ケモ耳メイドは動揺する
「お嬢様、今日もお疲れ様でした。甘い物を準備しておりますので、夕食の前に少し召し上がりませんか?」
バーンズ卿と別れてから、もやもやする気持ちを発散させたく黙々とお菓子を作りました。
………そういえば、月華の時も何かあるとひたすら作っていたなぁ、と思い出しました。
前世の時はハンドミキサーとかフードプロセッサーとかを買ってからは楽になって、もやもやを打ち消す為に作っていたのが、逆にテンションあがってしまって楽しくなって……周りに止められるまで作り続けてました〜。
今は身体能力爆上がりだから器械は必要ないし、オーブンや冷凍・冷蔵も小粒の魔法石で動く魔導具があるからいろんなお菓子を作れるので幸せ〜っ
そうだ! 暑いこの季節、冷たいミントゼリーとかもいいかも?とハーブティーをカップに注ぎながら楽しく考えておりました。
……そういえば、あいつはミントゼリーが苦手だったわ。
『ガムと同じ味なのに飲み込むとか……ムリ!!』というよく分からない事を言ってたのを思い出しました。
いや、食感違うし、そもそもカテゴリー違うから!!
本当、変なヤツよね〜、今もダメなのかなぁ?と思い出しながら、給仕を続けていました。
「ノワール」
「はい、何でしょう、お嬢様?」
お食事前のお菓子だから、軽めにシフォンケーキにしたんだけど、トッピングの果物をシロップ煮にしてみました。どうでしょう?
「ルカス卿とは馬車でお話しできた?」
「――?!?!」
え? え?! お嬢様どこでそれを!?
あ! 王太子殿下!!
「不思議よね? ノワールとルカス卿が出逢ったのって入学式が初めての筈でしょう? なのに、お互い昔からの知り合いみたいだったし。でも、あの日以降二人で話してる様子はないからどうしてかしら、と思って」
あぁ、それは私が一方的に接近拒否してますから。
「アスラン様にルカス卿が日に日に落ち込んでるからどうにかしたいって相談されちゃって。ノワールには申し訳ないとは思ったんだけど、一度お話できる場を持てたらどうかしら?って思って、ごめんなさい」
頬に手を添えて、こてんっと首を傾げてみせるお嬢様が可愛いです………!!
そうですよね〜。登下校時にランチタイムと、かなりの頻度で会ってるにも関わらず、私が空気感出しながら話しかけるなオーラ出してますもんね〜。
でもですねお嬢様? 元より身分が違うんです! 気軽に話しかけていい相手ではないんです!! 私は一介の平民出身の侍女ですからっっ
あぁ、そうか。私は使用人という事で、一緒の馬車に二人きりでも大丈夫なんですね。なるほど。だから今回の様なことになったのですね。
まぁ、これが貴族のご令嬢とかだと、すぐさま『その様な関係』と取られてしまって大変なことになりますもんね。
「お嬢様に心配させてしまって……申し訳ありません………しかしながらお嬢様、私とバーンズ卿はあの日が初対面でして。正直に言いますと私も対応に困っているのです……」
私、嘘は言ってないです。
「え? それは……本当に?」
「はい。私がお嬢様に嘘をつくなど有り得ません!!」
「そう、なのね。実はルカス卿がノワールの事を『ノワタン』って呼んでたから、てっきり二人の間の愛称なのかと思ってて……私ったら、二人が幼い頃に出逢っていて、何か……その…お友達になったのかと」
お嬢様? そのお友達に違う意味を含んで言っておりませんか?
ここにきて、お嬢様の愛読書の影響が?!
違う! 違うんです!! お嬢様の考えている事が手に取るように分かってしまう〜っっ
淡い恋心とかじゃ絶対ないんですからーーっっ
読んでいただきありがとうございます。




