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0、プロローグ
「どうして私がサイラスだと分かった?」
二十六年生きてきて初めての壁ドン。
相手は恐ろしいほどのイケメン。
――いや、これは『美形』というやつだ。
その麗しい顔の、冷たい目が私を見下ろしてくる。
怖い。怖すぎる。
でも、逃げたくても逃げられない。
後ろは壁、左右は腕、目の前は顔面――という完全なる包囲。
しかも美形はこれ以上ないくらいに距離を詰めてくる。
脳はパニック。機能は低下。
停止するまでの時間は、あとわずか。
「もう一度聞く」
綺麗、美しい、怖い。
「どうして私がサイラスだと分かった?」
低い声が耳元に落ちた。
ショートするには十分だった。




