20/23
クマとトラと女 その20
ーーあなただって同じでしょ。あなたもこの機会を絶対に逃したくないと考えているはずよ。わたしの夢の中でいつもわたしにひどいことするやつ。わたしの夢の中でわたしの体をバラバラに食いちぎるやつ。そしてわたしの死体を物陰から観察しているやつ。『あれ』がわたしの最悪の結末であれ『あれ』が乗り越えられる壁であれに実際に会ってみなければわからない。きっと怪物の『あれ』はわたしが来るのを『静かなる森』でわたしたちが来るのを待っているはずよ。わたしは物陰に潜む『あれ』に怯えるのではなく正面から『あれ』と対決するときがやってきたのよ。
「いくら飼い慣らされているとはいってもトラはトラね。ああうらやましい」
どんな険しい道も苦にせず淡々とした様子で進んでいくトラを見てなれない山歩きで体力が消耗しているらしいサトミは言った。




