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社会不適合者達による成り上がり英雄譚  作者: 鳩理 遊次
二章 貧乏鍛治師と始まりの出会い
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2章 58話 メルとの出会い

ユニーク1000人達成!

こんなにも多くの人の目にとまって嬉しい限りです。

次はpt100を目指したいところです!

メルに会ったのはいつだったか。


村が焼かれ、家族が死に絶えた。

だが、俺だけが川に落ちたのか河川で目を覚ました。

服はボロボロであり、最初は何でこんなところにと疑問をもった。

頭を強く打ったらしく村が焼かれた記憶が飛んでいて冷静だったのが良かった。

一先ず、周りを散策すると運が良かったのかすぐに村を発見することができた。

村は魔物避けの柵に囲われており、何処が入り口なのかと周りをうろうろとしていた。

仮に勝手に入ったりすると、盗人と勘違いされてしまう。

村という集団は、基本的に横のつながりがつよく、余所者はすぐに分かる。

そうして、時間を食っていると柵の近くで作業していた男が近づいてくる。

不審な行動と俺の身なりを見て心配になったらしい。

男は親切で、村の中に入れて家で休ませてくれた。

子供だった俺は、安心できる家の中だったからか、疲れで沈むように寝てしまった。

それから一日後になって目を覚ますことになった。

泊めてもらったお礼に手伝いを幾つかし、それが終わるとずっと聞きたかったここがどこなのかを尋ねる。

そうして聞けたのは、聞き覚えの無い村だということだ。

逆に俺の村を聞いてみたところ男も知らなかった。

俺の村は辺境のど田舎であったのも問題なのだろう。

とにかく、この男が知らないだけで他の人なら知っているかも知れない。

親切な男に協力してもらい村人達に聞いて回った。

けれど、知っている者は一人としていなかった。

どうしようか困ったが、俺の村の手がかりになる物を片っ端から聞いて回った。

だが、俺の村の情報は全く分からなかった。

途方に暮れて夜まで歩いていると、ある村人が外で何かを焼いているのが目に飛び込んだ。

それがきっかけだった。

俺が何故川に落ちて流されたのか。

俺の村がどうなったのか。

俺の家族がどうなったのかを。

その時のことは余り覚えていないが、喚くようにして流れ着いた村から走り出したのは覚えている。

行く当てもなく、理由も分からないのに何かに取り憑かれたように走り続けた。

ただ我武者羅に。

魔物が出てもおかしくない茂みを。

盗賊が待ち構えていておかしくない山道を。

そして、俺は一晩中走り続けた末にとある町の前で倒れた。


気がつくとまたも見知らぬ天井だった。

ぼうっとする頭でここは?と考えるが、意識がしっかりすると再び村のことを思い出す。

早く皆んなの所に行かないと!

その思いで部屋から駆け出したが、そもそもここがどこで、どっちに向かえばいいか分からなかった。

扉を蹴破るようにして出たからか、物音で武装した男が顔を出す。

最初は、襲撃者の顔がチラついて驚くが相手が無害なアピールをしていたのと、たまに村に来ていた兵士と同じ鎧を着ていたのを思い出す。

及び腰から兵士の男に詰め寄ると、戸惑われるのを無視して聞きたいことを言い続ける。

幸い、この兵士も親切でこんな得体の知れないガキの話を熱心に聞いてくれた。

ここは町の詰所だということ。

俺は門の近くで倒れているところを保護されたこと。

最後に、俺の村を知ってはいたが、一週間も前に滅ぼされたという事実。

最初な嘘だ、こいつの勘違いだと喚き散らしたが、他の兵士も口を揃えて同じことを口にする。

なんでも、村が族に襲われて壊滅することは稀にある話らしいが、あそこまで惨たらしくやられたものは珍しいので話題になっていたらしい。

さらに決定的なのは俺以外の生き残りがおり、この町で聴取されたらしい。

叩きつけられる無慈悲な現実。

じゃあ、焼かれた村は…

腕しかない弟は…

首の無い母は…

血まみれの姉は…

アレは、ゲンジツ…なのか?

思考がまとまらず、歪む視界。

また記憶が飛んでしまう。

次に意識を取り戻した時には、ボロ雑巾のようになってどこぞの裏路地に転がっていた。

何故か痛む体。

立ちあがろうにも力が入らず、喉は乾き切ってとてつもない飢餓に襲われる。

何でここにいるのかは分からない。

分かるのは忘れられない認め難い現実のみ。

苦しくて痛くて仕方がないのに、俺はそれでも良いと思った。

全てを失って生きる気力げ湧かない。

あぁ、これで俺も死ねる。

これで俺も家族の元に行ける。

あの世でまた家族みんなで平和に暮らすんだ。

そう期待に胸を膨らましながら目を閉じた。


次に目を覚ますとまた知らない天井だった。

まるでタチの悪い悪夢だ。

自分が夢を永遠と繰り返しているような感覚に、苛立ちとそれを超える絶望を感じる。

いや、もしかしてこれは夢なんじゃないか?

