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精霊魔法を習得して



「……その反応……、やはりな。

 もしや其方は理解していないのでは、と思ったのだがやはりわかっていなかったのだな。

 ふむ……、今私たちがいるこの空間は外とは時の流れが違うのだ。

 ここは私のプライベート空間なのでな、ここにいる間は外よりもゆっくりと時間の流れが流れているように感じてしまうが外ではもっと早く時間は進んでいるのだ。

 そうだな、……つまりレティーツィアがここで3日しか過ごしていないと思っている間に、外のカシノニア王国ではそれ以上の……、おそらく3ヶ月程度の時間が経っていることになるということなのだ!


「…………‼︎」



(……そんなっ! そんなことってあるのっ‼︎ 時間の流れが違う空間があるなんて、今まで一度だってそんなこと考えもしなかったよ‼︎)



 呆然とするレティーツィアをハルトムートは心配そうに見つめていた。


 レティーツィアの予定では、できるならば5つの全ての属性の精霊を習得して万全な状態でカシノニア王国に戻りたいと思っていた。

 そのためにカシノニア王国に戻る日数が少し遅れたとしても、どんなに遅くとも1ヶ月以内にはここから出てカシノニア王国に戻ろうと予定していたのだ。



(……それなのに、1ヶ月どころかすでに3ヶ月も経っているだなんて、とんだ誤算もいいところである。 私がいない間にカシノニア王国では3ヶ月も経ってしまっているなら、本当にあのハイデマリーなら何かしでかしてしまっているかもしれない。 ……とにかく、早くカシノニア王国に帰らなくっちゃ……‼︎)



「あの……すみません、ハルトムート。

 予定が変わってしまいました。

 申し訳ないのですけど、今すぐ一通り水属性以外の精霊魔法のお手本を見せていただけませんか?

 時間の流れが違うとわかったので、私はカシノニア王国に急いで帰らなくてはならなくなりました。」


「む? ……そうなのか?

 まぁ、私は元々レティーツィアの希望に合わせる予定なので良いぞ! 任せておくがいい。

 ハハハハハッ!」



 レティーツィアの決意のこもった瞳を見たハルトムートは、意外とあっさりとレティーツィアの希望通り水の属性以外の木・火・土・金の属性の精霊魔法のお手本を見せてくれるようだった。



「いいか? では今から木・火・土・金の属性の精霊魔法を一通りするので見ておきなさい。」


「はい、よろしくお願いします。」



 ハルトムートは、水の属性以外の木・火・土・金の属性の精霊魔法のお手本を簡単な説明とともにレティーツィアの前でやって見せてくれた。



 木の属性の精霊魔法では、植物の成長を促す生育魔法。

 火の属性の精霊魔法では、火の勢いを操る火炎魔法。

 土の属性の精霊魔法では、豊かな土を肥えさせる土壌魔法。

 金の属性の精霊魔法では、あらゆる鉱石を生み出す鉱石魔法。



 レティーツィアは、ハルトムートがやってくれたお手本の水の属性以外の木・火・土・金の属性の精霊魔法を集中して見つめた。




 ーー早くしないと、カシノニア王国に戻るまでにどんどん時間が遅くなってしまう。


 水の属性の精霊魔法のように、すぐに実践するイメージができるように何度もハルトムートにお手本の精霊魔法を見せてもらっていては時間がかかる。

 水の属性の精霊魔法では、ハルトムートのお手本を見たあとすぐに実践では一回で精霊魔法を使えたが、その前には実践までにイメージができるように何度もハルトムートからお手本を見せてもらっていたのだ。

 だが、ハルトムートからこのハルトムートのプライベート空間とカシノニア王国では時間の流れる時間が違うと聞いたので、レティーツィアはすぐにカシノニア王国に帰らなくてはいけなくなってしまったのだ。

 つまり水の属性の精霊魔法のように、イメージができるまで何度もハルトムートのお手本の精霊魔法をしてもらっている時間はないのだ。

 すぐにイメージを固められて実践できるようにと、真剣な瞳でレティーツィアはハルトムートのお手本の精霊魔法を見つめた。



「ハルトムート、ありがとうございます。

 一通り一度ずつ木・火・土・金の属性の精霊魔法を見せていただいたので、今から早速それぞれの精霊魔法を使ってみたいと思います。」


「む……? あぁ、わかったぞ。

 だが、今回は水の属性の精霊魔法の時と違ってたった一度ずつ見ただけではなので、さすがのレティーツィアといってもたった一度見たきりですぐに実践するのは難しいのではないか?

 もしわからなければだな、また前の水の属性の精霊魔法のように私に何度でもお手本を頼んでも良いのだぞ?」


「ありがとうございます。

 そうですね……、もし実践で失敗してしまったときはお願いしますね。」



 レティーツィアはハルトムートに失敗した時はお願いすると言ったが、急いでカシノニア王国に帰らなくてはいけないので失敗する気などなかった。

 絶対に成功させるぞと意気込んで、レティーツィアは精霊魔法に取り組んだ。




ーーー




「おぉっ‼︎ レティーツィア、すごいではないかっ!

 水の属性とは違ってたった一度しか私のお手本を見ていなかったのに、素早くイメージを固めて木・火・土・金の属性の全ての精霊魔法を使えるようになるとはな。

 レティーツィア、其方……なかなかやるではないか……!」


「ありがとうございます……でも、私の精霊魔法が成功したのは、ハルトムートのお手本が良かったからだと思います。

 これで精霊魔法も一通り使えるようになりましたし、カシノニア王国に戻りたいと思うのですが、帰り道を教えてもらえますか?

 ハイデマリーのこともあって、カシノニア王国がどうなっているのか心配なので急いで帰りたいのですが……。」


「おぉ、いいぞいいぞ!

 私も其方と一緒にカシノニア王国について行く予定なので、道案内は任せておきなさい!」


「え、ハルトムートも一緒にくるんですか?」


「あぁ、当たり前であろう!

 私もレティーツィアとついていくぞ!」


「…………」



 レティーツィアの予定では、カシノニア王国へはレティーツィア一人で戻る予定であった。

 だがハルトムートはレティーツィアと一緒についてきてくれる気持ちでいてくれているみたいだ。

 予定とは違ってしまうが、今のレティーツィアにとって一番大事なのはカシノニア王国に戻ることなのだ。

 ここでレティーツィアがハルトムートについてこないように説得している時間すら、時間の流れが違うこの空間で過ごしてしまえば、ここの外のカシノニア王国ではどれだけの日数が経っているか考えるだけでも恐ろしいとレティーツィアは思った。



「よしっ! では、レティーツィア。

 早速カシノニア王国にいくとするかっ!

 ハハハッ、なんならまた私の背中に乗っても良いのだぞ?」


「うふふ。 いいえ、もう飛行魔法が使えるようになったので、せっかくのお誘いですが遠慮しておきます。」


「ハハハッ、残念だな。」



 レティーツィアとハルトムートは一緒にカシノニア王国に向かった。





ここまで読んでくださった方、ありがとうございます‼︎

 ひとまず、絶望の中のレティーツィアがハルトムートと出会って一通りの精霊魔法が使えるようになった、ここまでで第二章は終わりになります。

 続きの第三章では、レティーツィアがカシノニア王国に戻ってからのお話になります。

 読んでくださる方がいてくださったおかげで、とりあえず第一章まで書ききれました。 

 読んでくださる方、本当にありがとうございますっ‼︎

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