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 講話「悪魔の名前を知ってるかい」

 第八話の展開に迷いまくったので、本当にマジで関係のない話を挿入して、気を紛らわせることとします。

 サーセン。


 君の目の前……もしくは足元……

 いや、もう場所はどうでもいい。

 突然……または漸次的にかも知れない。

 ともかく、状況はなんでもいい。

 あぁ、わかった。

 気をつけるって……

 それで……それでだ。

 

 悪魔と遭遇する。



 ◇ ◇ ◇



 悪魔って言っても……

 目に見える様な邪悪!

 絵画に描かれた畏怖の象徴!

 とも言い切れない。

 大部分は我々とは変わらない。

 ヒトだ。


 でも、話しかけたり、飯を食べさせたり、起こしたり、近づいたりしたら、

 一気に悪魔の形相になって、羽が背中を突き破り、頭蓋は見るうちに変形していき、二つのコブができるかも知れない。


 そんな、未知の悪魔だ。



 ◇ ◇ ◇



 歴史上に、未知と云われ、排斥され、絶滅に至った種などいくらでも存在しうる。

 彼らは、悪魔だと蔑まれ、やがて魔族と呼ばれた。


 巫山戯た話だ。

 人間が絶滅させた種を魔族と呼ぶなんて……

 ハハハ……。



 魔族は、数えられないほど存在する。

 姿形は様々だ。


 血を吸ったり、バーサーカーだったり、

 クレイジーだったり、時には夢に住んだり、

 性的な……

 まぁ、いい。


 とにかく様々だった。

 何も、さっきの話から離れた話じゃない。

 彼らは、いずれも人間に絶滅させられた。



 知ってるだろうが……

 魔術っていう概念は、そういう種族的な対立で発展した。

 戦争はいい事だらけだな。

 ハハハ。


 クソが。



 でもやっぱり、おかしな話だ。

 悪魔は大抵、人間には太刀打ちできない強さを持ってるんだ。

 何もね。


 例えば、吸血鬼だったら……

 歯と、羽があった。

 彼らは人間とか……動物の血を少しでも吸うだけで三日活動できたらしい。

 それと、異常な程の繁殖力。

 彼らはうじゃうじゃ蔓延した。


 ヒトの癖に、ヒトじゃなかった。

 紛れもなく悪魔だった。


 家畜を吸い殺して、人間を家畜とした。

 あいつらにとって、魔術に長けた人間の血は美味しく感じられたらしい。

 それに、吸うに足らないほどの人間が、あたりにはいた。

 何もせずに餌がやってくる。


 彼らは自慢のマンパワーであたりに城を建てたり、階級社会を形成した。

 やっぱり、ヒトだったらしい。


 やがて、吸血鬼の弱点が発覚した。


 ……太陽……? は?

 何言ってるんだ。

 そんなもので、殺せたら約30年も苦労しなかっただろうさ。

 欲求だよ。

 彼らを苦しめたのは。



 当たり前だが、人間が減れば、吸血鬼も減る。

 植物が絶滅したら、動物が全滅するのと同じでね。


 それを彼らも分かっていた。

 脳みそは人間と変わらなかった。


 が、血を吸いたい欲求というのが一向に減る事はなかった。

 だから彼らは人間を吸い、殺して天日干しし続けた。


 人間は家畜にならなかったし、吸血鬼にとってもする事はできなかった。


 やがて人間は身を隠した。

 そして同数になった。


 人間が運良く勝った。

 それだけだ。



 人間が、吸血鬼の数を上回ったあたり。

 差別と、排斥が始まった。

 やり方は様々だったらしい。

 石を投げたり、檻に閉じ込めたり……

 奴隷虫が生まれたのもその辺りだった……とも。


 だが、その標的は吸血鬼そのものじゃなかった。

 コウモリの亜人だった。



 ◇ ◇ ◇



 これは、有名な文献における話だが、

 コウモリの亜人の一部は吸血鬼に協力して、なんなら子供も作っていたらしい。


 もともと、コウモリの亜人に吸歯などは無い。

 だが、その奇跡的な相性の結果、交配が見事に成功した。

 そうして、吸血を必要とし、それに特化するコウモリの亜人が生まれた。

 ……いや、コウモリの亜人っぽい吸血鬼とでも言おうか。

 冗談だって。

 流石に不謹慎だった……?


 ま、その吸歯というのはだいぶ特殊な組織で、標本が王都にも保管されてる。

 それを参考に「注射器」が作られたという話も有名だ。


 彼らには生まれた時から歯が生えていた。

 まぁ、肉といえる組織に歯茎を押し当てた時にだけ出てくる柔らかくもなるし、硬くもなるような……

 細いチューブみたいなものだ。

 歯とも言えないし、他の組織とも言い難い。

 まぁ、自分で自由に動かせないから「骨」……

 やっぱり「歯」とされた。


 吸血鬼の長期間の活動も、魔力を直接吸うからだと説明される。

 吸歯が彼らの証とも言える。



 で、コウモリの亜人に深く刻み込まれた。


 やがて、吸血鬼の恐怖を覚えた人間、その他人類は吸血鬼とコウモリの亜人を排斥するようになる。

 主に、コウモリの亜人を追い出したのは、亜人だが……

 それでも亜人はヒトだ。


 正真正銘の人間が、彼らを追い出し、絶滅に追いやった。

 まだ、残っているという説もあるが、そんなこと関係なく、彼らは魔族と呼ばれた。



 まぁ、それも吸血コウモリの亜人(と共存していた部族)に限った話である。


 純粋なコウモリの亜人。

 そう、吸血鬼と交わることのなかったコウモリのことだ。

 まぁ彼らも、もちらん排斥された。

 やっぱり姿を消した。


 そして、その約200年後に再び姿を現した。

 その頃には吸血鬼の恐怖は消え去っていた。



 彼らは再び、人類の歴史に戻る。


 が、吸血コウモリは未だに魔族。

 すなわち悪魔とされている。



 ◇ ◇ ◇



 話が、随分と逸れた……

 今なんの話してるっけ……?



 あぁ、そうだ。

 君の目の前には悪魔が転がっている。


 形態はなんでもいい……

 まぁ、せっかくだからさっき話していた「悪魔」であるとしてみよう。

 目の前には一人の悪魔が居る。



 どうする?



 目の前で地に伏せて、気を失っているのだとしても、

 歴史的には大きな価値があるだろう。


 身を枯らすような飢餓が、彼彼女の中に満ちているかも知れない。

 餌を与えるのか、与えず見殺しにするのか。

 さんざ利用するのか、滑稽無能な心身を掲げて保護するのか。


 まぁ、どうでもいい。

 あくまで架空の話だ。


 未知であるとしておこう。

 余白は、君が埋めてくれるだろうし。




 悪魔の話はこれくらいにしておこう……

 日も暮れてきた。


 君が悪魔に怯えて、家に帰れなくなる前に、話を切り上げておかなくては……


 では、今日の授業はこれで終わりだ。



 ……。


 ……はぁ。

 まだそんなことを言うのか?


 魔術を学ぶってのは、哲学や心身を学ぶと言う話だ。

 君の意見は認める、が。

 私から学ぶ以上、君には魔術がなんたるかを知ってもらわなければならない。


 あぁ、そうだ。


 だから考えろ。

 そして早く帰って、飯食って寝る。

 授業はその後だ。



 私は、都合の良い無知に耽る奴に、魔術を教えたくは無い。


 ……そんな顔するなよ。

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