「ある運転手の運命:ストーリークライマックス」
## はじめに
これは、TRPGテイストのストーリーテリングカードゲーム『Mission in Links』のリプレイとなります。
>>『Mission in Links』は著者のオリジナルカードゲームです。商業ではなく同人で、この作品はネット通販を行っておりません。純粋に内容を楽しんで頂けると、著者は幸いです。
## イントロダクション
ここは電脳都市「MIYAKO」。
ここに住んでいる全市民は、ありとあらゆる情報がネットワーク上で管理されている。
顔認識システム、GPS、社会保険番号……ありとあらゆるシステムが組み合わさった結果、私は計画犯罪に遭遇する人物【対象者】を予測する事に成功した。
それが被害者なのか加害者なのか判断できないし、身体が不自由な私「オート」では事件を未然に防げない。私の代わりに奔走してくれる者達が必要だ。
では、彼らを紹介しよう。
ST:はい、CM(という名の小休止)もあけてクライマックスに突入します。一応、念のために話の大筋を復習しておきましょう。
PC1:今回の【対象者】は運転手で、ストーリーの大筋は「強盗や殺人の強要かも」だったはず。
PC2:ストーリーの前半にて、【対象者】を監視していたっぽい人をノシて拉致りました。
PC1:後半は、拉致した人を監視しつつ【対象者】を監視してたな。
PC2:その結果、【対象者】は加害者かつ首謀者でした。
ST:さて、どーなることでしょう……か!!
- STは[<KEYPERSON>ジャーナリスト / <LOCATION>病院]のカードを場に出します。 -
PC1:荒事を病院で!?
PC2:この卓のラスボスは、やはりSTでしたね。
ST:……言いたい事は、それだけか!
PC達:ひぃっ!?
ST:こっちは言いたい事があるぞ。まずは、クライマックスの説明です。
PC1:うっす。
ST:これより、『クライマックス:加害者ルート』が開始されます。ストーリー後半の<LOCATION>を確定させたカードがありますね?
PC2:はい、ありますね。
ST:この<KEYPERSON>の人が、【対象者】に美術館で脅迫されていた人物【ターゲット】です。
PC1:僕たちが変な奴をノシている間に、そんな事件が!?
PC2:きっと、脅迫現場の見張り役だったんですね。
ST:クライマックスは、全部で3回の判定で構成されています。「対象者の得意技能の無力化(作戦を妨害)」「対象者の不得意技能を突く(【ターゲット】を守る)」「<LOCATION>からの脱出」です。
PC1:ほうほう。
PC2:私たちは、もう病院の中にいても良いんですか?
ST:そこら辺は、プレイヤー達にお任せしますよ。
ST:さて、話としては……。【ターゲット】のサラリーマンは病院に薬を納品する製薬会社に勤めている人で、現在は家族がここに入院しています。
ST:しかし、彼には家族に言えない借金があります。そこを【対象者】に漬け込まれ、薬品保管庫と遺体安置室の扉を開けておくように強要されています。
PC2:他の人に危害を加えないのであれば、少し様子を見ましょう。
PC1:そうなると、僕らはもう病院内で待ち伏せをするんだね。
PC2:「銃とか使っちゃダメですからね」
PC1:「多分、大丈夫だよ」 <LOCATION>の制限が憎たらしい!!
#### 対象者の得意技能の無力化(作戦を妨害)
ST:では、「対象者の得意技能の無力化(作戦を妨害)」を行います。これはプレイヤーのどちらかが行ってください。
PC2:目標値はどうなりますか?
ST:【対象者】の+枠(得意な技能)と同じ技能を使って判定する場合は、目標値が「9」。それ以外の技能で判定をするなら目標値は「7」です。
PC1:で、コンバットは自動失敗?
ST:いえ、クライマックスは気にせずにどうぞ。
PC2:PC1さん、先にお願いして良いですか?
PC1:おぅ、任せておけ。
ST:……本当?