前は身体中に痛みがあった。

それに、身なりも綺麗になっている。

そう思い、もしかしたら村が滅んだのは夢なんじゃないかと、懲りもせずに一抹の希望に縋ろうとする。

寝台から出ようとすると、足に力が入らずに崩れ落ちると顔が地面に激突する。

痛いと感じると、次に前にも感じた強烈な空腹に襲われる。

ここまで来れば分かる。

分かってしまう。

どうやら俺は死にぞこなったらしい。

クソ…クソ…!

全ての負がのしかかってくる。

いろいろな感情がごった混ぜになって打ちひしがれていると、ガチャリと扉の開く音がする。

誰かが入って来ると、四つん這いになって床を見ている視界に異物が映り込む。

汚い靴が見えても、この時の俺には反応する気力が無かった。

何か声のようなものがぼんやりとするが、くぐもっていて何を言っているのか分からない。

茫然自失としていると、ガッと肩をつかまれて引き上げられた。

目の前には怒った顔が似合わない少女が、怒鳴っているように口を動かしていた。

何だ?何を言ってるんだ?

そう問いかけようにも、口を動かすのすら憂鬱だ。

俺からまともな反応が得られないと分かると、少女はさらに目を吊り上げて…

ゴスッ!


「ぐぅぁ!?」


鈍い音を立てる額。

あまりの痛さに星が写る。

意識がしっかりして、少女の顔をしっかりと見ると額から血が薄らと滲んでいた。

俺はどうやら頭突きを食らったらしい。


「あなた話を聞きなさい!!」


怒鳴り声を上げる少女の剣幕に、反射でコクコクと小さく頷く。


「なによ。しっかり聞こえてるんじゃない。名前は?」


「オスト…」


俺が状況を理解できずに目を白黒させていると、睨みつけるような鋭い目線で名前を聞いて来る。

呆気に取られて、らしくないか細い声で答える。

少女はそれが聞けると、少しは満足したのが怒り顔からブスッとした不満顔にまで落ち着く。


「死にかけてまであんなところで何してたの?ここら辺じゃ見かけないし流れてきた孤児なの?」


声を機嫌が悪そうではあるが、先程よりもはるかに落ち着いた声。

何をしていた?

それについて冷静に考えると、抜け落ちていた記憶が浮き上がってくる。

それを思い出すと例えようのない悲しみと、フツフツと湧き出す小さな怒り。

そうだ。

もうすぐで死ねた。

もうすぐで家族に会えた。

俺は助けを頼んだ覚えはないぞ。

そんなドロドロとした感情を今会ったばかりの、それも助けて貰った少女にぶつけた。

言葉にもならない奇声のような怒りを。

みっともなく顔を体液で汚し、力の限り喚き散らかす。

少女は始めをこそ俺の代わりように呆気に取られていたが、すぐに優しげな目をキッと吊り上げる。

怯んだ様子もなく、逆にビンタをかまされる。


「馬鹿じゃないの!?」


何故そう言われたのか、その時は理解できなかった。

その少女は腹を立てたように詰め寄ると、俺に説教を始めた。


「生きたくても生きれない人がいるのよ!あなたの家族がそうでしょ!それなのにあなたがせっかく拾った命を粗末にするのは、家族への冒涜よ!生きられなかった人の一番の願いは今を生きることよ!そんなこともわからないの!?」


またも頭に響く一撃。

本当に叩かれたわけでも、またも頭突きをもらった訳では無い。

にも関わらず、捲し立てるように言われた言葉の数々は、俺に強い衝撃を与える。

息も碌にせずに言い切った少女は、ぜぇぜぇと肩を揺らす。

息が整うと、固まっていた俺をベッドへと突き飛ばす。

そして、持ってきたは良いものの邪魔だから置いていたお盆を乱雑に持ち上げる。

ドシドシと歩くと少女は俺の横に雑炊の様なものを叩きつけるように置いた。


「それに私がせっかく助けたのに死にたいとは何様よ?早くそれを食べて、それから私が生きることが何たるかをおしえてあげるわ!」


そう少女が言い終えると同時に無言になる。

どうしようも無い絶望と止めどない怒りが満たしていたはずなのに、俺は何故か悲しくなった。

自身も訳が分からずに戸惑うが、どうしようも無いほど涙が溢れ出る。

先程までの絶望し悲観する様な涙ではない。

そんな俺を少女、メルは抱き寄せて頭を撫でてくれた。

それが無性に嬉しくて、今一番求めていて、俺が落としていたものが戻ってきた瞬間だった。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

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