六、十八人目の男
当夜のうちに孫堅の敗報が告げられ、袁紹は大いに驚いた。
「あの孫文台が、華雄に敗れるとは思わなんだ」
袁紹は対策を協議するため、すぐに諸侯に召集を掛けた。各々が到り、公孫瓚が最後に帳に入って来たのを確認してから、袁紹は述べた。
「先日は鮑将軍の弟御が命に従わずに独断で兵を進めた結果、自らは命を落とし、将士の多くを失ってしまった。そして今度は孫文台が華雄に敗れ、我が方は鋭気を挫かれつつある。どうする、どうすればよい?」
しかし、諸侯は一様に口を噤むのみ。
そこで袁紹はふと、公孫瓚の後ろに控えている三人が目に付いた。三者ともに尋常でない容貌で、冷ややかな笑みを浮かべている。
「公孫太守、後ろの三者は何者か?」
公孫瓚答えて、
「彼は私が若い頃の同門でしてな、平原の令の劉備でございます」
曹操が言う。
「もしや……黄巾討伐で功を立てた劉玄徳どのでは?」
公孫瓚は肯定するとともに、劉備に命じて挨拶をさせ、更にその功労、並びに出自、経緯に至るまでを事細かに説いた。
袁紹が、
「なんと、漢王朝のご宗室であられたか。誰か、玄徳どのに席を準備して差し上げろ」
と述べ、劉備を座に就かせようとした。劉備は辞退しようとしたが、
「私はその方自身ではなく、その方の血統に敬意を払っておるのだ」
と袁紹が言うので、かくて末席に座す事となった。関羽と張飛もまた、その側に侍立した。




