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21-15. 作戦

翌日。

作戦会議室・CalcuLegaにて。



「済まねえ、遅れちまったぞ」

「よし」


トイレから帰ってきたダンが空いた椅子に座り、会議机が埋まる。



「……コレで皆集まったな?」

「はい」

「うん! チェバもいるよー!」

「我等も此処に」

「いよいよ明日ね」


机を囲むシン、コース、ダン、アーク、そして幼犬隊。

ぐるりと見回して全員の顔を確かめ、僕は話を始めた。



「それじゃあ始めようか。出発前日、最後の作戦会議を」






┌──────────────────────┐

│                      │

│                      │

│        発==⇒着         │

│       ●┿┿┿┿╋★┿┿┿╋━━  │

│      10    5    受勲式  │

│                      │

┷━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┷


受勲式まであと10日、轟くんの馬車の発車時刻まではあと24時間を切った。

黒板に描かれた今日を示す丸印も右へ右へと進み、日に日に短くなる時間軸。受勲式本番、そして第二軍団の夜襲作戦の時が迫っているのを如実に表している。



そんな中での作戦会議は、今までの二重スパイ活動で得られた情報を洗いざらい纏め上げて行われた。




バリーさんという、王国のかなり上層部までスパイが入り込んでいたのが発覚した件。

そのバリーさんが権力を濫用して、受勲式のタイミングで王都を襲おうと企てている件。


その内容は、第二軍団の得意技だという状態異常攻撃で王都に夜襲を仕掛けるんだという件。

その上、軍団に新たに1万の戦力を増強して向かってくるんだという件。

その戦力で王都に集結した要人達を襲い、王国そのものにダメージを与えるんだという件。


その際、第二軍団は作戦の邪魔となりうる僕達を何が何でも王都から引き離そうとしている件。

その一環として、受勲式に向けた王都への足として手配された馬車便が実は罠だった件。




以上のような現状を踏まえ、続いて僕達は全員であーだこーだ言いながら作戦を練り上げた。



罠だった馬車便については、皆も承知の通り轟くんの馬車を別に手配済み。黒板にも描いた通り夜襲作戦の前日に到着できるようにした。

2万の戦力アップについても大丈夫だろう。【冪乗術Ⅴ】(パワー)のステータス6乗のようなバフ魔法を得意とする【演算魔法】にかかれば、その位の戦力差は一瞬で覆る。


ただ、要人達が狙われている事については……王都の戦士団の実力を信じるしかないだろう。流石に護衛は付いてるだろうし、要人がドコに何人居るかなんて分からないし。

そして、肝心の状態異常攻撃については……。



「……一応、僕なりに案は有る」

「へえ、有るんですか!」

「どんな案なのかしら?」

「おしえておしえてー!」

「んんー……ただ、ちょっとまだココでは言えないかな」


案は有るっちゃ有るんだけど今はまだワケありなんでね。



「なんでだよ先生?」

「まぁまぁ、今度説明するから。……ただ、念のために解毒薬とかは買い込んでおこうか。シン、後で一緒に薬屋に行こう」

「分かりました」






とまぁ、そんな感じで作戦会議は順調に進み。

皆のお腹も減ってきた昼の1時過ぎ、僕達の作戦は纏まった。


第二軍団の『王都夜襲作戦』から王都を防衛する、僕達の防衛作戦。

『王都夜襲作戦』対『王都防衛作戦』だ。



「……それじゃあ、皆。以上の流れで良いな?」

「大丈夫です!」

「オッケーだよ!」

「任せとけ先生!」

「ええ。分かった」


会議机を囲む全員が僕の目を見て頷く。



「……よし」


それでは。



「……王都夜襲作戦、絶対防衛するぞッ!!!」

「「「「「おうッ!!!」」」」」


作戦会議室・CalcuLegaに掛け声が響いた。











その後、僕達は明日からの王都への旅に向けて買い出しやら荷物整理やら色々と準備を済ませた。



缶詰やらパンやらチョコレートやらといった食糧。

戦いには欠かせないHPポーションやMPポーション。

ボロボロになってきた服とズボンもこの機会に買い替えておいた。


数学の勉強で段々残り枚数が減ってきた、計算用紙。

ついでにペンのインク残量も心許ないので買っておこう。

あと、白衣に付いた返り血落としには欠かせない愛用の散魔剤。


そして、忘れちゃいけない第二軍団対策の解毒薬。




……まぁ、こんなモンだろう。

万が一買い忘れがあったとしても、王都とフーリエの途中にある町でそれなりの物なら仕入れられる。そうじゃなくても王都に到着してから夜襲作戦の夜までは丸1日以上あるので、準備する余裕は無いこともない。


さて、あとは荷物を整理して明日の早朝に出発するだけだ。
















さてと。


泳がせていたゴーゴ・ナーゴ・クーゴが遂に本性を現したと後を追ってみれば、釣れた魚はまさかのバリーさん……と、そして魔王軍・第二軍団だった。僕達抜きで王都夜襲作戦とか、絶対にやらせない。何がなんでも絶対阻止してやるからな。

見とけよ魔王軍。



現在の服装は、麻の服に白衣。

重要物(キーアイテム)は、数学の参考書。

(ジョブ)は、数学者。


目的は魔王の討伐。まずは第二軍団を返り討ちにしてやる。




準備は整った。さぁ、行きますか……受勲式と夜襲作戦の王都へ。

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『数学嫌いの高校生が数学者になって魔王を倒すまで eˣᴾᴼᴺᴱᴺᵀᴵᴬᴸ

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ご興味がありましたら、是非こちらにもお越しください。
 
『数学嫌いの高校生が数学者になって魔王を倒すまで』巻末付録

 
 
 
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小説を愛する皆様の心に、
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そして————数学嫌いの克服を目指す皆様の心に
 
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