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勇者獲ったどー!

 さて、と。

 勇者御一行が静かになってから4,5分経ったか。

 ひとまずは目前の危機が過ぎ去りほっと息を吐く。

 全く、魔王になって右も左も分からないうちに勇者の襲撃とか、ほんと鬼畜すぎる。

 だが先程確認した限りでは現在魔王城にいる敵対勢力はこの御一行だけだったはず。

 おそらくこれで乗り切ったはず…なんだけど。 


「…これ死亡確認すんのやだなぁ」


 たぶん時間的にそろそろいい頃合いだとは思う。

 スライムの溢れる穴を覗き込むが、当然中の見通しは悪く、そもそも勇者御一行が中にいることさえ視認できない。

 でもこれで確認のために穴広げたら実は生きてました、殺されちゃいました、じゃ笑えないからな。

 不思議と殺人による良心の呵責はない。

 神様がそうしてくれたんだろうか。

 それとも種族の変化的なアレだろうか。

 種族どうなってんのかちょっとわかんないけど。

 まあなんにせよ生き残る上で心を傷めなくて済むのは非常に助かる。


 しかし確認方法に迷う。

 まさか自分が中に入るわけにはいかないし、かといってスライムを抜くのも怖い。

 万全を期してあと1時間くらい放置しとくか?


『勇者パーティー5名のうち、3名の死亡を確認致しました』


 そんな事を考えているとき、頭の中にイリアの声が響いた。

 突然のことに戸惑いあたりを見回すがイリアの姿はない。

 スピーカーがあるわけでもないし、姿も見えない。

 頭の中に直接声が響くという未知の感覚に寒気を覚える。


『現在ダンジョン管理機能を利用し声を届けております。申し訳ございませんがマスターの声はこちらへは届かないことご承知ください』


 なるほど、そうか。

 ダンジョンの管理機能。

 リッチーに遠隔で指示を出せたように、ダンジョンコアの機能を利用すれば一方的ではあるものの声を届けることができるのか。

 これは思っていたよりずっと便利な機能かもしれない。

 まあ、一方的というのが少々不便ではあるが…犬とハサミは使いようというしな。


「3名の死亡を確認…あと2人か」


 誰が生き残ったかはわからない。

 だが無呼吸状態で5分も生き永らえるのは少し驚いた。

 転生前の世界では24分ほど息を止めることができた人間がいるらしいが、しかしそれは特殊な訓練を積んだ上での話。

 もしかしてこの世界では人間の基礎能力も俺の知る常識と大きく乖離しているのかもしれない。


 早急に確認する必要がある。

 これは足元をすくわれる要因足り得る。

 敵を知り己を知れば、という言葉があるように情報の確度というのが生死を分けることになるのは間違いのない事実だ。

 しかしどうやって情報を得る?

 パッと思いつくのは拷問だが…そんなスキルは俺にはない。

 それに、どうやって生き残りを拘束するかも問題だ。


 先程奴らは魔法を使っていた。

 魔法。

 未知の原理。

 おそらく手錠をかけるだけでは足りないだろう。

 

「ふむ…」


 現状取れる選択肢はこれしかない、か。

 相応にリスクもあるため気は進まないが、情報と天秤にかけるとやらざるを得ない。

 いつ残りが死ぬともわからないため急ぎ手を打つ必要があるだろう。


 穴を覗き込むと中の大量のスライムに指示を出し、天井付近に空間ができるよう多少のスライムを抜く。

 空間ができたことで空気が確保できたのか、穴の中から荒い息遣いが聞こえた。

 この様子ならもう少しもつだろうか。

 とりあえず意識はあるようだ。

 よかった。

 魔法を使われるのが怖いが、しかし他にどうしようもない。

 先程の炎を出す魔法がトラウマになっていることを願うばかりだ。


「もし奴らが脱出するようなら即座に殺せ」


 傍らに控えていたリッチーに指示を出すと急ぎダンジョンコアルームへと向かう。

 ダンジョン管理コンソールを開くと勇者たちがいる部屋を選択。

 先程スライム出入り兼空気穴で開けた穴を少し拡張、ギリギリ頭が通らないようなサイズにし、同じサイズの穴をもう一つ開ける。


「マスター、これは…」

「情報を抜き出す」

「ですが、これでは御身に危険が」

「背に腹は代えられんよ」


 いや待て。

 そういえば5人中3人が死亡しているんだった。

 ということはきっとDPが補充されている!


 鼻息も荒く確認してみれば予想通りDPが増えていた。


――――

DP獲得量一覧


スライムx42 21DP

人間 2,800DP

人間 2,400DP

人間 1,900DP


総合DP量 

7,134DP

――――


「おぉ…!」


 達成感に思わず声が漏れる。

 が、まだ喜ぶのは早い。

 残り2人をなんとかしてからだ。


 今欲しいのはイリアと遠隔で連絡ができるツール。

 思い当たるものはないかイリアに聞いてみる。

 が、めぼしいものはなさそうだ。

 念話のスクロールという、一回使い切りのアイテムもあるようだがその価格は2,000DPと使い捨てにするには惜しい。

 そういえばトランシーバーなんてどうだろうか。


――――

トランシーバーx2 3,000DP

――――


 思ったよりもお手頃――なのか?

 ちょっと判断に迷う価格。

 しかし、念話のスクロールと違い使い捨てではない。

 そういう意味ではアリだろう。

 

 迷わずトランシーバーを2つ購入し、ついでに単3電池も6本購入する。


――――

トランシーバーx2 3,000DP

単3電池x6 2,400DP


残りDP 

1,734DP

――――


 早速電池をセットし、細かい使い方をイリアに教える。

 先程の部屋を確認するとまだリッチーが生存していた。

 部屋を空けている間なにか起こらないかと不安だったが問題なかったようだ。

 

 これで遠隔でもイリアと連絡できる手段は確保した。

 DPも勇者戦前と比べればだいぶ増えた。

 しかし気は抜かない。

 イリアに保険の意味でひとつ指示を出しておく。

 そして、思わず小さく笑みを浮かべながら生き残りが待つ部屋へと戻るのだった。

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