PC1:ひどいっ!? さて、ドンパチするぜ!って言いながら
- PC1は<HACKING>「鍵(普通のから電子ロックまで)を破る」を使うと宣言して、場にカードを出しました -
PC1:もう、<COMBAT>はネタ切れ!
ST:知ってた(笑)
PC1:【対象者】達が夜になって、【ターゲット】の手引きで薬品保管庫の中から何かのアンプルを奪取。
PC1:その後で、死体安置室へ入った途端に電子ロックを逆に掛けることを試みよう。
ST:すでにハッキングが終わってるんで、コントロールもお手の物ですか?
PC1:そのはずっ! さて、2D6+1!!
- PC1がサイコロを振った結果、判定値は7になりました -
PC1:閉め出しに成功したよ!
PC2:対象者達「よし、後は脱出s……開かねぇ!?」
PC1:対象者達「何やってんだよ、さっきまで……本当だ!?」
ST:【対象者】「後はヤツをぶち殺せば良いだけだろうが! チンタラやってるんじゃねぇ!!」
PC2:対象者達「ちっくしょー」
#### 対象者の不得意技能を突く(【ターゲット】を守る)
ST:次は「対象者の不得意技能を突く(【ターゲット】を守る)」を行います。まだ、判定を行っていないPC2さんがやってくださいね。
PC2:わかりました。
ST:目標値は【対象者】の-枠(不得意な技能)と同じ技能を使って判定する場合は、目標値が「7」。それ以外の技能で判定をするなら目標値は「9」です。
PC2:……うーむ。
PC1:何か問題?
PC2:【有利】には、もう1つ効果がありましたよね?
ST:「誰かがカードを場に出す前に利用できます。ゲーム参加者(STを含む)と手札を1枚交換できます」ですね。
(数分経過)
PC1:2人して、電波越しに何を視殺戦してるのさ?
PC2:ST、カードを交換しましょう♪
ST:やっぱり、そう来たか……。
- STとPC2は、手札を交換しました。 -
- PC2は<COMBAT>「場を混乱させるために煙幕弾を撃ち込む」を使うと宣言して、場にカードを出しました -
PC1:あれ? それ、僕の役じゃないの??
PC2:頭脳派が、クライマックスに脳筋の真似事をするのはテンプレです。
PC1:ヒドっ。まぁ、僕もハッキングしたりしたのでおあいこか。
PC2:そうですね。
PC2:対象者達が開かない扉に悪戦苦闘している頃。床近くの壁に予め細工をしていた私は、そこから煙幕弾を撃ち込みます。
ST:何だか、警報が鳴りそうですね。
PC2:混乱に乗じて【ターゲット】を連れ出します。入院していた家族の方は、すでに移転済み!
- PC1がサイコロを振った結果、判定値は9になりました -
PC2:(ドタドタする音が聞こえる)
ST:やかましいっ!(笑)
PC1:前も怒られてたね、この人。
PC2:し、失礼しました。
PC2:煙幕弾の影響で、病院の警報システムが作動。病院全体の避難騒動となり、その混乱に乗じてPC1さんと一緒に【ターゲット】を連れ出します。
ST:【ターゲット】「移転の件と言い、あなた達は一体?」
PC2:「金払いの良いスポンサーが付いている、ダークヒーローってところじゃないでしょうか?」
PC2:「さぁ、ご家族のところへ参りましょう」
#### <LOCATION>からの脱出
ST:では、最後に「<LOCATION>からの脱出」判定を行います。この判定には2人共参加してもらいます。
PC達:はーい。
ST:判定方法は2D6ではなく、それぞれ1D6を振ってその合計値が判定値となります。(1D6+1D6)+1ってやつです。
PC2:もし、ここで【有利】を使った場合はどうなりますか?
ST:どちらかが2D6を振り、出目の大きい方を採用します。
PC1:了解。目標値は?
