おバカな2人
「私達は、全員この世に未練を残しているんよ。」
わらび餅のカスが残った2枚の皿に目を移した。まともに女と喋ったことがないからだ。
「だから成仏できない...と?」
「まあそんなとこ。」
久美子さんの隣から声がした。澪奈だ。
「未練って2人の場合はなんなんですか。」
「それが分かってたら、とっくに成仏してるわよ。死因すら忘れたし」
2人とも聞こえるため息をついた。
「分からないんですか?」
なんか煽ってるみたいで嫌だな。
「なんでも、閻魔様が早く死んだ罰に、何が未練だったかを忘れさせて、思い出して解決しないとあの世に行けないんよ。なんで変なことするかって話よね。」
澪奈が久美子さんの膝に倒れた。
「ほんとほんと、記憶消されたら無理に決まってんじゃんね、久美子。」
「馴れ馴れしいわよ。澪奈。」
少し低いトーンで言った。
「えー久美子大好きだもんしょうがないじゃーん!」
「なっ...!?」
また同じように顔が火照っていた。意外とちょろいのか。
「ゴホン!」
わざとらしい咳払いで気を紛らわせたな。
「だから私達は人間が未練だって思って、殺したり、ビビらせたりしてんの。」
「あー澪奈さんのですか?全く怖くなかったっすよ?」
と言うと、澪奈はすぐに反応した。
「私だって頑張ったんだぞ馬鹿にするなー!!」
綺麗な頬を膨らませて、俺の鼻近くまで近づいて来た。頬をふくらませたところも可愛かった。でも、、、近い、、、、なんかいい匂いするし、、、俺こんな女に弱いんだ。
「へへっ!驚いたでしょ〜。可愛いね!君!!」
「へ......!???」
初めて言われて、どんな顔すれば。自分のキモイ顔が浮かんで、今変な顔してないか心配になった。もう澪奈は離れたのに、視界が澪奈で埋まったまま。
追い打ちをかけるように右耳真近に声がした。
「君意外と可愛い顔してるわよ。」
「うg...!???????」
耳の奥の全てをほじくられる感じだ。生暖かい息が奥まで届く。腰がムズムズした。
「あなた、今日人形に会って気絶したでしょ。」
「ま、まあなんでそれを?」
全てを見透かされているような目で見つめている。
「あれ久美子!!」
澪奈が手を挙げて言った。あんたじゃないんかい。
「ふふふ。80年ほど鍛えたあの圧いかがでした?」
「ちょ、ちょっと待って。それは成仏するために君達は人間を驚かせてるんでしょ?」
「そうよ。それがなにか?」
「つまり、未練が解決すればいいんでしょ?」
「そうそう!!だから人間殺してるんだよー。誰か私達を殺した人を。」
あーこの人達馬鹿だ〜。
「別に死因分からないなら、ちょっと言いにくいけど自殺かもしれないでしょ?なんで自分を自分で殺したか、その理由を探さないとじゃ?殺されたとしても」
2人とも、ぽかーんと少し開いた口が塞がっていなかった。私達の努力はなんだったのか。無駄に人を殺したり驚かせる技術を磨き続けたあの努力は。と思っているだろう。
「えー、、と、、、久美子さん、、、?」
澪奈はゆっくり久美子さんに目を移した。
「まあ存じ上げてましたわ!少し間違ったていうか。」
めっちゃ焦ってるのが目に見えた。
「少しって80年??」
嫌味を言うように澪奈が畳み掛ける。それは言わないであげろよ。
「澪奈って空気読むの下手??....あ」
呼び捨てで呼んだことに気付いてしまった。
アドバイス誤字脱字等々教えてくれると幸いです!




