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スターダストクロノス―星に願いを、時に祈りを―  作者: 桐森 義咲
第1章 異世界への旅立ち、ナインズティアへ
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時刻49 前兆

 それから数日が経った五年前の日こと。

 アルフレドや妹たちと離れ、一人自室で魔法書を読み耽っていたジョシュアの元にコンコンと二度のノック音が鳴り響いた。

 思考が現実へと引き戻されていく。集中していたジョシュアが顔を上げると、窓の外はいつしか傾いており、部屋をオレンジに染めている。

 今日はジョシュアたちの両親、そしてラーヴェ家夫妻が遠征から帰ってくる日だ。

 シグレが気を利かせて早めに呼びに来てくれたのだろうか? そんなことを考えながら茶表紙の魔法書を机に置き、扉の向こうへ返事をすると、


「ジョッシュ兄さん、あの……」

「……? クレアか?」


 想像していた人物とは違う声。

 シグレが違ったのならアルフレドか、もしくはたまに来るシスティアだと思っていた。大きく外したな、と苦笑しながらもドアノブに手を掛ける。

 キィという音、ジョシュアの目に飛び込んできたのは表情を曇らせ、長い黒髪を垂れ流したクレアの姿。

 これは何かあったに違いない。表情を強張らせるといつも彼女と行動を共にしている妹を探すが、その姿はどこにもなかった。


「システィアと喧嘩でもしたか?」

「ううん。しーちゃんはちょっと席を外してるだけだから、すぐに戻ってくると思う」


 つまり喧嘩したのではない、ジョシュアはホッと安心感を得たがそれも束の間だった。

 ならば、何があった? 続くのはその疑問。


「じゃあ……ここに来たってことは、俺に用事か?」


 無言でこくりと頷くクレア。美しく澄んだ黒い瞳を向けられると、夕に照らされた顔は心配の一色で染まっていた。


「もうすぐお父様たちが帰ってくるのに、アル兄さんの姿が見えないの。ジョッシュ兄さんなら知っているかと」

「アルが?」


 ジョシュアは顎に手を当てながら彼の行く先を探ってみるが、アルフレドから特別どこかへ行くとも、言伝(ことづて)を頼まれた覚えもない。そもそも今日は朝に挨拶を交わしたくらいでその後は話も、剣の鍛錬も交えていなかった。


「すまない、聞いてないな。だが、父上たちが今日帰ってくることは知っているはず、それまでには帰ってくると思うが」

「そうだったらいいけれど……。ジョッシュ兄さんにも告げないで、一体どこへ行ったのかしら……」


 誰にも伝言を頼まず、どこかへフラフラ出かけるような奴じゃない。長年、一緒に居た仲だからこそ分かる。分かるからこそ、妙だった。

 とはいえ、心配そうな彼女をこのままにしておくわけにもいかない。上手い考えがジョシュアにあるわけではなかったが、クレアの気を紛らわせるためにもありえそうなことを綴っていく。


「まぁ、アルのことだ。案外、秘密裏に町へ出てクレアのためにプレゼントを買ってきてくれたりしてな」

「……プレゼント?」

「ん? 何か覚えでもあるのか?」

「ううん、実はさっき――」


 クレアが手に持った何かを見せようとしたとき、


「あぁぁー! ジョッシュお兄ちゃんとくーちゃんが密会してるー!」


 少々、不適切で大きな言葉が二人の耳に届く。

 やれやれ。ジョシュアは苦笑を浮かべ、元気よく駆け寄ってくる妹の頭にポンっとチョップを入れた。


「誰が密会だ。そんな言葉、覚えなくていいからな?」

「えっへへー。あ、見てみてジョッシュお兄ちゃん! さっきね、くーちゃんと宝物交換したの!」


 聞いているのかいないのか、システィアは話題を変えると首に掛けられたペンダントをゆっくりと服の中から引っ張り出していく。

 現れたのは四センチほどの、歪で蒼い透明な石。中心部から淡く深く、星が瞬いているように自然発光するこれは『星の涙(ステラティア)』と呼ばれる宝石だ。


「私も……しーちゃんからもらって」


 先程言いそびれたことを伝えるように、クレアも手を広げると銀色の懐中時計が姿を現す。

 時を刻む物。それはナインズティアにおいて、少々高価な部類。屋敷のエントランスなどに飾られている大きなものならまだしも、持ち運びができる時計は作れる者が少なく、特に希少性が高い。

