時刻48 思い出~二人の兄と三人の幼き妹たち~
§ 五年前 フローレンスの町 屋敷 裏庭
二人の少年が木剣を片手に、傷だらけで芝生の上にその身を横たえていた。
一人は黒髪、短髪の少年。もう一人は今も昔と変わらない、短くもなく、長いわけでもないアイボリー色の髪を持つ少年だ。
互いは髪色と同系色である黒のスラックスと白のスラックスを着用しており、剣術の鍛錬で上気した体のクールダウンを促すため、白いワイシャツの第二ボタンまでを外して談笑していた。
「はぁ……はぁ……はは、やっぱジョッシュは強いなぁ」
「ふぅ……ふぅ……アルこそ、実際にはそんなに変わらないだろ」
アルと呼ばれた黒髪の少年、名をアルフレド・ラーヴェという。ラーヴェ家の長男であり、十五になったばかりだ。
そしてジョッシュと呼ばれた少年、フローレンス家の長男ジョシュア・フローレンス。彼も十五歳の頃であった。
フローレンスとラーヴェ、その親同士が古くからの友人。子である二人も幼少期より同じ時を過ごし、親友と言っても過言ではない。
子どもながらにも上に立つ者として、魔物や悪から人々を守るため己を強くする。強くなくてはいけない。その考えを一心に、互いを切磋琢磨し合い、剣術の鍛錬に勤しむ毎日だ。
しかし、時には休息も必要。芝生の上に倒れて空を見上げれば、二人の目には大きな白い雲が流れていく。
こうしていれば、世界は平和に見える。そんな少年二人のひとときの平和、それはある少女たちの声を前に崩れ去ることになった。
「あー! ジョッシュお兄ちゃん、お洋服汚れるよー!」
裏庭に響いたジョシュアの名を呼ぶ彼女。
ジョシュアと同じ白に近いアイボリー色の髪、まだ五年後ほど長くなく肩にかかるくらいのミディアムロング。
首元には赤い細リボンを結んだ白いレースブラウスに、活発な女の子を想起させるような動きやすさを重視した膝上の赤いスカート。名はシスティア、フローレンス家長女のシスティア・フローレンス、十二歳だ。
「そうよ! アル兄さんも!」
アルフレドを兄と呼ぶ少女。声を大にしてはいるが、立ち振る舞いは淑女のそれだ。
日光をキラリと反射する黒のロングヘアに、比較的薄着で活発さを見せるシスティアとは対照的な黒色のヴィクトリアンドレス。ドレスにはわずかながらではあるが至るところに装飾の白が彩られ、地味さを打ち消すように黒を引き立てている。
名はクレア・ラーヴェ。ラーヴェ家の長女であり、システィアと同じ十二歳。
「はぁはぁ……しーちゃんも、くーちゃんも落ち着いて……」
システィアをしーちゃんと呼び、クレアをくーちゃんと愛称で呼ぶ少女。二人に遅れてぱたぱた走ってきたのはいいが、息をあげている。
変わらぬボブカット、後ろ髪にあしらわれたパッチン留めのできる大きな赤いリボンも今と同じだが、着込んでいるのは違う。ミリアと同じタイプのメイド服だ。
名はシグレ・アサミヤ、十一歳だがフローレンス家の侍女であり、彼らの世話人である。
ジョシュアとアルフレドは慌てて起き上がると弁解を始めた。
「うっ……システィア、あれだ! これは汚れてもいい服だからな、大丈夫なんだ! そうだろアル?」
話を合わせろと言わんばかりしきりにウィンクを瞬かせると、アルフレドは少しだけ笑いながら話を合わせていた。
「あ、ああ! うん、そうだね!」
それに対し、システィアとクレアは頬を膨らませると声を揃え大声を発する。
「「そういう問題じゃない!」」
「うおっ⁉」「うわっ!」
これにはジョシュアとアルフレドも驚き、身じろぎすると説教が始まる。
「ジョッシュお兄ちゃんたちの服は私たちが洗濯しなくちゃなんだよ! あーあ……泥々になってるー……」