ST:まず、私が手元に残っている最後のカードを場に出します。どちらかに<LOCATION>のネクスト枠と同じアイコンがあったら、目標値は「6」で、タブー枠と同じアイコンがあったら「8」、それ以外は「7」です。
ST:条件の優先順位は8 > 7 > 6です。
PC1:ネクスト枠とタブー枠の両方が一致した場合は、6ではなく8なのね。
ST:その通り。
- STは<HACKING> / <DRIVING>のカードを場に出しました。 -
PC1:わーい。
PC2:目標値6はいただきました。
ST:まったく、ドンピシャなカード交換でしたね。
PC2:対象者達のハッカー達が追いかけているGPS情報に偽情報を吹き込んで混乱させます。
ST:丁度、PC1さんもハッキングできる事が発覚しましたからね。
PC2:「うわっ、PC2さん。ツール頼りですか? プログラミングしましょうよ。プログラミング」
PC1:「そういうのは苦手っすよ。GPS情報を書き換えるアプリだってバッチリ準備してるから」
PC2:「一週間で覚えられますから、鬼コーチしますよ?」
PC1:「それはヤメて!?」
- PC達がサイコロを振った結果、判定値は7になりました -
ST:GPS情報に紛れ込んだ偽情報は、上手く機能したようで対象者達は大混乱。
PC1:僕らが無事に【ターゲット】のご家族がいる病院へ辿り着いたときには、彼らは警察署へ行く事に。
PC2:もちろん、警察の知り合いにもオートさんを通じて話が通っていたりもします。
ST:【対象者】「何が一体……どうなってやがるんだ??」
### エンディング
ST:クライマックスの判定にすべて成功したので、ハッピーエンドとなります。
ST:ある日、君たちは【ターゲット】が家族と退院していくのを道路越しに見ています。そこには君たち以外に車椅子の男がいます。
PC1:「今回は誰も死ぬ事無く、人を助けられたね」
ST:「報酬は、いつもの口座へ振り込んでおいた。君たちの能力は私も高く評価している」
PC2:「隠れた才能もわかりましたしね」
PC1:「な、何の事かな? 僕にとっては人助けが出来れば良いさ」
PC2:「私は、そこまで楽観的じゃありませんよ」と言って、アンプルを取り出します。
PC1:おっ?
PC2:「私が仕事を引き受けた条件、覚えてますか?」
ST:「もちろん。このアンプル瓶もその手がかりの一つだよ」と紙切れを渡して、アンプルを受け取ります。
ST:「アンプルを解析すれば、これに関わった会社やヤツらにも繋がってくるだろうしね」
PC1:あぁ、そういえば。復讐相手の情報と交換って言うのがPC2さんが仕事を引き受けた条件でしたっけ。
PC2:そうです。なので、話をくっつけてみました。
ST:「仕事はギブアンドテイク、この情報が欲しい場合は分かっているね?」
PC2:さすが、ラスボス的なセリフですね。
PC1:悪人だし。
ST:……言いたい事は、それだけか!(2回目)
PC達:ひぃっ!?
ST:さて、ライト版はこれにて終了です。
PC2:通常版はどこが変わるんですか?
ST:判定で無条件に付いていた「+1」のボーナス部分、ここがちゃんとプレイヤー達がお話を作らないと取得できなくなります。
ST:ゲームの進行は、ライト版とまったく変わりません。
PC1:じゃぁ、次は通常版?
PC2:TRPGぽい、RP要素がもっと入るわけですね。
ST:そうです。では、ライト版はここで終了となります。
PC達:ありがとうございましたー。
読んでいただいた方、どうも初めまして。
同人活動でTRPGだったり、カードゲームを作っている者です。
リプレイという形になりましたが、こんなに文章を書くのはずいぶん久しぶりです。
3人+カードで作った即興の物語は如何でしたでしょうか?
このカードではクライムアクションでしたが、カードを変えたら違うジャンルに変身できるかもしれないし、もっとカードを追加したらさらに物語を深く掘り下げられるかもしれません。
遊び方は、まだまだ研究する余地がありそうです。
参加者のスケジュールが合いましたら、通常版の方も投稿できればなーっと思っています。
何はともあれ、ありがとうございました。