 そのどちらも彼女たちが大切にしていた宝物だということを、ジョシュアも知っている。

 ジョシュアは少し困った顔をするものの、彼女たちの表情を見て納得の上でならと頷く。


「よかったな。お互い、大事にするんだぞ?」

「うん。しーちゃんがくれたんだもん。この時計、大切にする」

「私も! くーちゃんがくれた星のペンダント大事にする!」


 妹たちは互いに顔を見合わせ、ニコニコと笑っていた。

 それならばよし! ジョシュアも満面の笑みを浮かべ、システィアとクレアの頭をくしゃくしゃに撫で回す。


「うにゃ! ジョッシュお兄ちゃん⁉ な、なんでこんなに強くするのー⁉ 髪がボサボサになっちゃうー!」

「ぷっ……しーちゃん、髪の毛……変だ……くくく、あはは!」

「な、なんで笑うのー! そういうくーちゃんもボサボサだからね⁉」

「え! 嘘! ちょっとジョッシュ兄さん! やめっ」

「あーすまんすまん。つい嬉しくてな」


 しばらく撫でていたが、ついに二人から振り払われてしまう。彼女たちはジョシュアから距離を取ると、むっすりという感じに頬を膨らませていた。


「ジョッシュお兄ちゃんってば、もう……。行こう! くーちゃん!」

「あ、うん!」


 手を繋いで、ぱたぱたと足早に去って行く妹たち。システィアのおかげで、クレアの表情はある程度普通と思えるくらいには戻っていた。だが、完全に吹っ切れたわけではないだろう。かく言うジョシュアも、アルフレドがどこへ行ったか気になっていた。

 シ・グ・レ、シ・グ・レ、どっこかなー? と妹の自作風の歌が聞こえてくる。

 そうだ。もしかしたら侍女であるシグレなら、アルフレドの姿を見た可能性は充分にある。ふと廊下の窓から屋敷の前庭を見下ろすと、箒で庭掃除をしているシグレの姿が目に入った。


「シグレ」

「はい! ……? あれ?」


 窓を開け、彼女の名前を呼んだのはいいが、どうやら位置を掴めていない様子でキョロキョロと辺りを見回している。だが、それもわずかの間だ。二階にいたジョシュアに気がつくと、いつものように顔を赤らめる。


「じょ、ジョシュア様! すみません……お恥ずかしいところを」

「いや、俺の方こそここからですまない。システィアたちの歌は聞こえたか?」

「え? あ、そういえばくーちゃ……クレア様の名を呼ぶ歌は聞こえましたけれど」


 もうすぐ両親が帰ってくる。だからこそ、シグレはクレアの名を言い改めた。

 しかし、はてな? とジョシュアは歌について首を傾げる。耳を澄ましてみると、どうやらシグレを探す歌はリズムをそのままに、フレーズだけがクレアに差し替えられたようだ。

