宴の開演
私は合戸紗良!ピチピチの中学二年生☆
昼は学校に通っている一般人......しかしそれは仮初の姿......夜には家を抜け出し悪しき魔物を狩る正義の魔法少女!
......はい、先日年下に助けられた挙句説教された世界一惨めな魔法少女は私です。
しっかぁぁし! ここは年上として大人の対応を示さねばならないッ!
と、言うわけで学校から帰宅後、菓子折りを持参し例の女の子の家に向かっている次第です。
──なんか自分で言ってたら悲しくなってきた。......あっ見えてきた、確かあの家だったはず。
見えてきたのは結構大きな一軒家、多分建てられて数年しか経ってないんだろうな〜私の家ボロいからいいな......両親には悪いけど.....っと本来の目的を忘れちゃいけない。
インターホンに緊張で汗ばんだ手を伸ばし押す。
人の家のインターホン押すのってなんか緊張しない?
ピンポーン
どこの家庭でもお馴染みであろう音が聞こえ扉の向こうからドタドタと向かってくる音が聞こえる。
「は〜い、あの......どなた様でしょうか......?」
慌てて出てきたのは見覚えのないドえらく美人なお姉さんだった。
あれ? あの子お姉さんいるって言ってたっけ?
私はふと前回家に行ったときのあの少女の世間話を薄らと思い出していた......多分ほわほわほわ〜んって擬音が鳴ってたと思う。
「......ん?俺が1人この家で住んでるのかだって? んなわけねぇだろ。お前もしかして本当に馬鹿だったのか? 俺はちゃんとお袋と親父と三人で暮らしてんだよ。あ、近くに爺さんの家はあったか......? 」
......この会話の中で出てきた女性はあの子自身を含め二人。
おい、嘘だろ......確か話ではあの子は小学六年生......つまりこの人は最低でも...32歳!?
全然二十代前半に見えるんだが......?
「あ、あのもしかして......えーっと名前なんだっけ((ボソッ......あぁそうだ! 夜宵ちゃん! 夜宵ちゃん! のお母さんですかね......? 」
そういうと夜宵ママ(仮称)は目を見開き大袈裟に慌てふためきながら玄関の奥へと足早に走っていった。
「あ、あなたッ! 夜宵の......夜宵のお友達が家に遊びに来てくれたわよッ!」
玄関にいても耳がキンキンする程の大声量だった。
あ、奥の方から若干小さいが「な、なんだと.....」という渋い男性の声(多分夜宵パパ(仮称)かな?)とガラスの砕ける音が聞こえてきた。
なんか大騒ぎだな〜と他人事にしていると二階の方からこれまたドタドタと降りてくる音が聞こえてきた。
「俺の友達? .....テメェクソガキィ遂に家にまで突撃してくるようになったのかァ? 」
「いえ、あの私です。先日助けていただいた......」
「あぁなんだお前さんか、済まねぇクソガキ違いだ」
解せぬ......なんか怒ってたから取り敢えず謝ったのに......
あれ? なんだろう。この子こんなに重かったっけ?
言葉で表しづらいんだけどこう、雰囲気が重いというか、存在感が凄くなっているというか......ま、気の所為だろうけど......
「そうだ上がっていって! えっと......何ちゃんかしら......? 」
「あ、はい合戸紗良です」
「紗良ちゃんね。じゃあ夜宵ちゃんとどうやって仲良くなったの〜? 」
「えっと......それはですねぇ......」
後ろから殺気が突き刺さる。
「余計なこと言ったら殺すぞ」という確固たる意志を感じる。
前回のテンションなら別に良かっただろうがどうにもあの子の機嫌は今日は悪いらしい。
「......私が道に迷ってたところを助けてくれたんだよねー? 夜宵ちゃん? 」
夜宵ちゃんと呼ばれることに嫌悪感を感じたのかあの子はぶるっと身震いすると「ま、まぁ......そうだな」とぎこちないながらも答える。
そこからは地獄だった。
夜宵ママからの質問の嵐......ありもしないでっち上げの話を作り上げるのは物凄く疲れた。
「じゃあ私はここら辺で帰りますね」
「あら、確かにもうこんな時間! 引き止めちゃってごめんなさいね。あ、これさっきのお菓子のお礼、どうぞ♡」
「......」
何処からどう見ても私があげたものより高価なやつだった。
が、しかし他人の善意を無下にするのは私良くないと思います!
なのでここはありがたく頂くということで......あ、別に私が欲しかったとかじゃないからね?本当にそういう訳じゃないからね?
「ほら、夜宵ちゃんもさようならしなさい」
「じゃあまたな」
「......うん、またね! 」
〜〜〜
うむ、これは大変な物を貰ってしまった。
なんと私のあげた菓子折りのなんと3倍近く値の張るやつだった。美味しく頂きますっ......
「あれぇ? 人間? 人間だよなぁ? しかも魔法少女ぉ? これは大きな収穫だねぇ? 」
「え? 」
酷く怖気の走る気味の悪い声がした私の『真後ろ』で......
「今日は宴だねぇ? 」




