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母子ともに侯爵様に溺愛されてます!  作者: 海野豹香


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【番外編】エドワードのお母さん

読んでくださりありがとうございます!

本編では登場できなかったエドワードのお母さんのお話です。相変わらずイチャイチャしてるエドワードとソフィーをよろしくお願いします!


リブリア貴族学院を卒業してから一年が経った。

私はウェールズ伯領に戻り、植生学者として薬草の研究をしている。


学院で出会ったエドワードと婚約し、本来ならば卒業後にすぐ結婚するはずだった。しかし、彼が私のやりたいことを応援すると言ってくれて、こうしてウェールズ伯領で魔法を使って薬草を育てている。長年の夢を叶えられて、毎日がとても充実している。


家督を継いだフィリップ兄様が、私の力を存分に発揮できるようにと薬草研究所を創設したのだ。今では研究メンバーも増えて、領民の病気を治すため、豊かな自然を保護するために日々奮闘している。



「ソフィーさん、またまた婚約者様がいらしてますよ」


同僚の一人がウキウキで私に声をかけた。急いで研究室を出ると、そこにはエドワードが立っていた。


「ソフィー、会いたかった...」


そう言って彼は私を抱きしめる。大きな身体にすっぽりと埋まって身動きがとれず、少し苦しいほどだった。


「...っすまない」


エドワードが私の顔を見て腕の力を緩めるが、離してはくれなかった。


「エドワード...お仕事お疲れさま。無事でよかったわ...」


エドワードはリブリア貴族学院を卒業後、お父様の死を世間に公表してグレンブルク侯爵家の当主となった。忙しい仕事の合間に毎週のようにウェールズにいる私に会いに来てくれていたのだが、ここ一か月の間はグレイシア帝国軍とともに魔物の討伐に出ていたので会えずにいた。


エドワードが私に顔を近づける。これは...キスされる。私が目を瞑ると、エドワードが動きを止めた。薄目を開けると、周りには私たちに熱い視線を向ける研究所のみんながいた。


「きゃーー!相変わらずラブラブね」


みんなの視線に耐えきれなくなり、私はエドワードの手を引いて誰もいない別室へ彼を連れ込んだ。


「...キス、していいか」


エドワードが静かに言うので、私は頷いた。彼の唇がそっと触れた。


彼は私を抱きしめ、「はやく結婚したい...」とつぶやく。私も会えない間に考えていた。ずっと彼のそばにいたい。侯爵家を継いで忙しくなった彼を隣で支えるのは自分でありたい。待たせてしまっているのを申し訳なく感じつつも、彼が私の夢を応援してくれているのがうれしくて甘えてしまっていた。


「そういえば、ソフィーに手紙を預かっている」


エドワードが一通の封筒を懐から出した。


「お義母様から...!」


実は先日、エドワードのお義母様にご挨拶の手紙を書いたのだ。先代のグレンブルク侯爵、つまりエドワードのお義父様が亡くなってから、お義母様は心身の調子を崩して療養されている。グレンブルク家が所有する郊外の別荘で暮らしているのだ。


私は手紙を開けると、美しい文字で文が綴られていた。


「...エドワード、お義母様が『よかったら二人で会いに来て』って」


私が顔を綻ばせると、彼もそんな私を見て優しく微笑んだ。



----------



待ちに待った日がやってきた。

私はエドワードとグレンブルクの別邸を訪れた。こじんまりした別邸は、郊外の静かな街並みにひっそりと佇んでいる。


使用人に案内され部屋に通されると、一人の貴婦人がベッドの上で横たわっていた。


「...まあ、あなたがソフィーさんね」


笑った顔の目元が彼によく似ている。この方がーー、エドワードのお母さん。


「母さん、久しぶり。...彼女が婚約者のソフィーだ」


エドワードが私の肩を抱き寄せて言った。


「はじめまして、ソフィーと申します」


「はじめまして。ずっと会いたかったわ。...エドワードは久しぶりね。さあ、二人ともこちらへ。見苦しい姿でごめんなさいね」


二人でベッドの脇にある椅子へ座る。お義母様はカーディガンを肩にかけて上体を起こす。


「大丈夫ですか?」


私が身体を支えると、お義母様は優しく笑った。


「ありがとう。まだ体調に波があって寝てばかりなのだけど...今日は二人が遊びにきてくれてとても嬉しいわ。エドワードから聞いていた通り、素敵なお嬢さんね」


それからお義母様はエドワードの幼い頃の話や、亡くなったお義父様の話を聞かせてくれた。初めてお会いしたと思えないほど話が弾んだ。


「そういえば、先代が残した領地の契約書がこの前見つかって...エドワード、必要になるかもしれないから確認してきてちょうだい。侍女が案内するわ」


お義母様からそう言われたエドワードは「ソフィーに変なことを話すなよ」と気恥ずかしそうに言って席を外した。


彼がいなくなって二人きりになると、お義母様がベッドの横にある戸棚から古い木箱を取り出した。


「...これをソフィーさんに。グレンブルク家の当主夫人に代々伝わるものよ」


箱を開けると、ルビーが真紅に輝く壮麗なネックレスが入っていた。


「これ......」


私はその美しさに息を呑んでお義母様の顔を見た。


「...あなたに託すわ。...夫が亡くなってから、あの子にはつらい思いを沢山させてしまったわ。でも、あなたのおかげであんなに幸せそうな息子を見ることができた。どうか、エドワードのことをよろしくお願いします」


彼女はそう言って頭を下げる。


思わず涙が出た。「...はい」と私が返事をすると、お義母様は彼と同じ優しい笑顔で私を抱きしめた。



----------



別邸からの帰り道の馬車の中で、私はお義母様にもらった木箱を大事に抱えていた。


「エドワードはお義母様によく似ているわね」


「そうか?この銀髪は父譲りだからな...あまり母に似ていると言われたことはないが」


「そっくりよ。笑ったときのお顔が...」


私はお義母様の笑った顔を思い出した。


「...エドワード、ウェールズで薬草の研究をするという私の夢を応援してくれてありがとう。散々待たせてしまったけど、私、次の夢を叶えたい。あなたの側で、あなたを一番幸せにするのは私でありたい、ずっとそう思ってる」


「ソフィー、それって...」


「私と結婚してください」


私がそう言うと、エドワードは私のことを抱きしめた。


「ああ、絶対に幸せにする」


優しいエドワードの手が私の頬を撫で、将来を誓い合う口付けをした。






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