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写真



「おはようございます!

おはようございまーす!」


週明け出社して元気にそれぞれの社員に挨拶をするあおいの顔は眩しい。



「週末に温泉に行ってきたんです〜。

皆さんで食べて下さーい!」


あおいはそれぞれに自分のスマイルを付けて温泉まんじゅうを配って行く。


「ちーす。」


聞こえるか聞こえないかの声で挨拶をして、フードを被ったままの直哉が入ってくる。



声に反応して一瞬だけ顔を上げた日菜子と直哉が目を合わせた…。


直哉もフードを下げて立ち止まり、日菜子の目線に釘付けになったが

また日菜子は目をそらしてパソコンに向かってしまったので、直哉は渋々と役員室に入っていく。



「ね〜、ちょっとぉ。」

日菜子の後部にちょうどあおいがいた。



ひじで日菜子をつつく。

小声であおいが耳打ちをする。


「直哉さん分かり易いわね〜。なんかあったんでしょ!」


耳の後ろだけピクついたかもしれないが、日菜子はギリギリで理性を保っていた。


「え?何もないけど…。」


日菜子はゆっくりと振り返ってあおいを見た。


皆んなに見せていた爽やかなスマイルは何処へやら、日菜子には不気味な笑みを見せる。



「後で2人でランチ行くから、そん時じっくり聞くわ!」


日菜子には有無を言わさず、隣の社員にあおいは流れて行った。




バタン!!!


役員室のドアが乱暴に開いて、直哉が飛び出してきたと思ったらそのまま外へ出て行った。



後ろから修二が頭を抱えて出てくる。



「蒼井さん…あ、日菜子の方…。

ちょっと来てくれる?」


そう言って修二が日菜子を手招きした。


「はい…。」


神妙な面持ちの修二とそれにつられて重い顔つきになる日菜子が、役員室へ吸い込まれていった。





「さっき週間サタデーの編集部から連絡あってさ…、直哉が明日発売の記事に載るらしい。」



「え?」



「一応イニシャルで、顔にはモザイクかけるらしいんだけど…。多分わかる人にはわかると思う。」



「どうして…?」



「島田セリカって知ってるか?最近よくテレビに出てる、ハーフのモデル。」



「…あ、はい…。」



「2ショット撮られたみたいで…、どうやら手繋ぎのシーンみたいなんだ。」



「そうですか…。」


下を向いて考え込む日菜子。



「…意外と驚かないんだね。」



「いや、そんな事ないですよ。驚いてます。」



驚いたのは本当で、日菜子にとっては修二とまた違った意味で驚いていた。



「…でも、撮られて不味い事でも有りますか?お互い独身だし、特に問題にはならないかと…。」



至って冷静に日菜子は言った。



「ああ、アイツは問題ないけど。実はアイツだけじゃないんだ、撮られたの。」



「…?と言いますと?」



「島田セリカの付き合ってる奴は直哉だけじゃないって事だよ。直哉の他に3人撮られてるんだ、別の日に。」



「…ああ、そういう感じですね。」



「まぁ、直哉のやつも遊んでるわけだし…真剣にお互い交際してたわけじゃ無いから大丈夫だと思うけど、うちの会社としてはイメージがあまり良くないよな。」



「そうですね…どちらかと言えばマイナスのイメージでは有りますね。

でも気にするほどではないと思いますが。」



「そうだね。島田セリカはかなりダメージだとは思うけど…。

そんな話ししたらアイツ飛び出して行っちゃたんだよ。」


「…そうですか。」


「まぁ、そんな訳だから。

マスコミからの電話が有るかもしれないけど、頼んだよ。」


「はい、分かりました。」



日菜子は感情を一切外には出さずに、自分の席へ戻り業務をこなした。



直哉は…その日は社に戻らなかった。



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