そののちのこと
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──そののちのこと
アーサーが追放され、ジークとセラフィーネが新しい英雄神になったことはすぐさま神々の神殿を通じて世界中に布告された。
「ええ!? ジークさんたちが神々に!?」
ベルククローンにいたエマは驚いていた。
「先ほど、神々より神託がありました。それによればエミール様、神々となった英雄神ジーク様とセラフィーネ様はあなたの功績を讃えて、あなたに商業神ガネーシャの加護を与えるとのことです」
「ジークさんたちが……」
「これは大変名誉なことですよ」
神殿の神官はエマにそう言った。
「ええ。ありがたく加護を受けさせていただきます」
エマは真剣な表情で頷いた。
「じゃあ、これからまたルーネンヴァルトに戻ろうかな」
エマの頭には新しい構想があった。ルーネンヴァルトを拠点に商会を起こし、大陸でも名の知れた大商会になると構想だ。
商業神ガネーシャの加護があれば、それは決して不可能ではない夢だった。
「帰り道でもいろいろと仕入れながら帰ろう。そして、いつかは!」
エマがガネーシャの加護を得たことは広く知れ渡り、彼女は勇者を支えた商人として一躍有名になる。彼女はその名声をしっかりと生かし、ルーネンヴァルトで商会を開いた。そこには父アルブレヒトの支援もあったのだった。
* * * *
ジークたちが神々になったことに驚いたのはルーネンヴァルトにいるロジーやアレクサンドラにとっても同様だった。
「おお。勇者ジークが英雄神アーサーを破って神々になったとは……!」
ロジーは知の女神ヘカテからの神託を聞いてそう驚く。
「ジークさんたちが神々になるとは驚きです! けど、あの方ならば不可能ではないことでしたよね」
「ええ。無事に邪神フォーラントを討ち破り、世界を救った勇者ジークたちは英雄神に相応しい人間なのです」
「この街にとっての恩人でもありますし」
「そうですね。勇者ジークたちにおかげでこのルーネンヴァルトはトリニティ教徒の猛威から救われたのでした」
黒書結社から、トリニティ教徒の侵攻軍からルーネンヴァルトを救ったのは間違いなくジークたちである。
「勇者ジークたちが神々になったことを讃えて、今日は宴としましょう。広くこの知らせを知らせることを兼ねて!」
「はい!」
ルーネンヴァルトでは恩人であるジークとセラフィーネが神々になったと聞いて、大きな宴が開かれたのであった。
* * * *
さて、ジークたちは勇者になったが逆にアーサーはただの不老不死の人間になった。
「畜生!」
そんなアーサーは場末の酒場で飲んだくれていた。
「お客さん、飲みすぎだよ」
「いいから注げ! 私は英雄神アーサーだぞ!」
アーサーがそう言うと失笑が酒場の中の漏れた。
「いやいや。あんたはもう英雄神じゃないだろう。英雄神は邪神フォーラントを討ったジーク様とセラフィーネ様さ。夫婦神ってことで、恋愛のご利益だってある格の高い神様だぞ」
「私があいつを英雄にしてやったんだ!」
「はいはい。……ところで、あんた。金は持っているのかい?」
そこで酒場の店主がじろりとアーサーの方を見る。
「金をとるのか? 神から?」
「あんたはもう神じゃないだろう。払うもの払わないと……分かってるよな?」
そこで酒場の人間たちがアーサーを取り囲んでいることに彼は気づいた。
「……金はない」
「なら、皿洗いをしてもらおう。無銭飲食は本来衛兵に突き出すことなんだからな」
「とほほ……」
それからアーサーは地上で暮らしていく金を手にするために酒場で働き始めたのであった。英雄神とは全く関係のない仕事だが、まあ、そう悪くはないかった。
* * * *
そして、神になったジークとセラフィーネのふたりは仲睦まじく──たまに殺し合いをしながら過ごしたそうだ。
500年後のまた復活するであろうフォーラントに備えながら、彼らは新しい英雄神として人々と神々に歓迎されていったのだった。
この物語は、これでお終い。
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本作品はこれに完結です。
お付き合いいただきありがとうございました!