「アル兄さんたち、私たちの言うこと全然聞かない……。シグレちゃんからもお願い、何か言ってあげて」
「え……あ、わ、わたしは……えっと、その」
クレアから急に話を振られ、シグレは慌てつつも、小さな声で囁くように呟いた。
「ジョシュア様、アルフレド様……お洋服はあまり汚さないよう……に」
幼い頃のシグレは少々口下手で、真っ赤に顔を染めてしまう。同性で年の近いシスティア、クレアとならば普通に接することができるのだが、ジョシュアたちとなるとまた違う。
兄二人も生真面目なシグレのこんな顔には、すこぶる弱かったりした。
「ごめん、シグレ……俺が悪かったよ」
「ごめんね、シグレちゃん……」
「え、あ、その……分かってもらえれば……はい……」
赤いながらもシグレは微笑む。だがしかし、素直に謝る兄たちのその様子を見ていたシスティアとクレアは更に頬を膨らませ、兄二人へと飛びかかっていた。
「シグレにだけはそーやって謝って! 私が言ってもぜーんぜん聞かないのに! このこの!」
「アル兄さんも問答無用よ! たぁーっ!」
「なっ! システィア、やめ――ぐあっ!」
「く、クレア⁉ 誤解――だぁぁぁ⁉」
「あわわわ、やっぱりこうなって……しーちゃん、くーちゃんダメですよー!」
彼らにとってはいつも通りの光景、日常。
傷だらけの兄たちを止めるためにシグレは奮闘するが、結局収まることを知らず、二人の少女が満足するまで兄たちはポカポカと叩かれ続けるのであった。
それから――
「光魔法―光治癒―」
「水魔法―治療―」
テラスの椅子に座らせた二人の兄の傷を魔法で癒やしていく妹たち。水と光の回復魔法。どちらも下級回復魔法だが、その速度は目に見えて変わる。
「すごーい……やっぱりくーちゃんの水魔法、傷を癒やすのが早いね」
「水は補助に特化してるから。しーちゃんこそ、扱いが難しい光魔法をそれだけ使いこなせてるんだからすごいわ」
「えっへへ……それほどでも――」
「システィア、回復力足りてないぞ」
「うっさい! ジョッシュお兄ちゃんの馬鹿!」
「ははは! ジョッシュ、そういうこと言うから遅くなるんだぞー? 僕みたいに余計なことを言わないのが一番いいんだ、な、クレア?」
「アル兄さん、気づいてないから言っておくけど、それが余計な一言よ」
そんな談笑をしていれば、一旦屋敷に戻っていたシグレが冷たい茶の入ったグラスとお菓子を茶盆に乗せ、裏庭へとやってきた。日も正午よりは傾き、間食にはちょうど良い時間だ。
「ふふ……ジョシュア様、アルフレド様。お飲み物をご用意しました」
「すまないシグレ、助かる」
「ありがとうシグレちゃん。頂くね」
「は、はい。クッキーも焼いているのでしーちゃんとくーちゃんも、回復が終われば食べてくださいね」
「ほんと⁉ よーし、頑張る!」
「嬉しい、後で頂くね」
兄二人はシグレからグラスを受け取ると、喉が渇いていたのか一気に飲み干していく。
「ふぅ……やはり、シグレの淹れた茶は美味いな」
「だね、生き返るよ」
「か、過分なお褒めに与りまして、光栄です」
「過分じゃないんだけどな」「過分じゃないんだけどねぇ」
なんてこと口を合わせ伝えてしまえば、やはりいつも通り恥ずかしそうにシグレは俯いてしまう。
「またシグレを困らせてー」システィアがそんなことを言っている束の間、クレアはアルフレドの回復を終えたのか立ち上がった。
「しーちゃんお先に!」
「えーっ⁉ もう終わったの⁉」
「ふふ、シグレちゃんが焼いてくれたクッキーのことを考えたら、想像以上に頑張れちゃった。シグレちゃん、私もお茶を一杯もらっていい?」
「もちろんです。クッキーと一緒にどうぞ!」
