ep12 その昇進、喜ぶべからず
天空龍の脱皮が無事に終わり、浮遊島『アクア・リウム』に再び平穏な風が吹き抜けた。
霊峰の頂で、アキラたちは龍が脱ぎ捨てた「古い鱗」の山を前にしていた。
「(……陸の守り人よ。……その鱗は、私の古い殻だ。……好きに持っていくがよい。……二度と、鉄の筒を持つ者を……私の空へ入れるなよ……)」
龍は悠然と雲の彼方へ消えていった。
「……やった、アキラ様! 龍さんのプレゼントですぅ! これ、売ったら凄いお金になるんじゃ……」
「バカ言えリリィ。これは超一級の『特定保護魔物由来素材』だ。全量、教会の環境保管庫に直行だ。……だが、俺たちの任務は完遂だ」
アキラが深く息を吐いたその時、空からキラキラと黄金のパンフレットが舞い降りてきた。
パンフレットには、女神の浮かれたボイスメッセージが仕込まれていた。
『みんな~! 天空龍の脱皮ガード、お疲れ様~☆
アキラ君のプロの仕事に免じて、今回は特別にボーナスをあげちゃうわよ!』
1. アキラ: 「主任保護官」への昇進! (徳ポイント10,000加算!)
2. リリィ: 「新品の天使の輪」(ピカピカの最新モデル。感度良好!)
3. セレーナ: 「特選・幻のキノコ詰め合わせ」(エルフの里でも滅多に拝めない極上の香りと味!)
4. レオ: 「新たな聖剣の加護:切断(精密)」(アキラの教えを守れるよう、1ミリ単位で衝撃を抑える機能付き!)
5. マリア: 「最新型・水晶通信機(限定ピンクゴールド)」(予備バッテリーもバッチリ!)
「……アキラ様ぁ! ワッパが戻ってきましたぁ! 浮いてます、ちゃんと浮いてますぅ!」
「キノコ……、この香りは……。フン、少しは分かってるじゃない、あの女神」
「見てくれアキラ! 聖剣が勝手に細かく動くぞ!」
仲間たちが大喜びする中、マリアだけが首を傾げた。
「……あれ? でもこの水晶、裏に『リサイクル・Bランク』ってシールが……。これ中古じゃない?」
アキラは嫌な予感がして、パンフレットの最下部にある小さな「注意書き」を読んだ。
※追記:上記アイテムおよび水晶の購入・修理費用(中古割引適用済み)は、『アキラ主任の昇進ボーナス(徳ポイント)』より全額相殺させていただきます。不足分はアキラ君の今後の給与から天引き☆ 昇進おめでと~!
「………………パアだ。……俺の昇進ポイントが、一瞬で消えた……」
膝をつくアキラの肩に、リリィが(胸を押し付けながら)慰めるように手を置いた。
豪華(?)な打ち上げパーティーも束の間。
パンフレットの裏面が、突如として赤く点滅し始めた。
『緊急事態発生!
魔王軍が不法に運営していた「生物兵器廃棄場」の処理プラントが故障!
捨てられた合成魔物たちが配管に詰まって、周囲の川にドロドロの毒素が流出中よ!
このままだと下流の村が全滅しちゃう! 今すぐ現地へ急行して!』
「……またかよ。……今度はゴミ処理場の詰まり抜きか」
アキラは、新調された「主任」のバッジ(でも自腹)を指で弾き、汚れたリュックを背負い直した。
「おい、野郎ども! 祝杯は終わりだ。……次は『魔王軍の不法投棄』の摘発に行くぞ!」
「えぇぇっ!? 私、さっき届いたばかりの水晶で自撮りしたいのにぃ!」
「……キノコ、食べてからじゃダメ?」
「応! 詰まってるなら、俺の聖剣でズバッと……」
「……レオ。……『ズバッと』は禁止だと言ったろ。……次は『高圧洗浄』だ」
アキラたちは、次なる戦場――異世界のドロドロした「環境破壊現場」へ、徒歩で旅立っていった
第一部 完
くぅ〜これにて第一部終了です。
アキラ達の冒険(自然保護)は、まだまだこれからだ!
次回作にご期待ください!
ですね。
続編はこれから不定期に投稿していきます。




