31、スレンダーマン
目の前から、歩道を歩く小学生が近づいてくる。
いかにも、明朗快活を描いたような、2人の男の子だ。
ランドセルを背負った、通学途中の男の子達の会話は、いかにも未来っ子らしい内容だった。
「昨日、ネコネコ動画で怖いやつ見つけてさ」
「あ、俺も見た! スレンダーマンでしょ? アメリカのボインとフルチンを壊したやつ!」
破壊された町、ポイントブレザントのことを言っているのだろう。
「そうそう! 手足がゴムみたいに伸びてて、大きさが3メートルか5メートルくらいあるんだって」
「見た人は呪い殺されるんでしょ? こえぇ〜」
楽しく会話する、小学生達に水を刺したのは、他でもないクロト。
クロトは大の字になり、小学生達の通学路に立ちふさがった。
目の前に立ちはだかる、怪しい人物を目の前にして、2人の男の子は訝しげに見る。
そんな、変出者を見るような目を向けるなよ。
こっちだって、好きでこんな格好してるんじゃない。
動きたくても動けないんだよ!
さながら、金縛りか、弁慶の立ち往生。
クロトは言い訳しようにも、口が強張り言葉が発せない。
が、奇異な目を向ける小学生達は、言葉聞かずとも、クロトの身に起きたことを目の当たりにする。
彼の手足はゆっくりと、ゴムのように細く伸びて行き、腕はきし麺のように、股下は橋のアーチのように広がる。
身長が3メートル程に達すると、小学生の顔は恐青ざめ、パニックを起こして叫ぶ。
「「スレンダーマンだあああぁぁぁ!?」」
小学生は背を向けて、駆け足で逃げていった。
クロトを両端から引っ張るパース線は、激しく震えながら千切れると、クロトはゴムが縮むように収縮し、その勢いで身体が弾かれ彼方へと飛んで行った。




