だっけ?


…忘れたが、とにかくケモ耳のイケメンさんくらい強いのは確かだ。


ただスピードはケモ耳イケメンさんよりマシなので、何とか逃げ切れた、と思ったんだけどなぁ。


「早い…ですね…はぁ、はぁ…」


「体力消耗してるガキに遅れは取らねぇよ」


「出来れば今日は遠慮して欲しいのですが…、また明日、という事はできませんか?お母さんが料理を作って、お家で待ってるので…」


黒の軍団の人達が相手ならば、こう言えばだいたい帰ってくれるのだが…。


「残念だが、今日の料理も、これからの料理もお預けだな。来世にでも期待しろ」


怪人は電柱から飛び降り、そう言いながらゆっくり近づいてくる。


怪人は背中から生えた長めの骨のような棘を両手で2本抜き、まるで剣を構えるかのように構える。


次の瞬間には、怪人は魔法少女へと肉迫していた。


咄嗟に持っていた杖でガードする魔法少女だが、怪人の余力が想像以上にでかい。


ミシリミシリと杖が悲鳴をあげ、ついにはバキリと折れてしまい、骨のような棘棒が顔面を強打する。


その勢いのまま吹き飛んでコンクリートの壁へ激突し、壁が崩れた。


きっと私が魔法少女じゃなければ、今の攻撃で死んでいただろう一撃。


鼻に違和感。


これは鼻血が出たかなと鼻を手の甲で擦ると、そこには案の定血がこびり付いていた。


黒の軍団の優しい襲撃者達なら、割と軽い怪我でも心配してくれるし、体調が悪い時などに本気でお願いしたら、大体休戦してくれるのだが、目の前の怪人は普通の化け物だ、休戦なんてしないだろう。


むしろ【黒の軍団アトラレギオ】という組織が甘過ぎるのだが、それを置いておいても、この怪人が強いというのもあるだろう。


どうしよう、このままじゃ本当に死んじゃう…。


「それじゃあ死ね」


怪人は持っていた長い棘を、槍投げの様に構え、凄まじい速度で投げつけてきた。


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