 シグレを探しつつ、同じリズムとはいえクレアの歌までも作る。天真爛漫なシスティアならありがちだろう。

 あの調子ならアルフレドのことをここで聞いても、クレアの耳には入るまい。


「……いや、歌については忘れてくれ。それよりシグレ、アルの姿を見てないか?」

「アルフレド様ですか? そういえば、しばらく前に町へ出られたような……」

「そうか! なら、俺も――」

「え……? じょ、ジョシュア様⁉」


 ジョシュアは剣を携えると窓から身を乗り出し、ぽかんとしていたシグレのいる前庭へその身を投げ出した。

 慌てたシグレは箒を投げ出し抱き留めようと試みたが、その思い虚しくジョシュアは風魔法を地面に撃ち、難なく着地へ移行する。


「す、すまん。まさか、そこまでシグレが驚くとは思わなくて……」

「っ~~! あまり無茶なことはなさらないでくださいっ! 心臓が止まるかと思ったんですよ⁉」

「わ、悪い……次はちゃんと玄関から出るよ……」

「お願いします‼」


 まさかここまで怒られることになろうとは……。

 こんなシグレの表情を見たのは初めてでジョシュアはフッと微笑むと、そっぽを向いてしまった彼女の頭を撫でた。


「……!」


 触れた瞬間は驚いたように肩を上げていたが、嫌がる素振りは見せない。互いに沈黙のまま、ジョシュアは撫で続けていたが、シグレはどうも落ち着かない様子だ。


「っ……ぁぅ……」

「…………」

「……ぁ……あの」

「ん?」

「お出かけに、なるのですよね?」

「ああ、そうだったな」

「で、ではわたしの頭を撫でるのはよしてそろそろ……。もうすぐ当主様たちもお帰りになる頃ですし、急いだ方が」

「そうだな」

「え、えっと……う、うぅ」


 そう、急がなくてはいけない。だが、すぐにシグレの頭を撫でるのをやめることはできなかった。

 侍女とはいえ、紛れもなくジョシュアの三人目の妹だ。システィアも、クレアも、シグレも……できれば平等に扱いたい。だからこそ、このままそっぽを向かせて出かけるなんてことはできなかった。


「わ、わたしはもう大丈夫ですから……お庭の掃除も終わったので、そろそろお屋敷へ戻ります。このままだとシスティア様たちが夕食を作ってしまいかねないので」

「そうか……そうだな」


 ひとしきり触れていた黒髪、それをやめればジョシュアの手のひらから彼女の体温が消えていく。

 赤いリボンを揺らし、振り向くシグレ。その顔はリボンに負けないくらいに赤みを帯びていたが、表情からは怒りとは違った赤みだと読み取れる。無事に機嫌を取り直せたようだ。


「で、できるだけ早めにお帰りくださいね。可能ならアルフレド様とご一緒に」

「ああ、すぐに戻ってくる。システィアと、クレアのことを頼んだぞ」

「はい、行ってらっしゃいませ」


 深々とお辞儀をするシグレを背に、ジョシュアは夕暮れの石畳を駆け下りる。あまり大きな町ではないが、隅々まで探すとなると時間がいくらあっても足りないだろう。

 人の多い噴水広場まで降りれば、アルフレドの姿を見た人物も一人や二人いるはずだ。そこで聞き込みをすれば、自ずと行き先は掴める。

 ジョシュアは目的通り噴水広場に到着すると、一人の衛兵を捕まえた。


「……なんだって? 町を出た?」

「ジョシュア様には伝わっているとばかり……。住民の方から討伐依頼が出ていたものをと森へ」


 それなりに豊富な薬草が摘める近辺の森。力のないものが立ち入るには危険だが、そうそう強い獣が現れるわけではない。

 しかし、もうすぐ夜になる、獣よりも手強い魔物が活発になる時間だ。

 多少強い魔物が現れようが自分と肩を並べるアルフレドなら、難無く斬り伏せられる。ジョシュアもそれは知っていたが、もしもということはある。心配するに越したことはない。


「そうか。ならば俺も――」

「その必要はないよ」


 よく聞き知った声にジョシュアは振り向いた。

 心配は杞憂だったように、返り血一滴すらも浴びてはいないアルフレドが門の影から現れる。腰には彼が愛用する漆黒の剣が眠る鞘、元から討伐しに行く気だったと言わんばかりに携えられていた。