「ありがとう。わぁ、綺麗な形……それじゃ一つ」
小さな星形のクッキーを一つ食べ、冷たいお茶を啜る。その瞬間から顔には笑みが零れ、頬に手を当てると幸せそうに呟いた。
「甘くてお茶ととてもマッチしてる。すごく美味しい……」
そんな表情を見てしまえば、システィアの口の中は涎でいっぱいだ。もしかしたら自分の分がなくなってしまうんじゃないか、と思った彼女は自然と言葉を紡ぐ。
「うぅ……私も! 私もシグレが作ってくれたクッキー食べたい! くーちゃん、あーん!」
「ふふ。はい、しーちゃん、あーん」
「もうしーちゃんったら、お行儀が悪いですよ? ふふふ」
パクっと食べたシスティアは、クレア同様幸せな顔を浮かべる。途端になぜかしら回復力が落ち始めていくことにジョシュアは気づいた。
「えへへ……じゃあ、行儀良くしないといけないからジョッシュお兄ちゃん、回復の続きは後でやるね!」
「おい! シグレはそういう意味で言ったんじゃないぞ! こら、システィア!」
そんなこと知らないと言わんばかりにシスティアは回復を打ち切ると、シグレとクレアの元へ駆け寄りお菓子とお茶を楽しんでいく。二人の妹は『美味しーい!』を顔に貼り付け、笑顔を咲かすばかり。
「システィア……むぅ……」
「あはは……ジョッシュ、災難だねぇ」
元はと言えば鍛錬でこうなってしまったのが原因だが、あっさりとこうも見捨てられれば寂しいのは否めない。そんな肩を落としているジョシュアを、アルフレドは笑いながらも励ましていた。
間食も終わり、傷の手当てをしてもらった後、体力の回復を待った兄らは妹たちの目が遠のいたのを確認する。そして性懲りもなく鍛錬を始めるのだ。
剣術の後は魔法。裏庭を駆け回り、火と水の魔法を放っては打ち消し合い、徐々に水蒸気が立ち込めていく。
たとえ鍛錬だといえども、勝負にヒートアップはつきもの。それに後押しされ続いたのは閃光と暗黒だった。
「光魔法―光子閃―!」
「闇魔法―闇の波動―!」
それぞれが脳内で魔法のイメージを固め、フレーズを魔法発動のキーとして唱えれば奇跡は具現する。
ジョシュアの左手から放たれるは破壊の極光、それを穿つのはアルフレドの闇、右手からは闇波が迸る。相容れない光と闇。魔力と魔力による鍔迫り合いは辺りに強烈な音と衝撃を生み、爆風を巻き起こした。
互いの腕にかかる重み、打ち合いは均衡を保っていたわけじゃない。闇がじりじりとジョシュアの方へ押し寄せてくる、明らかに光が押し負けていた。
「くっ! 流石だな、アル……! ここまで力をつけていたとは!」
「ふっ……! ジョッシュには負けてられない、からね! このまま行かせてもらうっ!」
アルフレドが更なる魔力を込めた瞬間――
「「ストーップ‼」」
「うわっ!」
「うおっ⁉」
またしても裏庭に響き渡った二人の少女の大きな声。撃ち合いで迫っていた闇の魔力をジョシュアは光の力で上へ滑らせると、魔力波は屋敷の屋根をぎりぎり掠めずに空へと消えていく。
「あ、危ないところだったな!」
「あ、ああ……。流石は、ジョッシュだったよ……!」
たははと青ざめながら笑い、妹たちの方に目を向けない兄ら。もちろんそんなのことで許されるはずもなく。
「こらぁぁぁああ! ジョッシュお兄ちゃん、こっち向けぇぇ!」
「アル兄さん、さっきも鍛錬で無茶したのに今度は……。目を合わせないのは悪いことをしてるって自覚があるってことよね」
「いや! そうじゃないぞ! これはちょっとした遊びというかだな、そうだろアル⁉」
「そ、そうそう! 鍛錬の延長線上にある、どこまでやれるかー的な!」
前に同じようなやりとりをした覚えがあるが、この際仕方ないと割り切る兄たち。当たり前だが、そんな下手な言い訳は妹たちを怒らせるだけだ。
