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正義の召喚と名付け


次話


「新たな主殿、お初にお目にかかります。私は『正義』。今後正しき道を行くあなたを守るために力を貸しましょう!」


頭部に被られた兜で反響しているが女性のような高めの声が彼方の耳に聞こえる。

正義は頭部を覆う兜で顔がわからないが、細身用の鎧を着ているせいか女性とわかる体格をしていた。

右手には両刃の剣、左手には天秤を持っており、まるで自らが正義の体現者であるかのような雰囲気を出していた。


「あ、あぁ。よろしくな正義」


そう言い彼方は手を差し出し握手を求める。

しかし、正義はその手を見て首をかしげる。


「主殿、それはどう言うことでしょうか?」


「え?握手だけど?なにかおかしかったか?」


なんの気に出した手は出されたまま行き場をなくしていたが、彼方は手を下ろして正義の発言に首を傾げ考えた。


「いえ、そういうわけではありませんが……私は同等の立場ではなく主殿の手足となり動くものです。ですから対等の証である握手を交わすべきなのでしょうか?」


正義の答えに彼方は少し考える。

アルカナ達にも色々なものがいるのだろう。

プリティアの言うとおり正義は生真面目で頑固なようであるため半端な答えなど答えにならないであろう。


「正義としてはそれが当たり前なんだろうな…それに俺はなにが正しいまだまだ判断できないことが多い……だから俺に正しさを教えて欲しい。正義のない力は暴力で他人を傷つけるから、でも力ない無力な正義じゃ誰も守れないんだ。本当の力を知るために俺と共に戦ってくほしい。これはそれの決意の証として欲しいんだ!」


彼方の精一杯の呼び掛けに正義は俯き、少しの間黙ると顔をあげて、彼方を見る。


「……わかりました。基本的には側に控え正しさを教え、戦いとならば共に戦場を駆け、貴方の剣となりましょう」


「ああ!よろしくな!」


彼方はもう一度手を手を出す。

すると正義は被っていた兜を外し、脇に抱え握手に答えた。

兜の下にある素顔に彼方は見惚れてしまう。

煌めくような腰まで伸びる金の髪に青空のようなスカイブルー、他のアルカナ達と同様に整った顔で切れ長な青の瞳と微笑むその姿に彼方はどぎまぎしてしまう。


「どうかなされましたか?」


そんな彼方の姿に正義は首をかしげ、声をかける。


「い、いや……他のアルカナもそうなんだけど、みんな美形が多いなと思って」


マスコット感の強いフールを除き、魔術師、女教皇、正義達は全員顔が整っており、美女であることは間違えないだろう。


「それは創造主様の好みが出ておりますので……私にはわかりませんが……」


「そ、そうか。とりあえず今後ともよろしくな……えぇと、正義も名前が必要……だよな?」


「頂けるなら」


兜を持っていない右腕を胸当てに当てて、片膝を地面に付ける。

その姿はまるで騎士の誓いを立てているようであり、もしここが教会なら絵になるだろう。

だがここは普通の部屋である。


「うーん、正義……英語ならジャスティス……ティス……うん、ティースっていうのはどうだ?英語から抜いただけなんだけど……」


「ティース……ふふふ、素敵な名をくださりありがとうございます。これより私は貴方の正義のつるぎ。これからも共に……」


そういい正義……ティースは立ち上がり、右腕をそのまま胸の前におき、一礼をする。

その一連の動作は鎧姿ではあるが優雅なものであり、表情も今までのような無表情ではなく、少しではあったが微笑んでいた。


「あ、あぁ。よ……よろしく」


見とれそうになるのを堪え彼方は返答をする。

そうすると正義……ティースは少し考えて眉間にシワを寄せ、苦虫を噛み潰したような表情をする。


「最後は確かに……恋愛ですね。彼女は嫌いではないのですが苦手なので可能なら同時に呼ばないようにしてもらえると助かります」


「可能な限りするけどどんなところが苦手なんだ?」


純粋な疑問を問いかける。

今の彼方では一人を召喚するだけで限界である為したくても出来ないのだが、理由知って損はないだろう。


「彼女……自由過ぎるのです。奔放な彼女にいくら私が注意しようと気ままに行動しますし、そのせいで創造主様にどれ程迷惑をかけたことか……」


「な、なるほど……」


はぁ……と深いため息を吐く。

当時のことを思い出したのかその表情も疲れているように見える。


「それでも主殿の指示とあれば全力は尽くさせてもらいます。それではそろそろ彼女と交代するとしましょう」


「あぁ、これからよろしくな、ティース」


「はい。我が主殿、貴方に幸せがあらんことを」


そういうと正義は消えて、手元に正義のタロットが収まる。


「さてさて、次はついに最後です」

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