入学までとは4
突然浮いた体は何故か腹部に圧迫感があった。
何事かと、辺りを見回そうとしたのに腹部だけではなく胴体が全体的に掴まれているようで、思うように辺りを見回すことが出来ない。
え、何!?
なんなの!?
軽くパニック状態になりながらも、必死に動き回るとこの圧迫感の正体が、誰かの腕が絡んでいることでなっているのが分かった。
後ろから掴まれているのか腕の持ち主の顔は見られなかったが、鼻に掠めた爽やかな香りはどこかで嗅いだ事のある香りだった。
「…えーと。」
困惑した様なエドモンド殿下とレイモンド殿下の重なった声が聞こえ、さすが双子だなぁとかそんな呑気なことを思っていたら、体ががくんと沈み視線が急に低くなった。
その為視界の端に見えた椅子。
どうやら、腕の主は椅子から降りた様で。
ん??椅子????
「ひゃっ!?」
びっくりして変な声が出たが、私はこの急な沈みのせいだともう開き直ることに決めた。
「ふふ、可愛い声だね。」
背筋に痺れが走る様な声が耳元に響いたが、私はその声を聞いて当たって欲しくないこの腕の持ち主の正体が分かってしまった様な気がする。
あばばばばばばば……………
気のせいであって欲しかったよおおお!
腕の主は私に地面に下ろしてくれた。
やっと足が地面についた事でほっとしていると、横から手を繋がれた。
私は驚きで肩を軽く跳ねさせたが、それよりも手を繋いできた張本人の方が気になってしまい、その人の顔を見る為に見上げた。
そこには優しい微笑みをしているけど、なぜか底知れない何かを瞳に宿すその方がいた。
まるで兄がほんとに怒って説教する時のあの顔に似ている。
え、なに????
「………ゆ、ユリウス殿下……?」
「ん?なんだい?」
思い切ってどうしたのと聞いてみると、なんでもない様な声で言うのだから私は自分の心の中にある恐怖ゲージがぐんと上がった様な気がした。
こっっわ!!!!!!
え、私何かした???
頭の上で?を乱舞させてしまうが、許して欲しい。
そんな私を無視し殿下は「目的の図書館に行こうか」と弟殿下達2人と共に私もずるずると引き摺られていった。
その間も手は繋がれたままで、私は一心に思った。
手を解いてくれえええええ!!!……と。