「そんなに魔力を込めてなぁにが遊びよ! お父さんもお母さんもいないからって、屋敷に当たったらお母さんの防壁魔法に感知されて怒られちゃうんだよ⁉」
「そうよ! 何考えてるの、兄さんたち! その上で怪我しても回復なんかしてあげられないからね!」
確かに、思った以上にヒートアップしていたのは否めない。
気づかれなければやってないのも同じ。そう考え、最初はセーブした魔法の撃ち合いだったが、いつの間にやら爆音爆風が巻き起こる魔法へと変貌していた。仮に狙いがずれていたり、最後の撃ち合いの闇をジョシュアが空へと飛ばせなかったりしていたら、妹たちに怒られるだけではすまなかっただろう。
屋敷には強い防護魔法が張られ、多少のことでは損壊することはないが強力な魔法がぶつかればシスティアの言うように母親であるテレジアには感知されてしまう。
だが、それ以上に――
「ご、ごめんなさい……ジョシュア様、アルフレド様……。あまりに強い魔法の撃ち合いだったので」
ひょこと二人の妹の後ろから現れたシグレ。彼女は兄二人が傷つくのが嫌で、それを止めるべくシスティアたちに報告するしかなかったのだ。
「シグレはぜーんぜん、悪くないわ! こんなとんでもないことをするジョッシュお兄ちゃんたちが悪いんだもん!」
「うんうん。しーちゃんの言うとおり、シグレちゃんが報告してくれなかったら遅くなってたかも」
システィアとクレアはまるで姉妹のように腕を組み、うんうんと頷いている。
妹たちにはともかく、シグレにいらぬ心配をかけてしまったことを申し訳なく思い、ジョシュアたちは頭を下げた。
「シグレ、すまない……俺たちが悪かった。確かにやり過ぎだったな」
「ごめんね、シグレちゃん……」
シグレは全員に庇われるような感じとなり、慌てふためき、首と両手を横に振る。
「まぁ、ジョッシュがどうしても魔法の鍛錬をしたいーって言ってたから、本当は全部ジョッシュのせいだね」
「おい! 俺はそこまで言ってないぞ!」
「あれぇ? そうだったかな?」
両手を頭の後ろに回し、アルフレドは陽気に口笛を吹き始めた。が、次の瞬間、怒号という雷が二人の頭へと落ちることになる。
「そんなことはどーだっていいの! ジョッシュお兄ちゃんたちは私たちにも謝るべきでしょ!」
「シグレちゃんが大人しいからって言って、アル兄さんたちはそうやっていっつもシグレちゃんを使ってうやむやにしようとする……」
「うっ……い、いや……悪かったな、システィア、クレア……」
「ごめんごめん、今度からは気をつけるから……」
ずりずりと後ずさりを始める二人。妹二人に目を合わせず、示し合わせたかのように逃げる準備を始めていた。だが、それにいち早く気づいたシスティアは行き先を封じるかのように後ろへと回り込む。
「今日という今日は逃がさないもん! くーちゃん、前はお願いね!」
「任せて! 兄さんたち……覚悟はいい?」
「お、おい! アルそっちだ!」
「よし!」
「あっ! 待てーっ!」
「くっ……すばしっこい兄さんたち!」
たとえ前後を取られようと、左右は開いている! 妹たちの一瞬の隙をつき、屋敷へと駆け出たそのときだった。
「うおあっ⁉」
「ぐあっ! こら、アル! 急に止まる――む?」
地面へと転んだ二人。顔を上げるとジョシュアの目には、屋敷前でせわしなく八の字を描くようにシグレが走り回っている姿が映った。
アルフレドがどうして急に立ち止まったのか理由は分かったが、なぜシグレがこんな行動を起こしているのか理解ができずにいた。
未だバタバタと走り回っているシグレは、兄二人に強烈なインパクトを与え続ける。