「やぁ、ジョッシュ。血相変えてどうしたんだい?」

「……クレアからお前の姿が見えなくなったと聞いてな。探していた」

「そうか、ちょっとした鍛錬ついでに獣の討伐をね」


 衛兵に討伐したことを告げると、アルフレドは悪ぶれもせずに屋敷の方へと足を進ませ、ジョシュアもそれに追従する。


「鍛錬ついでだと? 俺ならまだしもクレアにも告げずにか? 今日は父上たちが帰ってくる日だと知っているはずだろ」

「ああ、知ってる。だからこうやって早めにやっつけてきたんじゃないか。ジョッシュもクレアも過保護すぎるんだよ。僕にだって一人で息抜きしたいときもある」


 確かにウザったらしい言い回しだったかもしれない。いつもと雰囲気はまるで違ったが、今までの鬱憤がたまっていたのだとすれば納得がいく。

 言いたいことはあったがジョシュアはそれを喉の奥へ押し返すと、端的に必要なことだけを告げる。


「……その気持ちは分かった。だが、クレアにそういう態度を示すのだけはやめておけよ? かなり心配していたんだ。俺が言うべきことじゃないかもしれんが、茶を濁すためにもその……プレゼントの一つくらいは買っていってやれ」


 クレアを安心させるために持ちかけた話だったが、アルフレドが本当にプレゼントを買ってきてくれたのだとすれば彼女は喜ぶだろう。機嫌取りも兼ね、話を円滑に進められるならアルフレドのためにもなるはず。


「そうだね、そうするよ」


 無機質に言い放ってはいたが助言通り、まだ活気の残る市場へとアルフレドは行き先を変える。しかし、そんな彼の背中をジョシュアは追うことはできなかった。


「過保護すぎ……か」


 アルフレドに言われて気づいたが、世間的に見れば確かに過保護で甘い。甘すぎるほどだろう。だが、それは本当に悪いことなのか? ジョシュアが守りたいと思うものに対して、それを抱くのは間違っているのだろうか?

 ジョシュアはかぶりを振った。間違ってはいないはずだと、そう言い聞かせる。自分が思うように、けれども極力気づかれないようにやれば過保護で誰も傷付きはしない。

 先に屋敷へと戻っておくべきだろう。程なくして両親は帰ってくる、もしアルフレドが遅れた場合には誤魔化しが必要になるはずだ。


 ――これも過保護か?


 市場へと向かっていった今はもう見えないアルフレドの背中を、ジョシュアはじっと見据える。消えてしまったその姿は、もう目で追うことも叶わない。


「まるで主人に捨てられた猫のよう」


 せせら笑う声。その主の方にジョシュアは向き直る。


「……猫、だと」

「悪く思ったのならごめんなさい。ふふふ、あまりにもそう見えたものだから」


 壁を背にしていた少女、それも小さな。140cm程度くらいしかなかろうか。その身には突出した特徴もない黒いローブを羽織り、顔の上半分が見えないくらいにフードを深々と被っている。


「良ければ一つ、占いでもいかが?」

「占いの類いは信じん。遠慮しておこう」


 システィアと同じくらいの年齢だろうが、あまりにも落ち着きすぎていて不気味だ。それにこの風貌は例の、噂の人物に良く似通っている。

 しかし――幼い。


「ふふ、そう。じゃあ占いとは別に一つだけ忠告をしてあげる。過保護から来る隠し事は気づかれていないように思っていても、気づかれているものよ」

「……何のことだ」

「さぁ? それはあなたが一番知っているんじゃない?」


 語り終えたのか、少女はアルフレドとは別の方向の人波へ消えていく。追うことも可能だっただろうが、ジョシュアはそれをしなかった。

 今の時期、黒の姫君とやらの影響で黒色のローブを羽織っている者は珍しい。だが、珍しいというだけで絶対にいないとは言い切れない。不気味さはあったが、少女である以上の物を()()()()からは感じられなかった。

