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兄弟とは 6



私が頭を抱えている中、姉はまたクスクスと笑い兄へと1歩近づいた。


その表情も先程とは違い優しい笑みではなく、完全に目が据わった状態で口元が上がっている。



「迷惑なんてかけてないわ。寧ろまだ話し足りないぐらいだもの。」



うん…話した内容昨日の事だったんですけどね。



姉とは初対面であり、名前も私が一方的に知らなかった。

姉は従者か義母に教えて貰っていたのだろうか、名前は昨日の時点ではしっかり言っていたので合っていると思いたい。


最早兄と姉の間で何があったのかなど、今思考回路をフル稼働させても情報が足りないのでとりあえず考えることを放棄した。



「そうですか。ですがファナメリアは治療を受けてからまだ体調が万全ではないので今日はもう帰らせます。」



「あら、そうなの?ファナメリア?」



まじか、まぁ確かに私に振るよな。うん。



これ以上兄を困らせてもいけないだろうと、私は首を縦に振りソファから降り、姉の座っているソファの横へと移動した。

姉は座らなかった私を見て目を見開き首をこてんと傾げていた。



「ごめんなさい…。」



これ以上この部屋にいたら、一食触発状態になって従者が困ると思い頭を下げた。



「ファナメリア…。」



私が顔を上げて姉を見た時、眉を下げた姉が首を横に振り、大丈夫よと呟いたがその顔はどう見ても悲しそうで、私はそれ以上何も言えなかった。






兄に手を引かれ部屋へと戻り、まず涙で顔をぐしゃぐしゃにしたリリィからの熱すぎる抱擁を受けながら死にそうになり、その後泣きながら1時間近くに渡る説教を受けた。


その間兄とルディは、目の前でお茶を優雅に飲みながらリリィの説教に何度も頷いていた。




もうこれは自業自得だと納得するが………っ!


た、助けてくれたって……っ!!いいんじゃないですかねええええ!!!???




リリィは満足したのか、怒りを静めると顔を洗ってくると涙で赤く腫れた目をルディから貰ったハンカチで抑えながら、部屋を後にして一旦嵐は過ぎ去った。



「…お嬢様、次からどこかへ行く時は必ずリリィ姉さんだけでも連れていってください。…じゃないと俺が死ぬ…」



兄へお茶を注いでいたルディが、そう私を諌めたが最後は声が小さすぎて何を言っているのか分からなかった。


確かに今回は軽率だったかもしれない、いや、軽率だった。


母同士が敵対している中、どうして子ども同士が敵対してないと言いきれるだろうか。

ただ、いくつか気になった事がある。まず1つ目は挨拶した時の姉のあの反応である。



『そうよね、初めましてよね』



私は昨日会っているが名前を教えあったのは初めてで、あの時初めましてではなく改ましてと言った方が良かったのかもしれない。



いっけなーい!間違えちゃったってへぺろ!




…………やめよう。哀しくなってきた。




でもあの場で笑い飛ばせたらどんなに良かっただろう。


今後悔しても無駄だが、所詮4歳の子どもがうっかりした発言をしたって事で事を収めてほしい…。切実に。

小説情報の使い方やっと分かりました…

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