第一回「あなたは人間が好きですか?」
このお話は、実話を元にして作っているつもりではありますが、時々刻々と変化していく問題も多くあるため、作品で書かれている状況と今現在の状況が違うという場合もあるでしょう。
また、多くの話は作者のうろ覚えで書かれているため、間違っている可能性を否定できません。その事を踏まえた上で読んでもらえれば結構です。
ちなみに、悪魔と天使と銘打ってありますが、環境問題に関することを書いたのが天使と悪魔の語りであります。この際、天使と悪魔は関係が無いかもしれません。たぶんありません。
第一回「あなたは人間が好きですか?」
とある夕陽が奇麗に見える丘で、美しい女が言いました。
「あなたは人間が好きですか?」
その問いに、青年は呆れたように言う。
「まるで自分が人間以外の生き物みたいな言い草だね」
「そうですか、そう聞こえてしまいましたか?」
ころころと鈴の音の様な声で女は笑う。
「そう聞こえるよ。僕は人間が嫌いだ、人間なんて酷い事を沢山するんだ。見てくれよ、この見渡す限りの草原を!」
青年は声を張り、大仰に手を広げます。
けれどそこに広がるのは、誰が見ても夕日に赤く染まる奇麗な丘です。写真に撮って納めておきたい程に、その風景は幻想的でもあります。
「ここはとても美しい場所ですよ。どうしてそんなに悲観的な事を言うんですか」
「それは・・・」
項垂れた青年は、奇麗な丘に座って呟きました。
「もとは奇麗な森があったんだ。たくさんの動植物がいて、ここは彼らの住処だったんだ」
「まぁ、そんな話は嘘でしょう? だってここは、こんなにも美しく、人の心に訴えるもの。見て、遠くの景色まで見渡せるのよ」
「それは人間が木を切り倒したからね。全部、薪や船にされちゃったよ」
「あら。本当に?」
「本当の話さ。僕はこんな作られた景色なんて、嫌いだね」
「そう。でも・・・」
女は少しだけ微笑みながら問いました。
「それっていつの話なの?」
「二百年ぐらい前かな」