 踵を返し、屋敷へと歩を進める。

 じっとしていたとしても、アルフレドがここへ戻ってくることはないだろう。その上、名も知らぬ少女に笑われるとは。

 ジョシュアは一つため息をつく。

 どんなに重い足取りでも、歩けば体は前に進む。足下を心配するような俯き加減でも、気づけば屋敷の前だ。結局、アルフレドと共に帰れないまま、玄関の扉を開けることになった。


「おかえりなさい、ジョッシュ兄さん」

「……! クレアか、ただいま」


 こんな顔を見せるわけにはいかない。

 ジョシュアはぎこちない笑みを顔に貼り付けると、変な顔とクレアから笑われてしまった。それでも、暗い顔を見せるよりはいいはず。


「シグレちゃんから聞いたわ。ジョッシュ兄さん、アル兄さんを探しに行ってくれたんでしょ? でも、一緒じゃないってことは会えなかった……?」

「あ……いや、ちゃんと会ったぞ。だが……そうだな」


 会ったのなら一緒に帰ってきて当たり前だと思うだろう。しかし、帰ってきていない理由をどう伝えるべきか。

 一抹の考えの後、ジョシュアは心苦しくも思ったが、少しだけ嘘を交えることにする。辻褄は後で合わせればいい。


「随分熱心にクレアのプレゼントを選んでいてな。もうしばらく時間がかかりそうだから先に帰っててくれと言われたんだ」

「ほんと? そっか、プレゼント……。日に二つもプレゼントだなんて……嬉しい」

「なになにー? プレゼント? ジョッシュお兄ちゃん、もしかして私にも⁉」


 どこから聞きつけたのか、ぱたぱたとシスティアがエントランスへ走ってきた。目をキラキラ輝かせている妹だったが、残念なことにそういう類いの物は買ってきていない。


「あ、あー……すまん。システィアの分は完全に頭から抜けていた」

「ええぇぇぇぇえ⁉」

「そもそも俺はお前を待たせてなんていないからな! プレゼントを買う義理はないだろう!」

「あるよー! 待たせてないけど私が喜ぶもん! それに騎士魔法学校を早くに卒業できて、ジョッシュお兄ちゃんみたいに優秀って王様から称号頂けたんだから! しーちゃんと一緒に! ねー?」

「う、うん」

「そう、だったな……。じゃあ、今度――今度、俺とアルで甘いデザートをプレゼントしよう」

「やたーっ! んーそれじゃーあ……星解けクリームプリンを三つ! 私とくーちゃんと、シグレの分!」

「ジョシュア様、おかえりなさいま……え? えぇぇ⁉」

「しーちゃん、流石にそれは難しいんじゃ……」


 ジョシュアの帰りを聞きつけ、エントランスへと到着したシグレの開口一番は驚きの声に変わる。

 王都で売られている大人気のプリン。毎日、百個限定で販売され、季節によってフローレンスの町まで足を伸ばしてくれるときがある。そしてそれが近いのを知っているからこそ、システィアはこうやって言っているのだ。


「運良く買えればそれにしようか、クレアもシグレもそれでいいな?」

「え? わ、わたしは……!」

「うん。シグレちゃんもそれでいいって」

「えぇぇえぇ⁉ い、言ってませ――」

「決まりーっ!」


 三人の妹は両手を繋ぎ、バンザーイと何度も手をあげている。一人だけ、振り回されているような気もするが。

 賑やかな会話の後、兄妹たちはそれぞれこの場から離れることになった。

 シグレはもう少し残っている仕事を、システィアはそれの手伝いに。クレアは二人に断りを入れて、もうしばらくエントランスでアルフレドの帰りを待つそうだ。ジョシュアはそんなクレアの頭を撫で、一旦自室へと戻っていく。

 三人一緒にデザートを――

 そんな何気なかったはずの小さな幸せの約束が果たされることはなかった。そして後にジョシュアの、クレアに伝えたほんの少しの嘘が大きな裏目へと出てしまうことになる。

数ある作品の中から、この物語を読んでいただきありがとうございます。

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