18)討伐依頼
羨望の眼差しが、気持ち良い!
「嬉しそうじゃの?」
「勿の論さ! これもクリスのお陰だよ!」
「そ、そうかの? 蓮斗も良く頑張っておる」
お互いに気遣っている……良い関係だね! 良い関係?……えへへ……あ、ヤバい、ニヤニヤするなと言ってるじゃろ! って怒られる!
「……」
あれ? 怒らない……どうしたんだろ?
まぁ、いいか。さて、次のお仕事は……。
掲示板を眺めていると、事務員が駆け寄ってきた。何か深刻そうだ。
「蓮斗様、依頼が御座います!」
「はい、何でしょう?」
「此方になります……」
どれどれ……ザヴァキランの討伐……何これ?
「ザヴァキランとは、ドラゴン種じゃ」
「へぇ……えぇ!? ドラゴン!?」
「ドラゴンと言っても小型種じゃ。じゃが凶暴ではあるの」
ドラゴンって、この世界にも居るんだ。まぁファンタジーの世界だから当然か。
でも、流石にキツくないかな?
「この依頼は、もう一人のギルドレベル5の方と共同でお願いしたいのですが……」
「因みに、これを断った場合は……?」
「不本意では御座いますが、此方は緊急対策依頼になりますので、最高レベル者が棄権となると、色々と権利が剥奪されます……」
自分達でレベルを与えておいて、断るとペナルティって……結構酷くない? ま、信用されていると前向きに思っておこう。
「大丈夫です、やりますよ」
「有難う御座います。もう一人の方が来るまでお待ち頂けると」
てな訳で待つ事に。
「ザヴァキランって強いのかな?」
「まぁまぁ強いと思うのう。蓮斗だけじゃと微妙じゃな」
俺だけだと微妙か……もっと強くなって、元の世界に帰る可能性を拡げないと。
あれ? もし元の世界に戻ったら、クリスとは……。
「貴方がレベル5の方?」
急に話し掛けられた。
綺麗な顔立ちの女の子……。
赤色の長い髪の女性、腰には剣を携えていた。そして……胸大きいなぁ。
「あ、はい。蓮斗と言います」
「私の名前はレティシア、精々足を引っ張らない様に宜しくね」
うわ、プライドが高そうなのが来たな。
看破っと……。
〔名前:レティシア 種族:人〕
〔レベル:15〕
〔ギルドレベル:5〕
〔H P:358〕
〔その他:閲覧権限がありません〕
レベルは高いな。HPは俺より低い……女の子だもんね。
この世界のHPって、バランス悪い気がする。一般人が30だったとして、冒険者が300越えって……十回耐えて死ぬのと同じじゃん。
「おかしいわね、もう一人って聞いていましたのに……」
「儂の事かの?」
「きゃっ! イ、インテリジェンスソード?」
「いかにも。クリスじゃ」
「そ、そう……宜しく頼むわね。買い出しが終わり次第、行きますわよ」
……わよって、何処かの令嬢かよ。
さて、向かう場所は、チマー山脈って所らしい。約一日掛かるそうなので、食料等を購入して魔袋に詰めた。
「魔袋を持っているのね。私でさえ持っていないのに」
はい、はい、そうですか……。綺麗な子なのに、何か残念な子だ。
チマー山脈に向け、一行は歩き出した。
三十分ほど経っただろうか……誰も何も話さない! 何この空気……ツラいよ……。
そんな中、目の前に魔犬が五匹現れる。
ナイス魔犬! こんな沈黙より戦闘している方が何倍も良い!
「行くよ、クリス!」
「うむ!」
俺達が二匹倒すと、レティシアは三匹倒していた。流石はレベル15だ。
「まぁ、こんなものですわ。でもこんな場所に魔犬がいるなんて……」
あれ? 前に魔犬と戦った時、何か最後に大きい魔犬が……そうそう、ちょうどレティシアの頭上に居る感じの大きな…………危なっ!!
魔犬に気付かないレティシアを庇うように、俺が縮地術を使って飛び込むと、レティシアは驚いて叫んだ。
「きゃ! 何をするの! この不埒者……え?」
あっという間に魔犬を斬り倒す。
「成長したの! 蓮斗」
「まあね!」
その光景を見たレティシアは、ばつの悪い顔をしていた。
「助けてくれたのね。有難う、礼を言うわ」
あれ? 結構、素直な子なのかな?
「私、いつも助ける方で、助けて貰う事が少ないのよ……あなたレベル11ですわよね?」
「そうだけど?」
「私より低いから、甘く見ていましたわ。本当にごめんなさい」
「いや、レベルが低いのは事実だし、気にしないで」
「蓮斗と言ったかしら。あなた優しいのね」
え、そう? 照れるなぁ。
「何を照れておるのじゃ!」
「ご、ごめん」
ん? 何で怒られなきゃいけないんだ?
「蓮斗は転移者なのかしら?」
「そうだね。知ってたんだ?」
「ええ、インテリジェンスソードでしたので。私よりレベルが低い転移者だったものですから、大したものでも無いのかと……あ、ごめんなさい」
「気にしなくて良いよ」
「本当に優しい殿方ですわね……」
え? そうかなー? えへへ。
暫く歩いていると、少しずつ日が暮れていった。レティシアは、辺りをキョロキョロと見渡すと、頷きながら自分で何かを納得している様だった。
「今日はこの辺りで野営にしましょう」
「わかった」
今日も沢山歩いたな。明日に備えてゆっくり休もう。
俺達は木々に囲まれた場所で、野営をする事となった。
レティシア、結構良い子かもね!
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