「ま、まさかシグレちゃんも、僕たちを逃がさないように……?」
「はぁはぁ……はいっ! わたしにぶつからないように絶対アルフレド様たちは止まるからと、しーちゃんが言ってたので!」
シグレは程なくして立ち止まると、走り疲れたようで息を上げていた。その瞬間、ジョシュアとアルフレドの背中に抱きつかれたような強い衝撃が走る。
「つーかまえた! えっへへ、大人しいシグレが走り回ってたらびっくりするでしょ? もう逃げられないからねー!」
「ふふふ、シグレちゃんが協力してくれて、面白いように兄さんたちは引っかかってくれた!」
だから、あれほど簡単に左右から抜けられたのか。納得がいったように、ジョシュアとアルフレドは苦笑した。
「シグレの行動に見入ってしまった俺たちの負けだな。とうとうシグレも妹たちに買収されてしまったか……」
「あはは、僕たちの勝てない相手はこの三人の妹だねぇ」
それからジョシュアたちは彼女らによって屋敷へと連行され、こっぴどく叱られるのであった。
§
「に、兄様っ! 昔話とは聞いていたけど、本当に例のことと関係ない昔話じゃない! た、確かにそんなこともあったけど、あぁぁぁ……恥ずかしい……」
「か、顔から火が出るとはまさにこのことですね……」
立ち上がったシスティアは壁の方を向くと、真っ赤にした顔を両手で押さえている。シグレも恥ずかしい過去を掘り起こされ、わずかでも風を得ようと手で赤い顔を扇ぐばかり。
そんな二人を追撃するように、トキヤとミリアは微笑みを作った。
「システィってしーちゃんって呼ばれてたんだな、シグレにも。なんか意外だ」
「シグレお姉ちゃん……可愛いです……」
「と、トキヤ君! しーちゃんって言うのはなしだからねっ! システィでいいから!」
「うぅ……ミリアに恥ずかしいことを知られてしまってるような気がします……」
「フッ――トキヤとミリアはお前たちのことをあまり知らないんだ、言っておいても損はないだろう?」
システィアは落ち着きを取り戻したのか、振り返ると「まぁ……」とだけ発言し、またソファへと座った。同じくシグレもミリアと顔を合わせられずにはいたが、少しだけ頷く。
「あれ? 兄様って、五年前にはまだ光魔法を使えていたのよね?」
「……ああ。システィアたちには炎を蒼炎へと昇華させたときに、使えなくなったと話していたな」
システィアの疑問に、目を閉じ答える。
光だけにかかわらず、今のジョシュアにはその他の属性魔法が使えない。そもそも蒼炎自体が通常の魔法から逸脱した異質のものであり、このナインズティアでは血縁を含め、ジョシュア以外にその使い手はいなかった。
幼いシスティアたちには誤魔化すことができたが、今となっては知るべき事柄の一つ。
「それについても話そう。そして、ここからは楽しい話というわけにもいかなくなる。特にシスティアは気を強く持ち、シグレも心して聞いてくれ」
「う、うん。分かった」
「は、はい……」
「もう思い出話はいいな。これから話すのは黒の姫君と、それに繋がるある事件のことだ。お前たち二人がよく知っていて、知らない事件。そして私の……いや、俺の過去を。包み隠してきたすべてを話すことになる」
それはトキヤ、ミリアも聞くべきことだ。そうジョシュアは続けると、低い声で絞り出すように紡ぐ。
ピリピリと張り詰める空気、一人と四人の間に緊張が走った。
「……五年前、この町で起きたラーヴェ家失踪事件。その真相を話そう」
数ある作品の中から、この物語を読んでいただきありがとうございます。
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